第四十一話『巨人族の戦い 5』
料理人のジッテはワーゴンの兄弟だ。
弓の才も剣の才もなく、採取のみに特化している。
そして希代のギガンテス殺しだ。
「最北のギガンテスは朗らかだなぁ、兄弟!!」
「ううむ!! 集落までこさえるとはな!!」
お餅の索敵で見つけたギガンテスの集落を強襲する一騎と尖兵が語り合う。
集落に舞うのは敵の血あるのみ。
巨人2人が撹乱し、魔導師2人が陽動し、元暗殺者が仕留める。
炎で炙り出された敵影に突撃をかますウララは上位種族たる侍神族。
加護の力を1段階高める最強の種族だ。
ジャックの加護は覚醒し、ジャンヌの加護は拡大し、ジィークの加護は眠りについた。
「王獲刃戯!!」
ギガンテス・リーダーがウララの1撃で倒される。
瞬殺だ。
レベルでは同格の相手、しかもタフネスの高いギガンテスの上位種を瞬く間に討ち取った。ジャックの加護で低下したステータスポイントがまるまる入ってきて武影の刀から侍神族の太刀筋になった。
斬光が集落を飲み込んで、廃人勢の狩り場が1つ消失した。
イベントフィールドは競争率が高いので、フィールド奥地には挑まずに腐魏道門へと返り咲いた。
水竜の討伐ポイントはイベントモンスターの約10倍。
白竜の討伐ポイントはイベントモンスターの約50倍。
イベント終了まで2時間。
廃人勢の仲間入りを果たした私たちはランキング最上位を塗り替えるべく奮闘した。
『王都襲撃イベントが終了しました』
『ユニークイベントクエスト「巨人族の戦い」をクリアしました』
『ユニークアイテム「死獲の戯魂」を獲得しました』
『イベントクエスト「死獲配列ビンゴ」をクリアしました』
『アイテム「【ミニスターエンジェル】の魔導書」を獲得しました』
『終焉の鐘が鳴り響く――――』
『朽ちた聖杯は巨人族に返還され、渡り鳥は秀でた大湖の主に寄り添う――――』
『最上に第一に……世界はとめどなく流れゆく――……』
王都襲撃イベントの結果発表が行われた。
大多数のプレイヤーはイベント終了までポイントを稼ぐスタンスだ。
私たちはちょっと違う。
イベント終了で得られるボーナスポイントがあるので最終盤で巻き返せると踏んでいた。イベント開始直後にトップスリーを独占したのもあってラストスパートをかけた。
「廃人勢は一枚岩じゃなかった……!」
「ベスト8が精々ですね」
「おめおめ。5位以降とは大差がないし報酬ザクザク!」
イベントビンゴは結果が振るわず、ユニークイベントの追い上げもわずか。
廃人勢には巨人族の猛攻もさしたる脅威ではなかった。
レイドマップはとにかく広い。イベントフィールドと化してポップ率も上がっていたはずだ。王都襲撃イベントで活躍したプレイヤーだっている。
ウララは8位でGVP。
私は10位。MVP。
お餅は15位でLVP。
計四種類が確認されたイベント特別報酬を3つも獲得している。
残る1つはランキング1位のSVP報酬だ。
イベントモンスターの討伐数だろうと見当を付けたので、私たちはイベント進行の度合いが高かったことを意味する。その結果がイベントランキングの3冠だ。
「ウララはクエスト獲得のイベントポイントだよね」
「3人の中では一番多いですね。転生クエストの分があります」
「カシーのMVPはNPCの好感度?」
「一番取ってる自信はあるよ。お餅は何だろ? 第2陣だからかな?」
「プレイ時間とイベント貢献度で貢献度の比率が高いですか」
プレイ時間が短くてイベント貢献度が高いからこそ伝説級。
NPCの好感度管理をしてイベント進行しまくると最上級。
イベントクエストを熟しまくると大陸級。
イベントモンスターの討伐数で超人級。
以上の4つがイベントランキングの栄えある4冠になる。
討伐数は討伐数だよね。ポイント=討伐数だと廃人勢は数千のイベントモンスターを倒している。
「杖がダブった」
「そうなの?」
「剣王討伐で1本目の死獲の魔杖をゲットしてる」
「侍神族になって【武器合成】を得ています。戯獲の魔杖に変えられると思います」
「後でお願いする。ボスは倒されてない?」
「分かりませんね。ワールド情報では何かありませんでしたか?」
ワールド情報とは垂界物が得られる親切設計の裏情報だ。何かあったっけ?
「えーっと、怪羽放域硫のクルヘエーグは動いたよ。飛行型モンスターはもう出てこないね」
「巨人族の村は再興出来ますか……しかし死獲行列の残党が動くとなると」
伊達にイベントフィールドを制覇していないので、死獲行列の襲撃ポイントになりそうな場所は分かる。
王都襲撃イベントが収束して、今はアフターシナリオの真っ最中だ。
死獲行列が全滅していなくても、王都襲撃に割く戦力は軒並み消滅している。ノヴァは未討伐のはずなので多少は気にしておく。聖騎士団があれだったからね。
「しばらく最前線の街でスローライフだよ。巨人族の戦いはまだ終わってないよね!」
「あれだけ焚き付けましたからね……」
「MVPものだった」
照れるなぁ~。
MVP報酬は死獲の魔剣だ。ウララはGVP報酬で死獲の魔鎧をゲットした。
「レベルでは廃人勢に届きますか。悪魔族の集落から攻略します?」
「海沿いだよね? 最前線に巨人族の宿を造った方がいいよ。ウララはレベルを上げまくる?」
「それよりはマッピングがしたいです。呪い耐性を上げるのであれば魔人廃街道ですね」
「悪魔族の集落があるなら悪魔系モンスターはいるよね~」
呪い耐性を上げて加護の力を強める。
レベリングと平行出来るとなおいいので、高レベル帯のフィールドを攻略するのはありだ。悪魔族の集落は目印になる! 地図を持っているくらいだし悪魔族は大陸全土にいるんだろう!
「最前線の街でマップデータを集めるのは攻略組って感じだよ」
「巨人族の宿は『サ学』の流れ者です」
「巨人族の宿で資金繰りは良くなるよ。城壁はお金にならない」
「この世の定理はコモンから生じゅる」
「……なんで私を見るですかー」
天然と養殖の違いを見比べただけだよ。




