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俺はゲームを一旦止めて、佳乃に説明していた。
それは佳乃に指輪を渡したところから始まる。
お茶会のお礼に、俺はゲーセンでとったオモチャだと嘘を言って指輪をプレゼントした。
もちろんそれがフローライト。佳乃は早速、青い指輪をつけるとすぐに見えなくなった。
青い指輪を、嬉しそうに受け取った佳乃がフローライトとしてゲームに参加した。
指輪の所有者がゲーム内で、佳乃の全てを鏡のように映していたという事。
全部を白状した。
白状したうえで、佳乃は何かを考えているようだ。
「ごめん……佳乃」
「いえ、何もおかしくないですよ」
「俺はずっと佳乃を……」
「おかしいとは思ったんですよ。私とお兄ちゃんのことを随分詳しかったので」
佳乃はニコニコしながら、それでもしっかり指摘していた。
何度も頭を下げて、怒られることは覚悟した。
「怒らないの?」
「はい~」
「でも佳乃のプライベートを覗いたようなものだし……」
「やはりおかしくはないです」
それでも佳乃の穏やかな笑顔は、俺の全ての罪を相手にすらしていないようだ。
なんという事だ、こういうときは怒られた方がかえってすっきりする。
怒られなければ俺の罪が残り、自責の念がより一層深い傷になっていた。
「佳乃、君は……」
「さすがに、裸とかは覗いていないですよね」
「え……ええ」
(だめだ、始めの裸で体育座りの佳乃の姿が頭に出てくる)
などと煩悩をかき消して、俺は佳乃に作った笑顔で答えた。
「そうですね、でもそれで私を助けてくれたんで、全然おかしくないです」
「そうか……すまない」
俺は佳乃の穏やか過ぎる笑顔に、心底懺悔の気持ちがあふれた。
「あの、何か画面が反応していますよ」
「えっ?」佳乃の指さす方を見ると、ゲーム画面が進んでいた。
ゲーム画面、ジュエル☆クイーン♡スクーリングのゲーム画面にドワ太が出てきた。
小さな小人が、深々と頭を下げてから薬玉を割っていた。
出てきた文字は『祝・フローライト攻略』と書かれていた。
「おめでとうございます、ようやく我が姫フローライトのエンディングを迎えました」
「この小さいのは?」
「ドワ太……ゲームのヘルパーだよ。妖精らしいちいさいじじい」
俺が佳乃に説明していた。
そんな俺の前で、咳払いをしながら青帽子のドワ太が続けていた。
「無事にエンディングを迎えていやぁ、めでたい」
「そうだな、このフローライトが終わりだからこれで終わりなのだろ?」
俺はまだよくわからなかった。だからこそドワ太に尋ねた。
「そうじゃった、そうじゃった。早速だが……新モードの突入を発表する」
「新モード?」
「そうじゃ、おっとわしもおるぞ」
俺と佳乃が覗くゲーム画面は、青い帽子のドワ太の他に赤と白も現れた。
「三匹いますね~」
「うん、このゲームは三匹いるぞ……」
「違うのじゃ、女王候補は全部で四人じゃ」と赤帽子のドワ太。
「その四人が女王になることができるのはたった一人じゃからな。これからが大変だぞ」と白ドワ太。
「その名も『女王バトルロイヤル』なのじゃ」と青ドワ太。
いちいち三人に分けて説明戦でもよくない?と俺は心の中で突っ込む。
それにしてもまた聞きなれない言葉が出てきたので、早速確認する。
「『女王バトルロイヤル』?」
「さよう。最後のフローライト育成完了で、四人の女王候補が無事育ったのじゃ」白ドワ太。
「でも、その中から一人の女王を決めないといけない。女王は一人だけじゃ」赤ドワ太。
「そうね、そして私もようやく岩本祭に来た甲斐があったというもの」
だけどそれはドワ太の声ではない。その声はリアルから聞こえた。
声の方に俺は思わず顔を上げた。
そこに立っていたのは、
「湯神子……」
「要はデスマッチ……あなたの女王候補と私の女王候補。
どちらが優れているかを戦うの、それが『女王ロワイヤル』」
それは黒いセーラー服姿の湯神子が立っていた。
その湯神子が普段と違って怪しそうな笑みを浮かべて、DSPを片手に俺と向き合っていた。




