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愛してる、俺と一緒に死んでくれ――前世で私を殺した夫がなぜかぐいぐい迫ってきます〈コミカライズ連載中〉  作者: マチバリ


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 ごほごほと乾いた咳の音が薄暗い部屋の中に響く。

「大丈夫ですか、アラン様」

「ああ……ありがとうプルメリア」

 大きなベッドに座り書類を読んでいるアランの背中をプルメリアは優しく撫でた。

 骨張った背中は肉付きが薄く、触れているだけで折れてしまうそうだ。

「あまり無理はなさらないでくださいね。お身体が第一ですから」

 優しく声をかければ、アランは緩く首を振りプルメリアを愛しげに見つめてくる。

「本当に君は優しいな。君がいてくれれば僕はなんだってできそうだ」

「まあ、アラン様ったら」

 背中同様に骨張った手が、プルメリアの手をそっと握ってきた。

 そっと身体を寄せれば、アランがぬくもりを求めるようにすりついてくる。

「自分がふがいないよプルメリア。第一王子でありながら、何故こんな病弱な身体を持って生ま

 れてきてしまったんだろう」

 絞り出すように告げるアランは本当に辛そうだった。

 この国の第一王子という立場ではあったが、身体が弱いアランは頻繁に体調を崩していた。

 昨晩も熱を出したため、今日は大事を取ってベッドの上で書類仕事をしてる。

「僕もネロのように健康に生まれたかった。どうして私ばかりが、こんな……」

 ネロの名を口にするアランの顔は酷く歪んでいた。

 実の弟であるネロは、アランとは違い健康そのものだ。

「アラン様。自分と人を比べるものではありませんわ。アラン様にはアラン様の素晴らしいとこ

 ろがたくさんあるではありませんか」

 優しく言葉を選びながらアランを励ましてみるが、その表情が晴れることはない。

「いいや。ネロは僕が欲しいものを全て奪っていく。いつだってそうだ。ああ、君が僕を選んで

 くれたことは本当に奇跡だよプルメリア」

 熱っぽい瞳がプルメリアに向けられる。

「君だけは。君だけは絶対にネロには渡さない」

「……アラン様。大丈夫ですわ。ネロ様は私に興味はありませんから」

 だから安心してと優しく告げれば、アランは目元を思い切りつり上げた。

「嘘だ! ネロは何食わぬ顔をして君のことも奪っていくにちがいない!」

「アラン様! 落ち着いてくださいませ! ネロ様にはすでに婚約者様がいらっしゃいます。お

 忘れですか?」

 必死に声をかけば、アランははっとしたように表情を一変させた。

「ああ、そうだったな……確か、隣国の……」

「隣国からつれてきたご令嬢です。だから大丈夫なんですよ」

「そうか……ああだが……本当にそんな令嬢がいるのか? 僕を謀るための偽りではないのか

 ?」

「大丈夫。ちゃんといらっしゃいましたよ。かわいらしい方でした。ネロ様もとても大切になさ

 ってましたよ」

「ネロが? あのネロが大切に? 本当なのか?」

 アランの目の色が変わる。

「え、ええ」

「あの何にも興味を示さなかったネロが……?」

「アラン様?」

 青白かったアランの頬にうっすらと赤みが差した。

 その瞳にはぎらぎらとした熱がこもっており、プルメリアは自分の言葉がアランのなにかにひを

 つけてしまったことを悟る。


「あの、アラン様落ち着いて……」

「使いを出してくれプルメリア」

「え?」

「僕にいい考えがあるんだ」

 何か楽しいことを思いついたかのようににんまりと笑ったアランを見つめ、プルメリアはうっす

 らと口元に笑みを浮かべたのだった。

5月15日(金)よりゼロサムオンライン様にコミカライズがはじまります!

『愛してる、俺と一緒に死んでくれ~前世で私を殺した夫がなぜかぐいぐい迫ってきます~』

漫画はさもいち先生です!


どうぞよろしくお願いいたします。

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ゼロサムオンライン様にてコミカライズスタート

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