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ジュエル☆クイーン♡スクーリング  作者: 葉月 優奈
三話:白馬の王子様とセレスタイト
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日が沈み、西の方から暗くなっていく空。山の天気は曇っていた。

気高い岩山は驚くほどに足がすくんだ。

足場の悪いここに俺と純花の二人きり。

告白するには絶好の場所だ、こういうのを吊り橋効果というのかな。


(高い……まじかよ)

下を見たら俺は足が震えていた。

だから俺は純花の方を向くしかなかった。それでも純花は驚くほど笑顔だ。

高いところは全く怖くないらしい。


「きれいでしょ、この花」

「純花……」

純花は足元の岩の隙間で、咲いた小さな淡い紫の花を見ていた。

屈んだ純花は驚くほど穏やかな顔だ。

こういう時の純花は一番怖い、長くはないつき合いでそれを知っていた。


「きれいなものを見ると心が落ち着くの。

ぐちゃぐちゃな時、悩んだとき、挫折した時、あたしはここからあたしの好きな場所を見ていた」

「純花……」

確かに純花の好きな花畑がそこには見えていた。

純花はまるでセレスタイトだ……いやセレスタイトが庭園にいるときそのものだ。

始めは不思議だと思っていたが、本当に純花は花が好きなんだな。

純花の意外な……初めて知る側面。


「でもね……あたし、疲れちゃった」

「何が疲れたんだ?」

「あたしは『宿坊 純花』じゃない……あそこの家の子じゃなかった。

今まで一生懸命生きてきたあたしは、あの家にいたあたしは……なんだったの?」

「純花……」

俺は小さく弱弱しくなる純花を向いていた。

普段は強気の純花がこんなにも弱気になっていた。

セレスタイトの言っていた通り、純花の感情は起伏が激しい。


「あたしはあの家が大好きだった。両親が優しくて温かい……。

あたしをあの学校にまで入れてくれた、ミツノマルにも会えた」

「でもそれが養子だけで、なんでそこまで変わるんだ?」

「嫌なのよ、大好きな人に嘘をつかれたことが!

十七年間嘘をつかれて……なんだか疲れちゃった」


強がっている純花は大きくため息をついた。

俺はそんな純花を黙って見守るしかなかった。

そんな純花は崖の下を見下ろしていた。


「あたしは……もう終わりにしようかな」

「ダメだろ!」

そんな時、俺の純花の方に近づいた。

でも純花はうつむいたまま、必死に俺の方に掌を突き出す。


「来ないで!」

「純花っ、俺は……」

「何よ、あたしは……」

「純花は純花だ。どんなことがあってもイコールは覆らない。

方程式は絶対に嘘をつかないからな」

俺は精いっぱいの言葉で純花に言い放った。

その言葉を聞いた瞬間、純花がゆっくりと顔を上げた。



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