3話 生徒会へようこそ!
「どうしたんだい?」
僕と燐火は躊躇う。
先程、将棋、囲碁部の人に酷い目に合わされたからだ。あれがなくても、生徒会室は躊躇するけどね。
それを話すと堂々先輩は、笑った。
「そうかそうか!でも、大丈夫だ!強制しないぞ!それに見学する機会等、そうないと思うけど?」
確かに。
生徒会室には、用事がなければ来ない。クラブの部長ならば、予算で争うので入室すると思うけど。
「では、お言葉に甘えて」
「右に同じく」
燐火も僕の後から入る。
生徒会室は思った以上に広かった。
教室1部屋はあると思う。色々な物が置かれており、棚にはギッシリと資料が敷き詰められている。棚の上にも置ききれない段ボールが乗せてあり、落ちたら大惨事となるだろう。
「どうだい?」
「思った以上に広いです。綺麗に片付けられてますね」
「5Sは基本だからね!」
「5S?」
「整理、整頓、清掃、清潔、躾の略だよ」
「成る程」
僕は感心した。
自分の家でも片付けが難しいのに、公共の場所でここまで丁寧に行えているのだ。流石、生徒会だと言える。
「日比野 燐火君」
「え!?はい」
「君に会いたかった」
え?先輩、ここで愛の告白ですか!?
僕は出て行った方がよいのだろうか?
「あ、あの、よく分かりません」
「ああ!ごめん!誤解を招いたね。ここの坂を自転車で登ったのを見ていたんだ」
燐火は顔を真っ赤に染めた。
上目遣いで、先輩を見る。やはり燐火も女の子なのだろう。堂々先輩は頭も良くて、顔も良い。人気者で告白が絶えないらしい。
「先輩も自転車で登ったのを聞きました。創立75年にて初めて登りきった人物だって」
「そうだね。そして、君が2番目。
だけど、女子では初めてだと思う。これは快挙だよ!日比野君!」
燐火は更に顔を赤くする。
首元までも赤くなっている。やはりイケメンは違うなぁと思った。僕みたいなフツメンが言っても、ナニソレ?で終わるだろう。
「日比野君は部活はとうするんだい?」
「あ、えーと、その、今は陸上に入るか悩んでいる所です」
燐火は僕をチラリと見る。
助け船が必要なのだろうか?
「それは残念だ!何処にも入らないなら、生徒会に誘いたかったのだけどね」
堂々先輩も僕をチラリと見る。
何故だ?意味が分からん。
「所で、寺師羽根君はもう部活を決めているのかい?」
「いえ。でも、文科系のクラブに入るつもりです」
「そうか!ならば、生徒会に入らないか?お試しでも構わない」
「え?平々凡々の僕が?生徒会は有能な人材でなければ、通用しないと聞いてますけど」
「そうだね。会計とかは能力が必要になるね。でも、生徒会はそれ以外に沢山の仕事を抱えているのだよ。例えば、校内の規律を守る。挨拶運動や、ボランティア。そして、今抱えている問題が、ね」
「問題?」
「うん。校内である遊びが流行っていてね。それを取り締まる必要があるんだ。でも、人員が足りてなくて、困っていた所なんだよ」
堂々先輩は窓の方を向いた。
部活をしている学生を眺めている。
「生徒会は、生徒会長、生徒副会長、会計、書記の計4名で構成されている。だけど、その他の雑用や校内の規律を守る人材が欲しいのだよ。雑用係がね」
「ねぇ、奏介。やってあげなよ」
「でも、僕には向いてないよ」
生徒会長はこちらを向き、何か閃いた様子だ。
「日比野君も生徒会に入らないか?見回りとか、二人っきりだよ?」
「入ります!是非!」
「な!?」
燐火!お前!何を考えてるんだ!?
体育会系の似合うお前が、文科系に入ってどうするんだ!!よりにもよって、生徒会なんて!
「燐火!陸上はどうするんだよ!」
「え?そんなの知らない。あたし決めたもん。生徒会に入る」
「さぁ!寺師羽根君も生徒会へようこそ!」
何故か僕まで生徒会に入る事になった。
僕は燐火をジト目で見る。だけど、目を逸らされた。この恨み、いつか晴らさずにはおられない!
こうして、雑用係となった僕達は、詳しい説明を受けるのであった。




