46
リッチバル、そこはリッチ山のふもとにある地方都市。
ドワ太というヘルパーに聞いて、俺は理解した。
アズライトはそこに遠征する、数日の予定でここを離れる。
「結構遠くに行くんだな」
「ゲーム内だと、二十時間ほど僕は教育できないんだ」
「それは残念、何時から?」
「後二時間ほどで遠征軍」
アズライトが少しうれしそうな顔を見せていた。
俺は育成プランを少しだけ考えていた。
(遠征軍のイベントはJプリでもあった。だから問題はない。
遠征軍だと大体教育系の数値が大幅に下がるからな)
パラメーターを見ながら、俺はじっくりと考えていた。
「気になる?心配ボクのこと……」
「ああ……というよりパラメーター」
「むー、それはどういう意味?」
少しふてくされたアズライト。俺はそれでもじっとパラメーターを見ていた。
(捨てステータスは必須か……それ以上にどうやったらアズライトのイベントが起こるのか?
もしくは遠征軍が、きっかけのフラグってオチはないよな)
思慮をめぐらすが、アズライトはつまらなそうに剣を振っていた。
「大ちゃんつまんない」
「アズライト、決まったぞ」
「何が?」やる気がない返事のアズライト。
「アズライトは英雄コースだ。アズライトを英雄に育てる!」
「ホントに、僕は英雄になれるの?」
「ああ……任せろ」
「うわ~、ありがとう大ちゃん」
俺の言葉にアズライトは喜んで目を輝かせていた。
英雄コース、つまり運動系のみを上げるということに他ならないが。
大喜びのアズライトはドアップで俺に対して笑顔を見せた。
「ボク、リッチバルに行ったらやりたいことがあるんだ」
「やりたいこと?」
「うん、兄ちゃんを探すんだ」
「兄ちゃんか……ライチョウ軍に襲われた兄だろ」
「うん、この前も襲われたって言う話……」
「アズライト……それはどこで?」
「ああっ、ううん、なんでもない、なんでもないってば!」
アズライトはそう言いながら、俺から離れて剣の練習を始めた。
俺が必死に聞こうとするが、剣の稽古をしているアズライト。
「なんでもないよ、大丈夫」
アズライトはあからさまに怪しい嘘をついていた。
それは昔の戸破によく似ていた。




