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そこに出てきたのは、腕を組んで戸破が俺を見下していた。
赤いジャージ姿に鋭い眼光。さっき警察から帰って来た時と同じ服装だ。
ソバージュの髪で、いきなり何もなくズカズカと俺の方に入ってきた。
「戸破?なんだ」
「兄貴、金貸してくれよ」
直感で分かった、俺に対して『たかり』にやってきた。
戸破に対して俺は困った顔を見せた。
堂々と突き放したいが、あいにく俺の格闘パラメーターは低いのが分かっている。
対して戸破は、女であっても運動神経がいいのを俺は知っていた。
「俺だって金は……」
「いいじゃねえかよ、優秀なんだろ。あのババアから、いっぱい小遣い貰っているだろ」
「いっぱい貰っているつもりはない」
「嘘つけよ、さんざんかわいがられているくせに」
そう言いながら戸破が俺に対して悪そうな笑みを浮かべていた。
明らかに威圧的な顔で見下していた。だけど実の妹相手に俺もひるむつもりはない。
ひるむつもりはないが、抵抗する術がない。
とりあえず強がって戸破をやり過ごすしかない。
「いいじゃねえか、そのゲームだって小遣いで買ってもらったんだろ」
「俺が何に使おうと……」
「あれ?」
そういいながら戸破は、俺の机の上に置いてある指輪を見つけた。
それを見るなり、慌てて指輪を隠した俺。
「こいつはダメだ!」
「いい指輪を持ってんじゃん、あたしによこしな」
「ダメだ……これだけは渡せない!」
「よこせよ!金を貸せねえんなら、代わりにコイツを金にしてやる」
そのまま手を伸ばしてきた戸破の手を立ち上がって俺は阻む。
だけどこれは渡せない、戸破を守るためにも。
取り乱した表情で、指輪を必死に守ろうとした。
「ダメだ、これは危険なんだ!」
「なんだよ、あたいに口答えするのか」
立ち上がった俺を、そのまま無理矢理突き飛ばしてきた戸破。
バランスを崩して俺は簡単に倒された。
それを見るなり、俺の戸棚の上を物色する戸破。
「やめろっ!」
「口答えする身分じゃないだろ、偉そうにするな!」
倒された俺をよそに、戸破はそのまま指輪を乱暴に奪っていく。
「こいつだけでいいよ、あたいみたいになんかゴージャスじゃん」
そう言いながら、戸破は俺から強奪した白い指輪を手にとっては指にはめた。
その指輪は、純花と同じくはめた瞬間に消えていた。
「なによ、これ……あれ?あたい……なによ、兄貴」
すると、戸破のジャージのポケットに入っていたスマホが震えていた。
スマホを取り出して立ったまま戸破は見ていた。
俺は慌てて青い指輪を隠した。
「兄貴、クソッ……何かあったが忘れた」
すぐさま戸破はスマホを片手に部屋を出て行った。
俺は戸破の奇怪な行動に落胆した表情を見せていた。




