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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
九話:兄と妹とフローライト
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~~現在・エメラルド女王・フローライトの部屋~~


「キャー助けて!」

始めに聞こえたのが悲鳴。声はフローライトだ。


その部屋で俺は見てはいけないものを見てしまった。

白黒の部屋にゾンビの集団、それは異様だった。

ゾンビの数は十匹、それを取り囲んでいるのがヨッシーマ王子のゾンビ。

ゾンビの群れが取り囲んでいるのがフローライト。


青いドレスを着たフローライトは、腰を抜かしてゾンビの方を見上げていた。

顔がおののいたフローライトは、まさにホラー映画さながらだ。


「来ないで!」

「フローライト、お前は永遠に離れられない」

「なんでそんなことを?」

「お前は俺をゾンビにした……ならばお前をゾンビにすればいいだけの事」

「なにを……お兄ちゃんはなんで?」

「お前は永遠に俺の妹だ……ゾンビになろう」

ゾンビであるヨッシーマ王子が、フローライトに近づく。

フローライトを周りのゾンビが追い込む。

そんなゾンビであるヨッシーマ部長の首元には真っ黒な宝石が埋め込まれていた。


「ダメ……私は女王になる」

「ゾンビに……なれ。我が妹よ。お前を喰らってゾンビにしてやろう」

さらに近づき、フローライトは完全に怯えていた。

身震いが止まらないフローライトに、俺の目の前に二つの選択肢。

もちろん言うまでも無く答えは一つ。


「やめろ!ヨッシーマ王子!」

当然、俺は『助ける』の選択肢を選んだ。

『無視する』なんかできない。助けなければ男じゃない、俺は柄にもない選択をしていた。


「大臣か、ひっこめ!」

「あんたはフローライトの幸せを第一に考えていた。それなのに……」

「それだから……だ」

ヨッシーマ王子の顔はさらに泥のように崩れる。

だけど飛び出た目の奥には、何か鋭い眼光のようなものが見えた。


「だからフローライトをゾンビにする」

「それはさせ……」

俺がかっこつけようとするが、俺の周りにゾンビがあふれて邪魔をする。

なんだ、ゾンビがどんどん増殖していくぞ。


「邪魔はするな、これは俺と妹の問題だ」

「やめろ!フローライトが……」

だけどそのあとゾンビの手が伸びてきて、いきなり画面が真っ暗になった。

ゾンビの喘ぎ声とフローライトの叫び声が数秒間、ゲームから聞こえてきた。


そんな俺の目の前が、少し明るくなった。

「ドワ太?」

視界に入ってきたのはドワ太。青い帽子と白いひげが特徴の小人。

俺は起き上ったのか、視界が少しだけ上がった。


「立った様じゃな」

「立ったって?」

「『死亡フラッグ』」ドワ太が言うなり、右端のクリスタルゲージを見る。

そこにはほぼ5%にも満たないクリスタルゲージと、下には死亡フラッグが見えていた。



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