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奈月温泉郷は山奥にある小さな集落だ。
四軒の民宿と大型のホテル、それから土産物屋が三軒ほど。
後は民家が数件ある程度、小さな集落で探す場所は少ない。
自転車で奈月温泉郷を一通り聞き込みすると、一つの結論に達した。
それは『阿弥野ケ原樹海』、奈月温泉郷から最寄りの駅に行く間に通った車道に見えた樹海。
夜や朝になると霧が立ち込める森。
魔物の森はどうやら『阿弥野ケ原樹海』で間違いないようだ。
(とはいっても……広い)
俺は純平荘から近隣の地図を見つけた。
純花は最寄りの駅の方に向かってスーパーに行っているらしいが、俺はそれを信用しない。
とりあえずは、道路側から阿弥野ケ原樹海を見ながら自転車をこいでいいた。
その間にいろいろ頭の中で考えを整理する。
(なんで純花は養子であることを嫌がっているんだ)
引っかかっているのはそこだ。
純花パパははっきりいって、純花のことを大切に育てていた。
純花の話をするときいつも嬉しそうだ。
だから純花パパと純花の確執はあまりないようにも見えた。
実際ウチの両親も純花の一家は、仲がいいと羨ましがっていたし。
(実の子供でもうまくいっていないのに、養子であんなにうまくいっているのに)
俺にとっては自分の家族が頭に浮かんだ。
俺の家には家族では今でもある問題を抱えていた。
その問題は、親子関係があまりにも劣悪な家庭。
それを考えながら俺はこいでいた。
間もなくして見えたのが、俺の足元に広がる大きな森。それは木が茂る森だ。
「ここには……いないでほしい。でもいるんだろうな」
そこは人一人を探すのをためらうほどに巨大な森が、眼下に広がっていた。




