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#25クトゥルー!

 まぁ色々な事があったけど何とか監獄から降りられた。

「もうペルさんが変な事するからこんな事になるんです!」

 ペルくんが顔を赤くしていう。

「はい。とっても反省しています!」

 私は笑顔で言う。

「それ反省してないよね…」

 はい。全く反省してません!

「とりあえずお熱いお二人さん。早くお城に向かいませんか!」

「お熱くない!」

 ココくんの顔が真っ赤になっていた。可愛いな…今度、私の家に連れ込もうかな。

「まぁお城に近づいてみようか」

 私は2人に笑顔で言う。ココくんはすぐに態度を切り替えて

「はい。けどどうやって近づくんですか?」

 ココくんが言う。それが一番の問題だ。魚人族のクーデターに紛れて近づくことはできると思う。けど魚人族に人間だと気づかれたら最後捕まってしまう…

「俺とペルさんは紛れていけると思うんですけど…」

 魚人族になって近づく事も出来るけど、ココくんが出来ない。

「それはダメだよ!」

「何でですか?」

「ココくんが1人になっちゃうから!」

「それもそうですね〜」

 リックンはニヤニヤしながら言う。

「そ、そんな僕は1人でも大丈夫ですよ」

「けど1人だと危ないから強行突破はしようよ!」

「強行突破ですか。する必要あるんですか?」

 特にない。私がスキル変身で上手く魚人族に変身できないからって言うのがでかいかな。

「特にないけどもう一部の魚人族には人間が監獄から抜け出したことはバレてると思う…」

「それもそうですね…」

 私とココくんが悩んでいると、リックンがまた面白い案を出した。

「じゃあアニメとかである屋根の上走ろうぜ!」

 よくあるアニメとかだと屋根の上を走って、相手を捕まえるやつみたいに屋根の上を走るのかな?

「けど滑って落ちちゃうと思う」

 ココくんが足を震わせて言う。確かに滑って転けたりしたらかっこ悪い。

「そこは心配するな!」

「お、何かいい案があるの?」

「それは屋根の上に乗ってからのお、た、の、し、み!」

 他に案がなかったから私たちはリックンに言われるままに、家の屋根に登る事にした。

 私は猫の獣人だから高いところに登るのは得意。リックンもリスの獣人で高いところに登るのが得意らしい。ココくんはというと…

「待ってください!」

 登れていない。ココくんはクマの獣人。上に登る事はあまり得意ではない。それにココくんは木登りの経験がないらしい。まぁおぼっちゃまが木登りすることなんてないか…

 私は結構してたな。木登りって楽しいし、高いところから周りを見渡す事も出来るし。

「ペルくん頑張って!」

「彼女が応援してるぞココ!」

 そ、そんな彼女なんて…

「彼氏じゃないから!」

 下からココくんの声が聞こえる。どう頑張っても登れないみたい…私は一度飛び降りる。これはおんぶできるんじゃないの!というかおんぶせざるを得ない。

「ペルさん?」

「ココくん、おんぶしてあげる!」

「お、おんぶですか!」

「うん!」

 私はココくんに背を向けてしゃがむ。

「ほら早く!」

 私は笑顔で言う。

「そ、そんな別に大丈夫です!」

「登れてなかったよ」

「それは…練習ですよ練習。これから登りますよ!」

 ココくんは水道のパイプをを伝って登ろうとする。しかし少し登ると落ちてしまう。屋根の上からリックンが

「ココ、諦めてペルさんにおんぶしてもらいなよ」

「うー」

 ココくんがそっぽ向いて拗ねてしまう。

「別に登れない事は悪いことじゃないから」

 私は拗ねているココくんに言う。ココくんは少し悩んで言う。

「わ、わかりました。ぺ、ペルさんお願いします」

「任せて!さぁどうぞ」

 私は再びしゃがむ。ペルくんが手を肩にかけてから、ゆっくり背中に体重をかける。ココくんが乗ってくれた…ココくん軽い。これなら余裕で登れる。

「ぺ、ペルさん」

「どうかした?」

「な、何でもないです!」

「そう、じゃあしっかりつかまっててね!」

「はい」

 背中からココくんの声が聞こえる。この状態でずっといたい。屋根の上からリックンの声が聞こえる。

「ココ、ペルさんの胸触るなよ」

「さ、触らないよ!」

「私は触ってくれても一向に良い…」

「触らないので安心してください!」

 ココくんは私の言葉を打ち消す。そんな恥ずかしいことじゃないと思うのに…

「気を取り直して行くよ!」

「はい」

 私は水道のパイプに足をかけてゆっくり登って行く。私もこんな弟欲しいな〜可愛くて頼ってくれる弟が。

 というかココくんが欲しい。

「ペルさん?」

 背中からココくんの声が聞こえる。

「どうかしたの?もしかして苦しい?」

「いや、苦しくはないんですけど。重たくないですか?」

「重たくないよ。ココくんは小さくて、軽くて、癒しの存在なんだから重たいわけないでしょ」

「そ、そんな恥ずかしいこと言わないでください…」

「そう、私はそんな恥ずかしくないよ」

「ペルさんはもうちょっと恥じらいを持ってください。色々見えかけてたりするので…」

 最後の方だけ声が小さくて聞きづらかった…えっと、色々見えてる。それって私の素肌とかかな。もしかしてどこか透けてる?というか今更だけどここってちゃんと空気あるんだ。けど色々見えているってどういう事…

 私は登りながらココくんに聞く。

「あの…ココくん。色々見えているってどういう事?」

「それは…言い間違いです」

「言い間違い?違うよね。見えてるなら直さないといけないから言って!」

「そ、それは…その…」

「その?」

「その戦闘中とかに下着が見えてる…」

 え、私下着とか戦闘中に見えてたのかな…

「本当に?」

「本当です。なので下着の上に体操服を着た方がいいですよ」

 やばい…色々見えちゃってたんだ。後で下着の上に何かはかないと。けどあまり恥ずかしくない。実家だと下着なんて着けてなかったからかな…


 私はココくんを背中におんぶしたまま登りきった。上ではリックンが手を出してくれた。

「ペルさんお疲れ様です!ココを背負いながら大変でしたよね?」

「別に軽かったから大変じゃなかったよ。それに大事な事も教えてくれたし」

「大事な事って何ですか?」

「それは私の下着が見えてるって事だよ!」

「ペルさんそんな事言わなくていいんですよ!それに声が大きいですよ!」

 私の背中から降りたココくんが急に大きな声を上げる。

「急にどうしたのココくん大きな声出して?」

「急に大きな声を出してじゃないですよ。リックンには聞こえないところで言ったのに!」

「え、そうなの?別に知られてもいいじゃん」

「良いわけないでしょ!」

 なんだかんだ私たちは無事に屋根の上に登った。

「じゃあココも屋根の上に登ったから、早速お城に向かおうか!」

「「うん!」」

 私たちは屋根の上を走ってお城に向かった。屋根の上はあまり滑らない。屋根の上から見てみると魚人族たちはそれぞれ看板を掲げている。看板にはそれぞれ王様に対しての批判が書かれている。

「増税反対!」「戦争反対!」

 など様々なことが書かれていた。まぁそれも後になれば治まることだけど。

 クーデターを起こしている魚人族たちやそのクーデターを鎮圧しようとしている魚人族の目に私たちが入る。私たちが目に入った途端に魚人族は口々に呟く。

「あ、あそこにいるのは獣人じゃないか!」「この国に獣人がいるの?」「きっと王様の差し金だ」「王様反対!」

 この状態は私たちは敵対されているのかな…攻撃とかして来なければいいけど。

「ペルさんどうやって場内に入りますか?」

 ココくんが後ろから走りながら聞いてくる。

「どうやって入ろうか?」

「ペルさんのあのスーパービームでお城を壊すことはできないんですか?」

 リックンが前を走りながら聞いてくる。確かに聖剣エクスカリバーならお城を1つ壊すなんて簡単だろう。けど私の魔力量ではまだ打てない。

「まだ魔力量が足りてないと思う…」

「そうですか…」

 地道に侵入するしかないのかな…

 しかし次の瞬間。私たちが想像していない事が起きた。お城の一部の壁が壊れて、煙が立ち込める。煙の中から丸い頭をした紫色の邪神クトゥルーが現れた。ピンク色にして、牙とか抜いたら可愛いと思う。

 魚人族の民衆から怯えの声が上がっている。中には逃げ出す者も現れた。あれ、もう誰か王様と戦ってるのかな…

「ペルさん!あのタコなんですか!」

 リックンが驚きの声を上げる。

「な、何だろうね…」

 この状況ではあのタコが何なのかがわからない。それに何が起きてるかもわからない。

 私の頭の中では『あのタコさんに滅茶苦茶にされたい』とかいう自分でも何考えてるのかわからないことを考えていた。触手で無理矢理…

「もしかしてクトゥルーですかね…」

 私の変態思考をココくんの落ち着いた声が止める。危ない…あと少しで帰っては来れない次元に行ってしまうところだった。私は深呼吸して脳に酸素を送る。

 来たか。クトゥルー!私はついにこの邪神クトゥルーと戦うのか。私のエクスカリバーが聖なる光で邪神を貫くぞ〜

「ココくん。早速あの邪神倒そうよ!」

「早速って言ってもどうやって倒すんですか?」

「それは…」

 やばい。倒しに行きたい。倒しに行ったけど触手で体を縛られてそのままじっくり弄られたい!

「2人とも…あのクトゥルー?の様子おかしいですよ」

 リックンが私とココくんに言う。危ない…気づいたらまたそっちの変態思考に…いつもの私は何処へ?

 数時間前の私はそこまで変態じゃなかったぞ。私は再び深呼吸をしていつもの思考に切り替える。

「え、様子がおかしい?」

 私はよく見てみる。特におかしいとは思わないけど…

「特におかしくないと思うけど…」

「確かにおかしいですね。邪神だったらもうちょっと暴れるはずなのに暴れてませんね」

 確かによく考えてみればもうちょっと触手をいっぱいだして、国ごと崩壊させるイメージがあるのにあまり周りのものを壊してない…

「ク、クトゥルーの上に人が乗ってます!」

「え、どこだよココ!」

「あそこですクトゥルーの頭の上です!」

「え…あ、本当だ!人が乗ってる」

 ココくんとリックンは人を見つけたらしい。クトゥルーの上に人…ありえないでしょ。そんなあんなタコの上に人が…乗ってる。

 クトゥルーの紫色の頭の上にちょこんと1人の女性が座っている。しかも正座して何か飲んでるんだけどあの人…

「ココくん、クトゥルーの上にいる人は、なんで正座して何か飲んでるの?」

「そ、それは知りません」

「とりあえずクトゥルーに乗ってる人に話しかけに行かない?」

 リックンが笑顔で恐ろしいことを言っている。

「そ、そんな事無理だよ…」

「行けるよ。ココは論理的だからいけないよ」

「リックンは適当だからいけないよ」

「そんな適当じゃないよ!」

 リックンが反論する。

「ペルさんはどうしたらいいと思いますか?」

「とりあえず行ってみたい。あれが魚人族の王様かもしれないから!」

「だろ!だから行こうぜココ」

「うーん。けどどうやって行くの?」

 確かにどうやって行くんだろう。

「クトゥルーの足に乗って行く!」

「そんな事出来るわけないでしょ」

「そんな事やってみないとわからないじゃないか!」

 リックンは屋根の上を走ってクトゥルーに向かって行く。そしてリックンは縄を巻き付けた短剣をクトゥルーに向かって投げる。短剣はクトゥルーの丸い頭に浅く刺さる。そしてそのままリックンは縄を登って行く。流石、リスの獣人の事だけはある。そのままリックンは登りきると誰もがそう思っていたその時、クトゥルーの頭から短剣が抜ける。リックンの体重に耐えられなかったようだ。そのままリックンは真っ直ぐ下に落ちてしまった…

「「リックン!」」

 リックン…君はいい子だったよ。

「リックンー」

 ココくんは叫ぶ。その叫び声の速度を凌駕する速度で、何かが私たちの後ろからリックンに向かって飛んで行った。

 私はそれを目で上手く捉えられなかった。私たちを後ろから風が扇ぐ。

「グリフォン。いっけー」

 それはリックンを空中で受け止めた。私たちはそれが空中で静止した時に全て分かった。

「え、ミケ!」

「え、あのグリフォンの上にミケさんが乗ってるんですか?」

「うん。ミケとリックンがグリフォンの上に乗ってる」

 リックンを救ったのは、グリフォンに乗ったミケだった。ミケはドレスアーマーを靡かせていた。まるで天空を支配しているものの様に優雅で美しかった。

 私はミケに向かって大声で言う。

「ミケ、何してるの!」

 私が叫ぶとミケがグリフォンに乗って近くに飛んできた。

「何って、人が落ちたから助けたんだよ」

「ミケさんはグリフォンに乗って、何をしているんですか?」

「私は雪さんと一緒に王様を倒してたんだよ!」

「王様を倒してたってどういう事なの。それに雪さんって誰?」

 私は状況がよく掴めていない。それはココくんもそうだろう。リックンなんてもっとそうだろう。

 私たちはミケに何故こうなったのか説明してもらった。


 〜ミケ、説明中〜


 私がミケの説明によって理解したのを簡単にしてみた!

 ミケによるとギョギョさんは本当は雪さんというプレイヤーらしい。

 雪さんは現実だとココくんのお姉さん。白宮雪しろみやゆきさんらしい。ココくんがあまりにも長時間ゲームをしているのが羨ましくなってログインしたらしい。雪さんはカクカクシカジカでメイリアスの街に辿り着いて、海で釣りをしていたらしい。そこで魚人族が現れて、魚人族と戦闘して魚人族に勝ったらしい。その後、スキル変身を使って試しに魚人族に変身したらしい。そこで私とココくんを見つけたらしい。そこで魚人族になりきって登場してみたら、ココくんに怖がられて私が気絶させたという事らしい。


 私はミケから聞いて他にも知りたい事があった。

 ミケが乗っているグリフォンとあのクトゥルーは何…何がどうなれば出てくるの!

 クトゥルーって確か邪神だよね。雪さんはもしかして邪神を召喚したの?それって悪の女王か何かじゃないの!というか雪さんはどこにいるの?私もグリフォンに乗りたい!

「ミケ、雪さんはどこにいるの?」

「雪さんはクトゥルーの頭の上でお茶を飲んでるよ」

 あのクトゥルーの上にいる人ってココくんのお姉さんだったんだ。

「ココくん」

「何ですかミケさん」

「雪さんがみんなクトゥルーの頭の上に来て〜だって。みんなの分のお茶菓子準備してあるよ〜だって」

「どうやってですか?」

「クトゥルーの大きい触手に乗ってくれれば、クトゥルーが持ち上げてくれるって」

 私たちは雪さんからの指示通り触手の上に乗って、上に運んでもらった。

 クトゥルーの頭の上にはこたつとみかんが入った籠が置いてあった。頭の中心だけお茶の間が出来ていた。どうやってお茶の間を作ったんだろう。近づくにつれて疑問が増えていく一方だった。

 遠くから女の人の声が聞こえた。あれが雪さんかな

「ココ〜お茶菓子準備してあるよ。皆さんもどうぞ〜」

 なんか茶色い髪の毛でフワフワしてる人が待っていた。ココくんがそばによって言う。

「雪姉さん…何をしてるんですか?」

「私疲れちゃったから、こたつでゴロゴロしてるの…」

「何で邪神クトゥルーの頭の上でくつろいでるんですか?」

「安全な場所がこの子の頭の上にしかないから。それにこの子はクゥーちゃんだから。まぁとりあえずココちゃんもこたつに入りなよ〜外は寒いよ」

 と雪さんは言ってこたつに潜っていった。

 なんだろう。この人の行動…実家で暮らしていた時の私にそっくりだ。

 私、この人とは仲良くなれそうだ!

次回予告!

ココくんのお姉さんの雪さんとまったりお茶を飲みながら、クトゥルーの上で話す。

何でこんな所にいるのか!そしてこの邪神クトゥルーは何なのか!

次回明かされる!

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