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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
五話:憧れの英雄とアズライト
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結局二日間学校を休むことになった。

頭と足にケガを負ったので、病院にも行った。

幸い打撲程度で済んだのだが、大事をとって二日休むよう促されたから。

そんな俺の暇つぶしはDSP。


榊という不良集団にボコボコにされた俺は、DSPの破壊される様を見ていた。

割れた液晶画面も、飛び出したボタンも、何事もなかったかのように真っ黒なDSPが俺の手元にあった。

とりあえず起動すると、入っていたジュエル☆クイーン♡スクーリングのソフトが表示された。


~~エメラルド城・アズライトの部屋~~


そこは白で統一された家具が置かれた部屋だった。

高級感さえ漂うその部屋に、画面中央に出てきたのはアズライト。

ゲームの中さえも全く問題なく起動していた。


「おかえり、大ちゃん。昨日はなんで入らなかったの?」

といきなり出迎えたのはアズライトだ。

そんなアズライトは、今の俺みたいに頬に傷を負っていた。


「アズライト、無事だったんだな」

「無事って当たり前だよ、ボクはそんなんじゃ死なないよ。かすり傷さ」

ん、なんか会話がかみ合っていないようだな。

それにしてもアズライトはやっぱり男の子って感じだな。


「アズライト、それよりゲーム機が破壊されたんだけど」

「何のこと?ねえ、昨日ボクは戦ってきたんだよ」

「戦った?戦争か?」

「この国は平和なようでそうでない。内なる敵だっているんだ。

だからそれを倒しに行ってきた」

「そうか……大変だな」

「でも大丈夫、内乱を未然に見破って僕たちが襲撃したからね」

えへへっ、と剣を振るって自慢するアズライト。


「でも、ボクは一応兵士として志願しているから。

ほら英国だって、王子が軍隊にはいったりするでしょ。おとなしくしているのはしょうにあわない。

ボクはエメラルド王国のために戦うんだ」

「まあ……そうだね。遠征はどれぐらい?」

「一日かな、辺境っていってもそんなに遠くないし。

ターフェライトの加護もついているし、何よりボクは戦いに慣れているから。

今回が、初めての実戦でもないからね」

アズライトが剣を抜いて無邪気に笑っていた。

やはり一昔前の戸破と同じ表情をして連想された。

水泳で好タイムを出したときの戸破と、アズライトである今が重なった。

生き生きしているアズライトは、なんだかこっちも元気になるな。


「実戦をしてきたのか、早速疲労度を見せてくれ」

「う、うん」ちょっとだけ照れたアズライト。

早速パラメーターを確認、疲労度は5%だ。

強制イベントの類だから、体力の減りは思ったほどない。

当然のごとく、剣技と格闘が上がっていた。もちろん、勉強系の能力が軒並みダウン。


(武闘派一直線だな、これはこれでアズライトらしいか。

アズライトのように能力に偏りがあるキャラは、むしろ短所よりも長所を伸ばすのがいいのかもしれない)

などと思いながら、いつの間にかパラメーターを凝視していた。

すると、全体姿のアズライトが声をかけてきた。


「ねえ、今日も教育してくれる?」

「ああ、分かった。じゃあ早速だけどバイトするか」

「うん分かった。ボク、バイト頑張るよ」素直なアズライトだ。

「さて、何があるのか?」

俺はバイトのアイコンを覗き込んでいた。

だけど、バイトのアイコンをタッチしようとしたとき、画面には真っ白な何かが全てを遮っていた。


「なんだ?」

「覚悟っ!」と声がする。

「ボクは負けないよ」

そのまま剣がガチッと交わる音が聞こえた。

ギギギッて火花散る音の後に、アズライトは真剣な顔で剣を受け止めていた。


俺は次の瞬間、白い何かの正体が分かった。

視界が開けたその先には、小さなドワ太とアズライトがなぜか剣でつばぜり合いをしていた。


「なんだ、ドワ太か」

「むう、大臣か。今は忙しい……後でに」

「はいはい、そういう事は後でな」

タッチペンでドワ太をタッチすると、あっという間に首根っこを掴まれた小さなおっさん。

必死に抵抗しながらドワ太は、両手をじたばたさせていた。

このドワ太はアズライトにいつも切りかかってくるが、どういう意味があるんだよ。


「ドワ太、何しに来た?」

「ああ、大臣よ。わしは重要なことを伝えに来たのだ」

「ん、何の話だ?」

「右端のクリスタルゲージを見たか?」

「えと……なにこれ」

右端のクリスタルゲージがいきなり半分以上減っていた。

昨日始めたばかりで、クリスタルゲージが満タンだったのにもう半分もなくなっていた。


「減っている、どういうことだ?」

「そりゃあDSPの修復に労力を使ったからな」

「労力?DSPの修復?一体、どういうことだ?」

「『Jクイ』は、絶対に壊されることはない。

このゲームカードリッジをセットしたゲーム機は完璧だ、無敵だ。

巨大な象が乗っても壊れては必ず治る」

「無敵って言われても……」

困惑する俺をよそに、ドワ太は話を続けていた。

アズライトもなんだか退屈そうにドワ太の話を聞いていた。


「このゲームは絶対に無くなることがない、ゲームとしての存在をなくすことはできない。

それはエメラルド王国の魔法の力がかかっているからな」

「魔法の力か?なんと抽象的な話だ」

「エメラルド王国は、魔法の国でもある。だから魔法があるのは当然じゃ。

このゲームはエメラルド王国公認だからな、ターフェライトのご加護じゃよ」

「はあ……」

「大臣、信用していないだろう」

「いいや……そうしておくしかないだろうな。俺もほかに説明する方法がない」

「信じぬのなら、次の説明じゃ。

ここで問題じゃよ。一般的にRPGで魔法を使うのに使う力のことを二文字でなんという?」

「クイズか……MP」

「ブー」ドワ太が意地悪そうに言ってきた。

なんか結構むかつくぞ、これ。


「違うのかよ、ひっかけか?」

「パラメーター好きのお主ならそう答えるからな」

「うるさい、正解はなんだ?」

「答えは『魔力』じゃよ。このDSP復元には多くの魔力を使う」

「それがクリスタルゲージか」

「さようじゃ、魔力を得るべくクリスタルゲージを消費したわけじゃよ。

つまりはあれじゃ、何かを得るには……」

「何となく分かった。で、クリスタルゲージが減ったと。でも半分はきついな」

「仕方ないだろう、それだけ大掛かりな魔力を浪費したのじゃ。

そんなことより、拙速にアズライトの問題を解決しないと消滅するぞ」

「分かっている、だけどイベントが……」

俺は妙にあせっていた、そんな俺はあることを思い出した。


「アズライト、イベントマーク出ていない?」

「うん、実はね……ボク」

もじもじするアズライト、なよなよしいアズライトは女の子っぽかった。

イベントマークはどうやら出ていないようだ。


「どうしたんだ?アズライト」

「ボクは、遠征することが決まったんだ」

「遠征?」

一瞬わからなかったが、すぐにアズライトは剣を持った。


「そう、僕は遠征する。リッチバルの遠征軍に参加するんだ」

「えっ?」

いきなりの急展開に俺は首をひねっていた。



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