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~~エメラルド城・地下牢~~
翌日に俺はゲームをつけた。戸破の問題は解決した。
愛というあまりにも抽象的な言葉で戸破を説得できた。
あの後、戸破は母親に詫びた。今までの不良であることを謝って、母親となんとか和解ができた。
これで壮絶な親子喧嘩は無くなるだろう。
これでゲーム内のアズライトの方にもリアルの問題が影響して、イベントが進展するはずだ。
出てきたのは牢屋、始めはそこからだ。
(アズライトが愛を知った、これでアズライトの悩みは……)
だけどイベントは起きないまま、十分ほどが経過した。
ゲーム画面前で、イベントの発生をタッチペン片手に見ていた。
(おかしいな……問題が解決しない)
俺は画面をタッチすると、足元にはドワ太が寝転がっていた。
冷たい石の床に寝転んだ白いドワ太は俺を見るなり、体を起こす。
「なあ、イベントが起きないんだけど」
「ふむ……なるほどな」
「何がなるほどだ?」
「深刻な問題が起こっているようじゃ」
「深刻な……問題?」
「そうじゃ、ずっと気にしていたのじゃが」
「勿体つけないで教えろ!」
俺は苛立ちをドワ太にぶつけていた。
半分呆れた様子でドワ太は俺のことを見ていた。
「誰かが関与している」
「誰か……誰だよ?」
「さあ……だがアズライトの関係者ということだろうな」
「アズライトの関係者……そうか」
俺には思い当たる節があった。
それは因縁のアイツ、このゲームを知っている唯一の人間だ。
その男を思い出すだけで、怒りと恐怖が同時に蘇った。
そんな時、俺の牢屋の方に歩み寄る足音が聞こえた。
牢屋の前に出てきた人物に顔を上げた俺は、驚きより怒りがあった。
鉄格子の前にいたのは、一人の男。
「よお、お前は負け犬だ」
サカキが俺を挑発するかのように不敵な笑みを浮かべていた。




