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夜遅くなって、最後の路面電車に乗ったのが午後九時。
人もほとんどいないこの時間帯の路面電車を乗るのも結構少ない。
車内には酔っ払いや、塾帰りの学生が数人ほどしか乗っていない。
俺は座席に座りながらゲームをしていた。
~~エメラルド城・ステージ~~
そこは、エメラルド女王地下にある巨大なホール。
講堂のようなステージに女の子が歌っていた。
きらびやかな光は、まるでアイドルのコンサートだ。
エメラルド王国にペンライトのようなものを振る観客、それはステージの周りに光が差し込む。
「みんな、いくよ~」
そして出てきたのが、ピンクのシャツに白いスカートを着た女の子。
だけどすぐにわかった、フローライトだ。インカムをつけて華麗に踊っていた。
このステージには、どこからともなく軽快な音楽が流れてきた。
あれ、これってボイカロイトじゃないよな。と錯覚してしまうほどに。
フローライトの前には大勢の観客、ペンライトのような光が見えた。
俺は呆気にとられながらも、フローライトの歌とダンスに見入っていた。
間もなくして、歌い終わったフローライトが明るく手を振っていた。
「みんな、ありがとう~」
フローライトはペンライトに答えるように笑顔を見せていた。
舞台袖に笑顔のまま消えていくフローライト、画面が舞台袖になった瞬間、表情を変えた。
「あっ」
フローライトは俺を見るなり、急に警戒していた。
まるで恥部を見られたかのように、顔が赤くなって俺に背を向けて走り出す。
「なんで逃げるんだ?」
「嫌です……見ないで!」
顔を隠して走るフローライトだけど、すぐに壁に挟まれた。
アイドル風のステージ衣装を着たフローライトは、まさに美少女だ。
それでも俺に対して警戒心を強めて、顔を赤くして怯えていた。
「なんで怯える?」
「怖いです」
「俺の好感度、どんだけ低いんだよ」
「ひっ」おののくフローライト、うつむいてしまった。
薄暗いステージ裏に、フローライトは怯えていた。
「あの……ここどこ?」
「えと……歌う場所……です」
フローライトはたどたどしく俺に言ってきた。
「歌うのが好きなの?」
「いいえ……アイドルですから」
「アイドルか……フローライトはアイドル好き?」
俺の質問に無言で首を横に振った。どういうことだ。
「私の価値って、そんなものですから」
「待って」逃げようとするフローライトを俺は強引に引き留めた。
ずっと逃げられては話が全く進展しない。
フローライトの悩みは分からないが、きっとそう言うところなのだろう。
俺はすかさずフローライトの顔を見ていた。
「なんでこんなことを?アイドルなんかフローライトの柄にもあわないような……」
「ですね。でもこの子が望んだことですよ。彼女の今と未来を表していますから」
今のフローライトはどこか冷めていた。
でもその喋りは、素の部分を見られた気がした。
これも好感度が上がっているということか。佳乃に関してはまだまだ分からない部分が多い。
「あのさ、フローライト。今から教育をしようか?」
「……はい」
そこには素直に従ったフローライト。
「じゃあ、一旦部屋に戻ろうか」
「分かりました。ですが着替えさせてください」とフローライトは一度部屋に戻ることにした。




