第6章02話 叔父さんに報告
マネさんとテリッチさんと一緒に温泉の池で粉を流してから宿に行くと、アデルさんが既に待っていた。
「4人で飲むのは久し振りだな。今日はカニのソテーが有るそうだ」
アデルさんがニコニコしている。針を抜いた効果は凄いものだ。
「アデル、相当調子が良さそうだな」
「体調が良くなった上に、攻撃し放題の戦闘で気分がすっかり良くなった」
アデルさんとマネさんが普段の調子で話している。
「でも、これで国王と戦争状態確定ですか?」
「僕はそうとも限らないと思ってます。非は国王側に有りますし、今のところ此処まで出兵する予算を立てられ無いですよ」
テリッチさんが理解したような、して無いような顔をしている。
デカいカニ足のソテーが来た。これは美味い。ヘフナドルフにカニが来るようになったらしい。
「美味いですね、セリちゃんとミアさんを呼んであげましょうか?」
マネさんが二人を呼ぶとすぐにワープして来た。
「カニ食べたいと言ったら、御屋形様が祝勝会でもして来いって出してくれました」
叔父さんも女の子には甘いようだ。
「でも司令は食べ終えたら30分くらい顔を出せとの事です」
ミアさんがイヤーな予感の伝言を持って来た。
カニ足のソテーが配られ全員満足しながら、今日の話を嬉しそうに話している。透明リングを付けて空から攻撃していれば、狙われる確率は相当下がるので楽しいのは理解出来る。
「ミノル、そろそろ行かんとマズいぞ」
マネさんがニヤニヤしながら俺に言う。
「そうだな、余り待たせても変なものだな」
アデルさんまで勝手な事を言う。
「副司令は来ないんですか?」
「お呼びはミノルだけだ。飲みながら待っているので頑張って行って来い」
元気が良くなった途端にこれだ。
「テリッチさん、今日の戦利品見せて下さい」
テリッチさんがマジックバッグをくれた。隣のテーブルに中身を出すと、豪華な長めのダガーが有った。
「これの魔法付加は何です?」
テリッチさんはダガーを調べて教えてくれた。
「魔法威力が2倍に魔法バリアー破壊と除霊に呪い除けですか。珍しい組み合わせですが、使い道は大きいですね」
柄の部分に赤い魔石が付いてカッコ良い。ラルドさんに貰った新型再生で鞘と一緒に新品にすると、凄く見栄えが良くなった。
「司令、私の杖も……」
セリちゃんが自慢の杖を差し出している。
「いいよ」
再生するとセリちゃんの杖は全然見た目が違う。黒っぽい杖が濃い色の紫檀の杖のようになった。セリちゃんが大喜びしている。
緑の魔石が中心に付いた少し大きく、チェーンが長めメダルが3個在る。
「この効果は何です?」
「魔法威力と防衛の増加ですね」
「じゃ、今日のご褒美ね」
セリちゃんとミアさんに1個ずつあげた。2人共歓声を上げて喜んでいる。
「ダガーを叔父さんに届けてごまかして来ます。アデルさん、マネさん、テリッチさんも欲しい物が有ったら取って下さい。残りは売っちゃいますよ。騎士団と警備隊の経費になりますから」
俺は館にワープした。執務室に顔を出すと叔父さんと兄さん達が居た。
「ミノル、良く来た。入れ」
「これ叔父さんにプレゼント」
「凄いダガーだな」
鞘から抜いて眺めている。
「魔法威力が2倍に魔法バリアー破壊と除霊に呪い除け、珍しい組み合わせで使い道は大きいですよ」
「これは良いな、使わせて貰うぞ」
早速、剣帯に取り付けた。
「ミノル、今日来て貰ったのは王宮とのこれからの対応なんだよ」
ノア兄さんが困った顔をしている。
「気にする必要なんて無いですよ。向こうだってカッコ悪くて宣戦布告も出来ないと思いますよ。非は向こうに有るのだし、こっちは対抗措置を取っただけですから」
「そうか? 向こうの兵力は大きいぞ」
「無いですよ。今日300くらい騎士団を削ったので、残りは1200くらいになっている筈ですよ。王都守るのに500は必要だから、出兵は最大で800くらいですからホフマブルグを落とせませんよ」
「王宮派の貴族の軍も有るぞ」
叔父さんが慎重そうに言う。
「最大で隣のボロミア公爵さんですから、1万の軍を集めるくらいですかね。例え1万5000来ても不利にはならないと思ってます。
先日のオークみたいに、いきなり現れるなら大変ですけど街道を進んで来てホフマブルグ正門前に陣地を設営なんてさせませんもん」
「それもそうだが……」
「そもそも、お金が無くて簡単には軍を出せないと思いますよ。今日、王立銀行を無くしましたから明日は取り付け騒ぎの可能性だって有りますよ」
「確かに言えているな」
「今まで通り何も無かったような顔をしていれば良いと思います。戦争だって守り抜いたら勝ちですから」
「そうするか」
叔父さんも少し納得したようだ。
「レナの事なんだが、少し困っている」
「お母さんは自分の部屋に籠もっていると聞きましたが」
「うん、籠もって口も利かん。夜中に3階に出入りしているようだ。安心して会合にも行けない」
「パーティーとかで散財して、館の物を王都で売って金を作っていた形跡も有るのよ」
フェン兄さんの話に愕然としてしまった。
「そこまで腐りました?」
「残念だけど。お母さんの部屋を調べると良いのだろうけど、誰も入れないしな。部屋から変な魔力も感じるんだよ」
「変なって?」
「怨みみたいな、気持ち悪いのよ」
「困っているのだがミノルならどうする?」
叔父さんが真剣な顔で聞いてくる。
「僕に聞かないで下さいよ」
「いや、日本ならどうする?」
「日本ならですか……座敷牢に隔離ですね。此処だと離れの牢部屋でしょうか……人前に出づらい服装にして……逃亡防止ですけど」
「それしか無いか」
「テリッチさんに頼んで明日、魔法封じの魔法陣書いて貰います? 後は警備隊から女性隊員の扉番出して貰うとか」
「頼めるか?」
「出来ますけど。呪いなんか出されると困りますし、針1本持ち込ませないようにしないと」
「朝にテリッチさんに封じの魔法陣だけでも頼む。後は儂が判断する」
「了解しました」
せっかく気分が良くなって来たのに、嫌な仕事が来てしまった。




