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真っ白な天井はあまりにも殺風景だ。
だけどぐちゃぐちゃの頭の中を整理するにはちょうどいい。
腹の痛みがあるが、起き上れないほどでもない。
俺は二つのことを考えていた。
一つは不良グループ……リーダー榊だ。
彼の目的だ、ジュエル☆プリンセス♡スクールのことを彼は知っていた。
彼が戸破との関係があるのも間違いないだろう。
だとしたら彼をもっと知らないといけない。
それからもう一つは戸破のことだ。
このままいけば戸破が死んでしまう。
だけどゲームは破壊されてしまった。
母親は俺のことを心配させるように、適当なことを言ったはずだ。
そういいながら俺は立ち上がった。
まだ立ち上がるだけで少し腹が痛い。でも歩けないほどではない。
ゆっくりと机の上のDSPを見て……全くDSPは壊れていなかった。
(あれ、無傷だ……気のせいかな?)
俺は少し驚いたが、すぐに体をベッドの方に向かわせて横になった。
戻ってきた母親はお盆を持ってにこやかな顔を見せていた。
「おかゆもってきたわ。食べられるよね」
「ああ、ありがとう……」
俺は母親の愛を感じていた。
何より母親は、いつも俺に対しては優しかった。
学校の成績が良かったのが影響しているのが分かるが。
そんな優しそうな母親と、手負いの自分を考えて母親に一つのことを切り出した。
「母親……あのさ戸破の事……」
「戸破は本当にどうしようもない子ね」
母親に言われて、俺は口をふさいでしまった。
戸破は悩みがある、それはおそらく家庭の悩みだろう。
いつも分かりやすく母親と喧嘩をする戸破は、まさに悩みの種だろう。
「でも戸破は……」
「光輝はやはり優しいお兄ちゃんね。戸破のことを心配している?」
「うん……」
「大丈夫よ、私は世界中の全ての人間が光輝も戸破も敵になったとしても、絶対に味方なの。
それが母親だから。無償の愛であなたたちを愛しているわ」
その一言を聞いた瞬間、俺は少し照れくさい顔になった。
そして自分を恥じていた、自分が少しでも母親に疑念を抱いていたのを。




