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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
五話:憧れの英雄とアズライト
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俺は急に思い立ってリビングに来ていた。

気になっていたことがあったから、夜になって俺は自宅に戻っていた。

自宅のリビングで俺はアルバムを手に入れていた。


アズライトの会話が最後どうしても引っかかっていた。

その言葉は、アズライトではなく戸破から聞いたことがあったから。

母親とは……全然会話していない。そんな母親も、夜十二時を回っているので眠っていた。

父は転勤で横浜に行ったから、年末までは戻ってこない。


だけどジュエル☆クイーン♡スクーリングのアズライトは教育中だ。皮肉なものだ。

アルバムを見ながら、俺はずっと考え事をしていた。

戸破が不良になったきっかけを探さなといけない。あまり時間もないようだ。

アルバムに映っていたのは、幼き日々の俺と戸破。

わずか一つしか離れていない俺と戸破。


(あのころはかわいかったな)

ショートカットの戸破は、アズライトと同じ雰囲気だ。

爽やか系の妹は、健康優良なかわいい自慢の妹っただ。

いつも運動会ではトップの成績、明るくて笑顔の写真が多い。


(それがソバージュの今になるんだな)

どんどん年齢は上がっていき七五三、小学校の入学式、遠足と写真が続く。

小学校の終わりごろまでは正常で中学になってから、ある変化があった。


(戸破が不良になったのは、中学あたりだな)

それは二冊目の中学時代のアルバム。

地元の中学で俺は成績が優秀な優等生、戸破は水泳のチャンピオン。

不良との接点なんかどこにもない。

だけど、戸破の顔の笑顔がだんだんと消えているのが見えた。


(中三の時にはすでに写真もない……か)

どうやら中二の夏ごろから、写真を撮らなくなっていた。

そこで俺が見ていた中二の一枚の写真を見ていた。

それはプールで悔しがる戸破だ。

カメラに映っているにもかかわらず、プールで競泳用の水着を着た戸破が唇をかみしめていた。


(やっぱり……あっ)

俺ははっきり思い出していた。

それと同時に、俺は背中に人を感じていた。


「何見ているのよ、クソ兄貴!」

腕を組んで俺をはっきり見下した、戸破だ。

上下鼠色のスエット姿にソバージュ、睨んだ目をした戸破が俺の肩を掴む。


「戸破……思い出した」

「ああ、ウザいんだけど」

にらみを利かせて、脅しているみたいだが迫力にやや欠けた。

その戸破は、頬にはけがをしたのか絆創膏が貼られていた。


俺が中三で戸破が中二の夏、一緒にプールに行った。

何気ない出来事だったけど、それは事件と言えるものだった。

その時に撮られた写真を見て、戸破が目をキッと鋭くにらむ。


「面白いのかよ、クソ兄貴!」

「戸破……あの時は」

「面白いよな、お前は!優越感に浸っていられて」

そのまま俺の前に立ってアルバムを踏みつけた。

俺は踏みあげる足から戸破の顔を見上げた。


「こんなもん、クソみたいな記憶だ」

「クソかもしれない、でもあれは仕方ない。年齢的にも性別的にも」

「あたいは負けるのが嫌なんだよ!一番負けたくない相手に」

それは戸破が何気に俺と話したこの話しだ。

二年ほど前までさかのぼる、戸破にとって忌まわしい記憶があった。



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