#101昼食は?
私たちは皙さんに連れられてメイリアスの商店街にあるとあるお店に足を踏み入れた。
引き戸を引くと中はシーンとしていた。
店内はお肉をお湯につける装置が付いた机がいくつかおいてあるのが見えるが、今は開店前なのか椅子は全部机の上にあげられている。
「ここはこの世界でも珍しい現実と同じようにしゃぶしゃぶが楽しめる店だよ」
「しゃぶしゃぶですか?」
リックンが聞き返す。
しゃぶしゃぶって全国、異世界どこにでも存在する食べ方なのでは?
「そう、しゃぶしゃぶ。このワールドホリゾンの世界には焼肉や串焼き、丸焼きとかそういう食べ方はたくさんあるけどしゃぶしゃぶだけは存在しないらしいな」
「そ、そうなんですか……」
「すみません。まだ開店前なのですが……」
奥の方からそろそろとココくんと同じぐらいの身長の女の子が出てきた。
こ、この可愛いロリっ娘はなんだ。
このお店の店主なのか?
「あ、美香約束通り志太くんを連れて昼食を食べに来たぞ」
あのロリ店主の名前は美香というのか!
けど志太くんって現実の名前を出しているってことはココくんの知り合いなのか?
「え、本当に連れてきてくれたの!」
「嘘つく必要がないだろ……」
皙さんが呆れながら言う。
ど、どういう関係だこの人たち。
私には皙さんと美香ちゃんがココくんにどう関係しているのかよくわからない……
「そ、それでどこにいるの?」
「お前の目の前にいるだろ」
「あ、ココくん!」
そういうとココくんに抱きつく。
「え、え、えっ……」
「ココ知り合いか?」
「わ、わからない」
この状況にココくんも困惑しているご様子。
「雪さん、この子はココくんの知り合いですか?どういう関係ですか?」
ポットも困惑して雪さんに聞く。
この状況を理解できていないのは私だけではないようで安心した。
「ポットちゃん、この子は美香ちゃんって言って皙くんの妹さんよ」
「い、妹だと……」
これは可能性あるんじゃない?
私が皙くんと親しくなるとロリ少女とも仲良くなれるのでは?
「ペルちゃんどうしたの?」
「な、なんでもない」
雪さんが笑顔で聞いてくるが即対応。
べ、別にエッチなこと想像したわけじゃないし……
「み、皆様初めまして…わ、私は黒宮皙の妹の美香と申します。ど、どうぞよろしくお願いします」
見る限り悪い人たちではないようだ。
「え、美香ちゃん!」
ココくんも何か思い出したようだ。
「思い出した!」
「うん、思い出した」
「けど私のこと忘れてるなんてひどいよ」
「す、すみません……」
「まぁ、可愛いから許してあげる」
なんだ、このロリ少女は……
なんか発言からSな雰囲気を感じる。
「それでここのお店は美香さんが?」
「うん!」
「す、凄いですね」
「えへへ〜志太くんに褒められた〜」
な、なんだこの柔らかい女の子は!
もしかして私の新たなるライバル的な立ち位置の存在なのか!
だとしたら早急に排除しなければならない。
それになんだ……
胸の大きさが少し大きい気がする。
ココくんと同じくらいの年の女の子なんてペッタンコかまな板、良ければ丘とか楯状火山
「実際は俺が資金を集めたんだが……まぁ、いいや。美香、昼食をお願いして良いか?」
「了解!じゃあお兄ちゃんはいつも通り加工して来て、私がお水とかおしぼりをやるから」
「料理担当は美香の仕事じゃないのか……」
「今はお客さんが待っているんだよ。お客さんを待たせちゃダメでしょ」
「はい、はい……」
皙さんはしょんぼりとして厨房へと向かっていく。
「しょうがない。私が手伝ってあげましょう!」
雪さんが皙さんの後について行く。
こ、この状況はなんなんだ!
私には理解できない領域で話が展開されているぞ。
「それじゃあお客様、お席に案内させていただきます」
こうして私たちは謎の兄妹が営んでいる飲食店へ足を踏み入れた。
「美香さんってなんて呼んだらいい?」
リックンが先頭を歩く美香さんに聞く。
確かに現実の名前を使っているはあまりいないからなぁ……
「私は現実でもゲームでも美香です」
「そうなんだ……」
お、同じ名前なんだ。
そういえば雪さんもだけど名前を現実と同じにする人って意外と多いのかな?
「美香さん、ここって商店街の一角ですけどお値段はどれくらいしたのですか?」
ポットがお金事情を聞く。
そんなお金事情を聞いて何になるのだろうか……
「私もよくわからない。お兄ちゃんが全部お金を出したからそういうお金事情はまったくわからない」
「そ、そうなんですか……」
というか皙さんがお金を全部出したってあの人何をしたの?
だいたいお店とかを始める時ってお金がいっぱいかかるんじゃないの?
それを全額皙さんが負担ってお金持ちなのか!
「ここがお部屋となります。お兄ちゃんが料理を運んでくると思うのでしばらくおはなししませんか?」
………ということで私たちは料理が来るまで何かを話すことになった。
次回予告
僕は今何故か服を買いに来ています。
作者より大報告!
猫愛好家がVRMMOに猫を連れてきました!の絵師さんが遂に決まりました。
私が知り合いから紹介をして頂いたセギイさんという方です。
今、美由紀ちゃんやココくん、雪ちゃんなどを書いていただいているので乞うご期待を!