第293話 真の天才はやはり我
現れたカラクリ忍者たちは、これまでに遭遇した忍者たちとは見た目からして明らかに違っていた。
腕が何十本もあるカラクリ忍者に、車そのものに改造されたカラクリ忍者、足がバッタのそれに改造されたカラクリ忍者、トロル種のような巨体に改造されたカラクリ忍者、そして四足歩行の獣のような姿に改造されたカラクリ忍者。
もはや人間の原型を留めていない。
「……悍ましいにも程があるね」
「ククク、一からカラクリ兵を作るよりも、人間をベースにした方がいい。人工知能など、本物の知能には遠く及ばぬからな。だが平賀源子はこの最高のアイデアを、まったく聞き入れようとしなかった! やはり愚かだ! 真の天才はやはり我!」
直後、バッタ忍者が床を蹴った。
凄まじい速度で跳躍すると、身を反転して今度は天井を蹴り、さらに加速。
「これぞ速度特化型の蝗忍者だ! こうした室内のような狭い場所で、床や壁を幾度も跳躍しながらどんどん速度を増していく! 気づいたときには回避はもちろん、視認すら不可能の殺人兵器と化すのだ!」
バッタではなくイナゴらしい。
まぁどちらでもいいのだが、確かに跳躍を繰り返すことで加速し続けていった。
「ククク、最初の餌食となるのは誰かなぁ?」
イナゴ忍者が迫ったのはファナだった。
しかも彼女の死角となる背後から、超高速での斬撃を放つ。
「ん、無駄」
「~~~~っ!?」
だがファナはあっさりそれを回避してみせた。
「馬鹿な、あの速度での攻撃を避けただと!?」
「風の流れを見れば、どこから来るかは丸わかり」
「っ……クククッ、思いのほか、やるようだな。だが想定内だ。攻撃を避けるだけでは、蝗忍者には勝てぬぞ」
蝗忍者は直接、斬りかかっても無駄だと判断したのか、今度は跳躍しながら手裏剣を投擲した。
四方八方から超高速の手裏剣が迫る。
ガキガキガキガキンッ!
ファナはそのすべてを剣で叩き落してしまった。
「なんだと!?」
「ん、今度はこっちから」
ファナの姿が掻き消えた。
風の後押しを受けて一気に加速した彼女は、跳躍を繰り返す蝗忍者に追いついてしまう。
「そんなに速くない」
そのまま蝗忍者の長い両足を斬り落とすと、もはや跳躍ができなくなった蝗忍者は、勢いよく壁に激突した。
「蝗忍者がやられただと……っ? だ、だがこちらにはまだ四体も、特殊改造を施した忍者たちがいる!」
顔を歪めながら叫ぶ一当斎だが、そのときにはすでに、獣タイプのカラクリ忍者がリルに撃破されていた。
「大したことなかったが」
「馬鹿なっ、獅子忍者まで!?」
一方、トロルみたいな巨体忍者は、アンジェが相手をしていた。
凄まじいパワーを誇る巨体忍者であるが、
「ゴリティーアと比べたら、全然ひ弱なんだけど? この程度ならあたしでも腕力勝負で勝てるわよ!」
むしろアンジェのパワーに圧倒されている。
千手忍者と呼ぶらしいカラクリ忍者にはカレンが対峙し、無数の腕から繰り出される攻撃を刀で捌きながら、一本また一本と手を斬り落としていく。
「これはなかなか良い修行になるでござるな!」
どちらも遠からず撃破できるだろう。
そして最後の車型の忍者は、硬い装甲による防御性能と突進力を備えていたようだが、俺の放った雷撃であっさり動作不能になった。
「あ、あり得ぬっ……我が作り出した傑作たちが、手も足も出ぬなどっ!? くっ、この手は使いたくなかったが……致し方あるまい!」
覚悟を決めた顔で叫んだ一当斎は、いきなり足元の畳をめくりあげると、その中に身を潜めようとする。
『マスター』
「分かってる」
その様子から何をしようとしているか察した俺は、
「無限絶凍」
「~~っ!?」
その前に忍者たちをまとめて凍り付かせてやった。
「自分だけ畳の下に避難して、自爆させようとしたでしょ。その手には乗らないよ」
凍らせれば自爆できなくなることは、すでに実証済みだ。
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