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隠密ジョブのメレンゲレンジ  作者: タ別


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第四十五話『転移魔法』




 姿写しの遺跡人形ジィーク・ジ・オリジナル転移せし戯蹟人形イクシード・オリジナルに進化した。

 ウララの魔法武器は戦闘時に攻撃力が増加し続ける最高峰の魔刀に進化している。


「闘技場と倉庫の一つに転移アイテムがありました」


「転移アイテムまで! メレンゲ王に会って最前線に戻るよ、ウララ!」


「メレンゲ王とは?」


 城内探索していたウララが転移アイテムを見つけて戻ってきた。

 転移せし戯蹟人形に封じられた転移魔法は【翔雷転移(グローリーテレポート)】という完全物理の転移。

 お餅の死王亡き戯杖を空中戦で使える転移魔法である。大自然族はシャフト命だ。


「トレジェリスの誇るパティシエだってさ。バフアイテムは確保したいよね」


「ミスリル鉱石は売ってください」


 そうするかな? 死獲の魔斧を手に入れたので祭壇の大斧は売ってもいいんだよね。


 ガーゴイだったかゴボーイだったか忘れたけど、プレイヤードロップを強化して使っていたのでコモンに変えた。

 ミスリル鉱石のNPC買取価格が15000コモンで、大体ハーフスタックを使用したので買取額は40万コモン。イクシード城で採掘したミスリル鉱石を入れると1mになった。


「このお店だね」


「メレンゲ城ですね」


「魔王城かもしれないよ」


 ギルド通りに佇むメレンゲ城にお邪魔する。

 魔王城の立ち並ぶスイーツの激戦区……城塞都市トレジェリスは平和だった。


「いらっしゃいませ~」


「メニューを見せてね。どれどれ……ミルフィーユ発見」


「焼き菓子はないですね」


「材料があればお作りしますよ?」


 色白の爆乳が弾んでいる。竜を思わせる風貌でパティシエの恰好は毒だ。

 桃色の竜眼に見定められながらブラウニータートルの素材を渡す。欠片や骨の他にも魔苔をドロップした。採取しようと思えば出来たかもしれない。


「カシー。私たちはここに残っていいですか?」


 ウララに続いておしゃれな店内のテーブルを女5人で囲む。

 ワーゴンとジッテ、ハルエルの3人はメレンゲ城の前で待機させた。セピュネを応援するならハルエルは連れてくるべきだったかな?


「いいよ。物思いにふけりながら最前線の街に戻るから」


「テフューラは付き人です」


「私の付き人だね! これでも垂界物だし!」


「ふらすことは何ですか?」


 ヴィシャは知らない? 巫女の上位職は分からないんだよね。


「負螺素粉があるのっ!?」


「うわ」


 羽衣の妖精が突然現れた! さては魔王……!


「貴女が城主ですか」


「そうよ! 魔王エメレン・レンゲ・メメレゲネメレンとはわたくしのこと!」


 レンゲを2つこさえた羽衣だった。エメレン・レンゲ・メメレゲネメレン……言える!!


「エメレン様が作ってくださるのであれば安心です」


 そうお願いすると上機嫌に羽衣を揺らした。


「いいわ! 任せておきなさい!」


「白竜の骨は使えますか?」


「使えるわ! 供物を寄こしなさい!」


 白竜と水竜の骨を渡すとエメレンは調理場にすっ飛んでいった。

 トレジェリスの魔王は戦闘職に対応する魔王じゃない。

 生産職がぶっ殺したくなる秘密(レシピ)拠点(エリア)を抱えたボスだ。


「色々と持ってきたくなるね~。イベント魂とかさ」


「永住はしないです。最前線の街に区切りを付けて一度始まりの街に戻りますか?」


「ハオーラルートを進めても面倒事が増えるだけじゃない?」


「お餅が魔女になれなければ魔女の館行きですね」


「隠し職業は他にもあるよ。お餅は知力がカンストしそうだよね?」


「しますね」


 お餅はパッシブスキルでジャックの加護を打ち消せる。

 レベル100と2つの加護を習得条件とするジャジィープロテクトの効果だ。

 私とウララもこのスキルを持っていて、熟練度が解放されると最大100となった。

 パッシブスキルは熟練度がカンストするとオンオフ出来る。

 それもステータスポイントが「一時的に戻ってくる」ので本来のステータスで戦える。


 ジャックの運用方法はこんなところだ。

 スキル検証は各段に捗るし、魔王の覚えめでたい存在になる。


「完成よ! これぞ竜の架け橋! 竜・城・道・門ドラゴニュート・ロードマティックス!!」


「トレジェリスは機械の街だった!!」


 エメレンが製作したのは食べるジオラマだった。

 魔王……これが魔王の所業なのか! イクシード城を魔改造して地竜隊を食い物にするプレイヤーの願望が生きたまま魔王によって封じられた! 騎兵の彫像はワーゴンだよね……? ナポレオンワーゴンだよ。


「機械じゃないわ! 動く地竜がいっっっちばん美味しいんだからっ!」


「私は食べるよ!」


「遠慮しておきます」


 君に決めた! 黒竜は食べないと損だよ!


「テフューラも食べておいて」


「地竜の踊り食い……うちは身悶えしてしまぁ~~!?」


「あら、毒に当たったわね!」


 【ドミネートヒール】ぅううっ!!






 【翔雷転移】を使うと城塞都市から最前線の街まで一時間もかからなかった。

 魔王級のMP回復バフと上質な魔力タンクに早変わりするテフューラのお陰で、【ミニスターエンジェル】を重ねがけしても【翔雷転移】を維持させられた。


「魔王エメレンには負けないよ! 大自然竜滝ドラゴニュート・ガイアフォールを食らえーーーっ!!」


『『おおおおおおおお~~~!!!』』


 大釜でぐつぐつと煮込んだ大自然竜滝を巨人族たちに振舞う。

 トレジェリスで見つけた巨大野菜は、大自然族が丹精込めて作っている。自生種でここまで巨大化することはなく、大自然族専用の掲示板では日夜研究がなされる。


 イクシード城の中庭で掬ってきた命水を5樽使って白竜肉のスープに特大のSP回復バフを与え、その日には宿屋の真裏に併設する巫女の屋敷を完成させた。

 青い屋根の古代宮殿だ。

 真新しく新鮮な空気を最前線に放つ竜の鱗は火神の手たる魔導師パゾースが結界に仕上げた。デザートに魔王料理を食べて【ミニスターエンジェル】をかけまくった。


 宿屋建造に移ろうとして少々問題が発生した。


「聖騎士団は魔女狩りの拠点に採石場を選んだと……あからさまだよね」


「カモられる理由はないです!」


 墳塞下流域でイベント期間を過ごしたサーチベリーは、新月の夜にグレーターデーモンと遭遇して情報を持っていた。

 私たちと別れた時にはレベル40を超えていて、パワーレベリングに付き合った恩を感じている。ドロップアイテムも大量に持たせたのでシールヴァルで整えられる最上級の装備を身に纏い、コークスリザードを狩りながらイベント当日を迎えて7日間を戦い抜いた。


 暗殺者でレベル90。

 悪魔系モンスターに強いパッシブスキルを習得したので最前線の街にやってきた。どうやら暗殺者がグレーターデーモンと遭遇することで習得するレアスキルらしい。


「サーチベリーは家具製作を習得しない? 屋根裏の一室を使っていいよ」


「木工は上げてます!」


「偉い! 私たちは採掘しまくるから岩鉱郡でレベリングする?」


「します!!」





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