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パソコン音楽部は、ボイカロイト上映をしてから二時間後。
岩本祭終了のアナウンスが流れた。
一般のお客さんは帰り、学校内は後夜祭に突入していた。
後夜祭とは岩本祭の終わりを惜しんで行う学生たちだけの祭り。
リア充高校生が、キャンプファイヤーを囲んで踊れや騒げのシメの祭りと工藤先輩が言っていたな。
夕暮れ沈む学校の校庭、祭りの終わりは少しわびしい。
学内にそんな空気が流れていた。
だけど俺は、後夜祭に参加しないで部室に戻っていた。
パソコン部の部員は意外と後夜祭へ出ていたので状況を知らない。
俺だけの部屋になった部室で、窓際の席を陣取ってじっと外を眺めていた。
夕焼けにキャンプファイヤーの周りに集まる人々。
(最後にフローライトの方を見て……一応は顔出すか)
俺のそばにあるのはスマホ。そこにはメールが数十通届いていた。
もちろん差出人は一人でアイツしかいない。
(純花がうるさいしな)
リア充共同体と勝手にかこつける純花を、無視するようにDSPをやっていた。
~~エメラルド城・フローライトの部屋~~
相変わらずの白黒で統一されたゴシック系の部屋。だけどどこか落ち着く部屋だ。
中央にはテーブルがあってそこにはフローライトの姿があった。
前回の井戸から出てきて、優雅にお茶をしていた。
リアルのイベントが終わって、フローライトの笑顔が見えた。
「私を助けてくれてありがとうございます」
深々と礼をしたのは、シアン色の華やかなドレスに身を包んだフローライト。
それはまさに佳乃そのものだった。
泣いている彼女の顔はなく、穏やかな笑みを浮かべていた。
「フローライト、兄とは和解できた?」
「はい、リアルで和解できれば私も幸せになりますよ~」
口調まで穏やかでおっとりしているな、フローライトは。
「そうか……」
「大臣は優しいのですね」
「優しくは……ない」
「いいえ、こんな私にも優しくしてくれるんですから」
「それは、放っておけないから」
「放っておけないですか~?」
だけど、この声は全く違うところから聞こえた。
それはゲーム画面じゃない、俺はおそるおそる顔を上げた。
上げた先に、パソコン部の部室ですぐ近くに顔があった。
その顔を見て、俺は思わず椅子から転がり落ちた。
だけどDSPを持っていた手は離さないぞ。
そこはリアル、フローライトと全く同じ顔。
コスプレのチャイナドレスを着たそいつは、
「よ、佳乃……」
「何やっているの?」
いつもどおりにこにこしながら、佳乃が俺のそばにやってきた。
すぐに右手に持ったDSPを覗いてきて、
「これ……私、ですか?」
「えと……あの……」
見つかった、いきなりの修羅場だ。
しかもよりにもよってフローライトのゲームをやっているところ佳乃に見られてしまった。
俺は嫌な汗をかいて、あたふたと手をバタバタさせた。
「教えてくれますか、どうしてゲーム内に私がいるのかを?」
そんな佳乃の追及に、俺はもう腹をくくるしかなかった。




