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銃と少女と紅い百合  作者: 彼方リカ
転校生ちゃんと不審者さん
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4-1 長い夏休みの終わり

 夏休みも終わりかけ、不真面目な学生が貯まっていた宿題に追われている時期の事。


「ただいま〜」 「ただいまっです!」


 白銀凛々奈と花守みいなは晴れた昼下がりを散歩がてら夕飯の買い出しを終えて帰ってきた。


「ん、おかえり二人とも」



 それを自分用のデスクから顔を向けて神代唯牙が迎える。



「いや〜まだまだ暑いね〜、日が落ちてからにすれば良かったよ〜」



 凛々奈は食材の入った袋を置いて空いた手でジャージの裾をパタパタと動かして風を体に送る。



「凛々奈さん! 先に買ったものを冷蔵庫にいれないと」


 その横をみいなは小さなビニール袋をもって歩いていく。うう〜、と呻きながら凛々奈は大きな袋を両手に持って後に続いた。



「みーちゃん! アイスは今食べる〜」



 二人が冷蔵庫の前でゴソゴソ食材を片付けていると。唯牙はパソコンのキーボードを操作していた手を止めて二人の方へ向き直った。



「片付けが終わったらみいなちゃん、ちょっとこっちに来てくれるかな?」



「? はい、わかりました!」


 子猫の様に首を傾けみいなは返事をした。すると急にぎゅっと何かに包まれる。凛々奈がみいなの首に手を回して抱き寄せていた。


「なによー! みーちゃんに何しようっての! センセ!」



「お前は黙ってろ」



 目も合わせず冷たくあしらわれた。凛々奈はブーッと口をすぼめて不機嫌そうな顔になる。



「凛々奈さん、早く片付けますよ」



 もうそんなやり取りに慣れてしまっていたみいなはせっせと冷蔵庫に食材を詰めていく。



「なんか二人が冷たいッ!!」



「お前がテンション高すぎるんだよ」


「高すぎるんです」


 二人が同じ様に言い捨てる。


「ん〜でも、なんかみーちゃんに冷たくあしらわれるのはちょっとドキッとするから、やぶさかではないわ!」


「なんでですか!?」



「ありがとう、みーちゃん、みーちゃんのお陰で私、新たな扉を開く事ができたかも」



「お前、日に日に気持ち悪さが倍増してるぞ」


 唯牙はパソコンのモニターに戻した視線を動かすことなく言う、二人からの視線が一段と冷たくなった。



「ふふ、冗談よ」



「ほんとですか・・・?」



 いつの間にか片付けはみいなが一人で終わらせていたようで二人は唯牙のデスクの前に来た。



「ソファに座っててくれ」



 言われた通りに座って待っていると机を挟んだ向かいのソファに唯牙が座る。



「で、改まってどうしたのセンセ?」



「だからお前じゃなくてみいなちゃんの事だって言ってるだろ」


 凛々奈はテヘペロッととぼけた顔でごまかしている。



「ゴホンッ、みいなちゃん、遅くなったけれど君が通う学校の用意が出来た、私の知り合いが運営している所で信用できる学校だ、準備に時間が掛かって二学期からの転入になってしまってすまないが、勉強については私とハルでサポートしていく、まあいろいろあったからね、もう少し落ち着く時間が欲しければまたいずれで構わないが」



「いいんですか? 私ただでさえお世話になってるのに・・・・」



「ああ、私は君のご両親の代わりになれるとは思っていないが、あの日から私は君を自分の娘の様に思っているよ、だからそんな気は使わなくていい」



「唯牙さん・・・・ありがとうございます」



「そこのハイテンション娘は同じ様に言ったら遠慮という物が消滅していたぞ、だから君も私達には気を使わないでくれると、嬉しいな」



「ハイテンション娘ってだれのことよ!!」



 無視して続ける。



「はい・・! 私学校、行きます! 行きたいです!」



「分かった、手続きを始めておこう、そうだ、次ハルが来たら少し勉強を見てもらうといい、アイツが一番教えるのが上手い」



「そうなんですね! 分かりました!」



 長い間、通えていなかった小学校にワクワクと少しの不安を抱いて心臓が高鳴るみいな、の隣でいきなり机をバァンと叩く凛々奈。


「ちょっと待って! て事は平日夕方までみーちゃんと会えないの!?」



「そりゃそうだろう」


 机に戻って書類の整理を始める唯牙。



「やだーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」



 今日一の声量。



「お前はいい加減に子離れしろ」



 今日何度目かの冷たい言葉。



「あ! だってさ!! 私達がずっと付いてないとまたあのフラムって奴みたいのが来たらヤバいよ!? 危ないよ!?」



「それも問題ない、お前も少しの間通っていたからあの学校のセキュリティは知ってるだろ?」



「エッ!? てことはあそこに通うの!?」



「そうだ、華皇学園、あそこなら何かあっても最速で私達に連絡が来るし、だれが来ようと間違いなく私達が着くまで時間は稼いでくれる筈だ」



「そ、そんな凄い学校なんですか!?」


 ワクワクしていたみいなが不安そうな顔に変わる。



 凛々奈は腕を組み不服そうに言う。


「う〜ん、凄いっちゃ凄いけど〜、所謂お嬢様学園でね〜いろんな所にお金掛かってるから」



「さっき言った私の知り合いもいるからな、私達の側に居る次に、安全な所だろう」



「そんな凄い所なんですね・・・ん? 凛々奈さんも通ってたんですか?」



「正確には今も在籍はしているんだよ、高校まで一貫校だからね、知り合いの好意で通わせて貰ってたんだが、絶賛不登校だ」



「もー! 私があんなお嬢様校に馴染める訳ないでしょ!?」



「みいなちゃんならきっと居心地がいい環境だと思うから、安心していいよ」



「は、はい!」




「ゔ〜〜〜〜〜〜やだぁ〜〜〜〜〜〜」



 いつの間にか凛々奈は床に倒れてこんでゾンビみたいな声で呻いていた。


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