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純花は花が好きだ。
森本さんと会った時に見た純花の部屋、そこにはあちこちに花の写真が飾られていた。
そのほとんどが、阿弥野ケ原の珍しい高原植物なのだ。
平地では見られない希少なものが、壁をにぎわしていた。
(純花ならば、花畑が見える場所……このあたり)
それは森を抜けた先にある岩山。
魔物に出くわすことはないが、歩きにくい岩肌が見えた。
(歩きにくくて怖いな……これ)
登った手前を見ては高い、足が震えていた。
高いところは不安だ、ましてや足場の悪い岩山を上るからなおさらだ。
だけど純花を探さないといけない。
ゲーム内のクリスタルゲージは、ほぼ尽きようとしていた。
夕日の影が支配したそこは、決して花畑が見えるわけではない。
そんな中でも呼吸を乱しながら山登り。
登山靴でもないから、足の痛みはヒリヒリしていた。
でも頭の中は、純花との会話を考えなければならない。
(会って何を話せばいい?)
俺はずっと考えていた、でも答えが出てこない。
それでも俺は純花に会わないといけない。
前にDSPで見たリアル映像は夕暮れだ。
あの画面に近づことしているのが、俺ははっきりと見えた。
ゲームのクリスタルゲージがもうほとんどない。
だけど、俺には説得の仕方が分からない。
説得が失敗したら純花は飛び降りる、あの画像の様にしてはいけない。
でもリアルの会話術の能力値を、俺なりに分析すると30台だと思っていた。
だからこそ、純花を説得するのは難しいだろう。
(この景色は嫌な景色だ)
俺は思考をめぐらせながら、歩きにくい岩山を上っていた。
そんな時、ふと自分のDSPを見ていた。
(Jクイをやる前は……Jプリをやっていたんだよな。
最近全然やっていないよな。DSPもJプリのために買ったのに……そうだな)
一つの結論に達した俺は岩山を登りきった。
岩山の踊り場で小高い丘に登った時、そこに一人の少女がいた。
日が沈んで空が真っ暗になろうとしていた時、俺はようやく純花を見つけた。
「純花っ!」
俺が夜の岩山で見たのは、紛れもなく純花だった。
ピンクの長そでシャツに白い花柄のズボンの純花は、俺が声をかけるなり余裕ある表情を見せた。
さっきまでの半べそ状態とは違う、いつもの余裕ある純花の顔だ。
「遅かったじゃない、彼氏失格よ」
風でショートヘアーが揺れる純花の強がりだろう。
相変わらずの純花に、俺は少しだけ安心できた。




