◇130◇紫色のグラデーション
僕は、待ち合わせ場所の解放スペースに向かう。
そこは、イスもテーブルもなく本当にただのスペースだった。
いかつい冒険者達が、立って話をしている。
その人達が、僕が入ると振り向く。そして、待ち合わせている奴じゃなかったと、また会話に戻った。
これは、フードなしでイラーノが入ってきたら目立つだろうなぁ。
年齢的に、僕でも目立つ。同じぐらいの冒険者はいない。たぶん、一人で行動なんてしなからだろうけど。
入り口付近で待っていると、イラーノが入って来た。
若い自分達は、凄く目立つと外に直ぐに出る。
「あれだね。あそこだと待っていづらいね」
「うん。イラーノがすぐ来てよかったよ」
「で、クテュールは何受けたの?」
「僕は採取。森に行ってくるよ。イラーノは?」
「俺は、ギルドの方。ヒーラーの仕事はそこしかなかった。僕は3時まで」
話によると四交代らしい。朝9時から午後3時まで。時間が過ぎているけど、治癒した人数なので、今から行くらしい。
待ち合わせ場所を青い鳥の前にした。
そして、冒険者ギルドの前でイラーノと別れる。
「じゃ、また後で」
「うん。僕はジーン達とまったりやるよ」
「いいなぁ」
そう言いながら手を振り別れ、僕は森へ向かう。
急ぐわけじゃないから歩いて街の中を歩く。
でも門から30分は遠く感じる。前は、五分程だったもんな。
◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆
「ジーン」
森に着きすぐにジーンを呼んだ。
ジーンはいつも通り尻尾を振り、僕に駆け寄った。一緒にリリンも来た。無事だ。よかった。
「二人共、おはよう」
『おはよう』
『おはよう。待ちくたびれたわよ』
「ごめんごめん。ちょっと寝坊しちゃって」
『今日は、一緒に居れるのか?』
「うん。一緒に採取に行きたいんだけどいいかな? 森の奥に連れて行ってほしい」
『了解した』
「ありがとう。ジーン」
僕は、ギュッとジーンの首元を抱きしめた。
リリンはリュックに入ってもらって、ジーンに乗って森の奥へ向かう。
途中止まって地図で確認しつつ採取場所へ向かった。
ジーンの足で2時間近くかかった。
ちょっとした崖も登ってくれて、僕なら行けない場所だったかもしれない。
イラーノを乗せては無理だろう。採取は、基本一人がいいかも。
「ここら辺みたい。ありがとう。ジーン。ゆっくり休んで」
僕は、ジーンの頭を撫でる。ジーンは、目を細め気持ちよさそうだ。
リリンをリュックから出した。
早速採取を始める事にする。
紫ぜんまい草を100個。小指程の大きさで、紫元の木の周りに生えている。
そして、その木の葉も採取する物だ。紫元の葉を10枚。
って、テキストを見てみると、紫元の木というのは紫っぽいらしい。必要なのは木の上の方になっている葉らしい。だから☆4なのか。
まずは、紫っぽい木を探さないと……って、直ぐに見つかった。
木だけじゃなく、周りに生えている紫ぜんまい草も紫色だから、なんか不気味な感じにそこだけ紫だ。
木の葉は、上に行くほど紫になっていて、紫色のグラデーション。
さてまずは、紫ぜんまい草を採取しちゃおう。
昨日もらった保管袋に、紫ぜんまい草を入れていく。10分程で終わった。
次は、葉っぱか。
僕は木を見上げた。
手が届く所に枝はあるけど、懸垂しないと登れない高さ。
しかも、この枝に付いている葉でなく、もっと上の枝に付いてる葉を採取しなくてはいけない。
僕は暫く木を眺めていた。
これ、何か道具がないと登れないな。
もしリリンが登れたとして、葉を取ってこれないだろうし。
三日あるし、依頼があるぐらいなんだから取る方法はあるはず。
まずは、紫ぜんまい草を完了させておこう。
『たすけて……』
うん? 今声が聞こえたような?
僕は、辺りを見渡すけど、リリンは近くで草を食べている。
ジーンは、顔を上げジーッと遠くを見ていた。
「ねえ、ジーン。今、声が聞こえなかった」
『向こうから聞こえた。助けを呼ぶ声だ』
ジーンが見つめる先から聞こえたらしい。耳がいいなジーンは。
助けを呼んでいるなら言ってみよう。
「ジーン連れて行って! リリン、リュックに入って!」
『了解した』
僕は、ジーンに乗り声のした場所へ向かった。




