表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
STAR RAIN  作者: bagswife
30/30

崩壊の報せ

フローゼルの街に異変が漂っていた。


普段の活気がない。

人々の足が速い。視線が落ち着かない。

路地の角で囁き合う声が聞こえる。


「……何かあったな。」エリックが呟く。


「うむ。」


ソウジは立ち止まり、街の空気を読んだ。


「何か胸騒ぎがするのぉ。」


「フラットの元へ急がなくていいのか。」


「急ぐ前に確認すべきことがある。」


ソウジは踵を返した。


「先に本部へ顔を出すか。」


エリックは一瞬逡巡したが——頷いた。


====================


神栄団本部。


廊下の雰囲気が違った。

団員たちが足早に動き、顔が強張っている。

小声での会話が飛び交っている。


「……やはりな。」ソウジが目を細める。


正面から団員が駆けてきた。

ソウジとエリックを見て、目を見開く。


「オキタ様!エリック元隊長!よいタイミングで——!」


「何があった。」エリックが短く言う。


「それが……団長会議が召集されまして。詳しくは……」


「誰でもいい、団長に繋げ。」


「は、はい!」


団員が駆けていく。


しばらくして——廊下の奥から足音がした。


白銀の制服。

落ち着いた体躯。年は30代半ばか。

眉間に深い皺を刻んだ顔が、ソウジとエリックを捉えた瞬間——驚きに緩んだ。


「……ソウジ様。エリックさんまで。」


現トップ団長、アルバス。


「いいところに来てくれた。」


安堵とも困惑ともとれる顔だった。


「何があった、アルバス。」エリックが言う。


アルバスは一度廊下を見渡し——声を落とした。


「右大臣ジェイズ様が……殺されました。」


沈黙。


「……何?」エリックの顔が険しくなる。


「龍王室にて発見されました。外傷なし。痕跡なし。」


「……能力による殺害か。」ソウジが静かに言う。


「はい。そして——」


アルバスは一拍置いた。


「犯人の闘気の痕跡があります。」


「誰だ。」


「……セイレン団長。アイゼルバッハです。」


エリックの目が変わった。


ソウジは——何も変わらなかった。

ただ静かに、目を伏せた。


「……そうか。」


「ソウジ様、ご存知でしたか?」


「いや。」ソウジは首を振る。「だが……そうではないかと思うていた。」


アルバスは口を引き結んだ。


「今すぐ団長会議を開きます。お二人にも出席していただきたい。」


エリックはソウジを見た。


「……行くか。」


「うむ。」


ソウジは歩き出す。


「フラットのことは——今は信じるしかない。フユたちに任せよう。」


エリックは拳を握った。

それから——前を向いた。


「……ああ。」


====================


団長会議室。


大きな円卓に、各団長が集まっていた。

誰の顔も険しい。


アルバスが正面に立ち、口を開いた。


「皆に集まってもらったのは他でもない。右大臣ジェイズ様暗殺の件だ。」


室内の空気が張り詰める。


「犯人はアイゼルバッハ。現在行方不明。神栄団最精鋭の一人が——内部から牙を剥いた。」


誰かが息を飲む音がした。


「加えて——セルドア龍王は現在フローゼル不在。連絡が取れていない。」


「ここでの会議の話を持って左大臣に判断を仰ぐ。」

円卓に沈黙が満ちた。


エリックは円卓を見渡した。

それぞれの顔に——緊張と、覚悟と、わずかな動揺が滲んでいた。


ソウジは目を閉じていた。


まるで——何かを考えているように。


「ソウジ様。」アルバスが言う。「何かご存知のことがあれば。」


ソウジはゆっくりと目を開けた。


「一つだけ言える。」


全員がソウジを見た。


「アイゼルバッハは——単独では動かぬ。」


「どういう意味ですか。」


「背後に何かある。」


ソウジは静かに円卓を見渡した。


「この国が、大きく揺れる始まりじゃ。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ