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9-4 嘘は反逆者達の生き様を観る④

ミーアは意外と観ている

「4人ずつ部屋を取ってよかったのになんで一緒の部屋にするんだ。お金のことなら気にしなくていいんだぞ。」


「そういう贅沢はダメよ。確かに協力を受ける立場だったとしてもお金は大切にするべきよ。」


 デジャヴを感じる。ミッシーか、ミッシーが同じようなこと言ってたな。


「言いたいことは分かるが男女の大人が一つ屋根の下というのは如何なものかと思うんだが...。」


「そう?若かったとはいえ士官学生時代なんて殆ど鉢巻の部屋で寝てたわよ。問題なんて一回も起きたことないし大丈夫よ!シドウさんにはカリスさんがいるじゃない!」


 鉢巻の忍耐力はバケモノ並かよ。俺だったら四六時中ムラムラしそうだぞ!クリスさんには事情を話カリスということにした。バレてくれることを安易に祈ったがダメだった。


「あたしとシドウはそんなんじゃないって言ってんじゃん千秋〜。」


 なんで本気で騙しにいくんだクリス!裏声を出し表情に雰囲気は別物だ。完璧すぎる!変なスイッチでも入れてしまったかな。


「それこそ千秋と鉢巻は本当にデキてないの?めっちゃ仲好さそうじゃん!同棲で何もないことはないでしょ~」


「うーんそういわれるとそうなんだけど。鉢巻ってそういうやつだし。」


 いやだからそこまで分かってるふうなら付き合えよ!千秋も好いてはいるはずなんだがどうも発展しないんだよな。


「お前ら五月蠅いぞ。買い物を頼むカリス。金とメモだ3日分の食料を頼む。」

「シドウは人遣い荒すぎんよぉ~はいはい。」


 俺は二人を叱りつけ、カリスには買い物に行かせる。


「悪いがさっきの抗争で傷だらけで疲労も溜まっていてな3日間は待機していてくれ。」


 俺はベッドに横になりながら回復魔術を自信にかけている。


「それは構わないがシドウさんはそれでいいのか?先ほど治療で体を見てしまって悪いが、ダメージ痕が痛々しいなんてレベルじゃないぞ。過去にどんなことがあればそんなんになるんだ。病院に行くべきだと思うぞ。あるかしらんが。」


 身体能力は別だが地球の時の姿では魔力が不安定で傷を反射魔術で隠せない。


「心配は不要だ。昔やんちゃしてな、この有様さ。無謀なことをし続けた対価でもある。こうならんためにも念入りな準備をし事に当たることが大切だと肝に銘じてるのさ。」


 勝負に負けることの要因は99%は前準備不足が原因だと俺は考えている。例えどんな相手でも弱点は存在する。ルール無用であれば俺はどんな手段を用いようとも勝ちを手に入れる。負けることは許されない。負から得られると言う者がいるが、それは負けが許される場合だけだ。そんな生ぬるい世の中で生きてこなかった俺としては戯言にしか感じない。


「シドウさん!そこまで分かっているのにマフィアと抗争とか何を考えているんですか!私はシドウさんに無茶をさせられなくなりましたよ!...それでも戦わなければいけない理由があるんですよねきっと!」


 俺は一度とて抗争をしたいなんて望んでないぞ。戦っていた理由はあくまで同盟目的だ。お前に潰されたがな。そして俺自身には戦う理由なんてない!もし地球のように平和であればこんなことせずユイと幸せな人生をとっくに歩んでるわ!


「鉢巻さん。悪いが俺はな今凄く同情してるよ。この女思考回路ぶっ壊れてんのか?」

「シドウさんあんたに忠告するよ。こちらが折れる方が問題は最小限に収まるんだ。下手気に挑発をしないことを強くオススメする。」


 お前もミーアのこと知り尽くしてるなら貰ってやれよ!もう一生鞘になってやれよ。こいつの暴走止められるの鉢巻以外考えられないよ!


「二人とも何ですかそのもの言いは!グチグチ言ってると姑みたいでモテないよ?シンドウ君を見習ってほしいね。大胆不敵でどうどうとしていて、凄くストイックな感じなんだけどしっかりと周りをよくみて気遣っている。人に対して厳しさも持ち合せながらも見捨てず人を導こうとする意志がある。そして決して負けない鋼の精神と度胸!...くぅ~シンドウ君本当にかっこいいわね!早く元気になって私に会いに来て欲しいわ。」


 なんでこんなに好感度MAX状態なのだろう。確かにあの時は言葉選びを間違えたかもしれん。ヤマタケのように王道への道って言うのを意識したからかもしれん。いや~はっずかしいわ。やばい思い出すと俺は気でも狂ってたんじゃないかな。


「シンドウさんのことは分かりませんが、大層素晴らしい方なんですねきっと。それなら尚更シンドウさんの回復を待ってから動いた方がいいのではないですか?」


「私もその方がいいとは思ってるし、シンドウ君ならそうしろって言うに決まってるわね。わがままかもしれないけどやはりダメ。その個人的な感情入ってしまうのだけど...シンドウ君の信用を勝ち取りたいと思ってるのよ。」


 何を言っているんだ?別に俺はミーアや鉢巻を疑ったりしたことないぞ。


「シンドウは他人に頼らず最善策を取り続ける、他人に気を許すことはないと言いたいんだろ千秋。」


「堅いわね〜鉢巻わ。ただ単にもっと私を頼ってくれるようにするため好感度を上げたいだけよ。」


 ...。なんだろうな。周りからはそう見えているのか。確かに俺は全ての指揮や命令をトップとして出している。他人を信用しきるなぞ俺にはできん。例え仲間と位置づけしていても命令は全て俺が決め実行させる。意見はしっかりと聞くが結論のところでは変わらない。俺以上の策略家を俺は知らん決して誰も失わないようにするためのだ。


「千秋はシンドウのことよく見ているんだな。やはり俺が出る幕はなさそうだから安心したよ。」

「?鉢巻も手伝ってよ~シンドウ君は恐ろしく精神力が強いから弱みを見せないけど普通は今までのようなことをしていたら精神はすり減っていくもんよ。私はシンドウ君を明るく元気にすることができるかもしれないけど、根本的なところは鉢巻の方が分かってやれるんじゃない?」


 なんだろうかな。ミーア7はそんな風に考えていたのか。盗み聞きなんて真似は敵であればしたが味方のなんてめったにしたことがない。不満の声も愚痴も聞いても仕方ないと思っていたし仲間であればどうどうと話してくれていたからな。短期間でもこれだけ観られ思われていたんだな。鉢巻のミーアは世界を救うって言うのもあながち間違いではないのかもしれんな。


「悪いが二人とも席を外させて貰う。やらねばならんことができた。待ってていてくれすぐ戻る。」


「はいは~い」


 千秋が返事をした。やはり感謝しなければならんよな仲間になるであろうミーアにはな。


 ◇


「....ブブブブ。」


「..あわわ。電話が鳴ってるけど出ていいのかな?」

「シンドウから渡されたケータイだったか。こんな時だ緊急性は高いかもしれんから出た方がいいんじゃないか。」


「もしもし。私はエリア戦指揮団第8副リーダーの春日 千秋と申します!..あいえ、これは元ですね。えーと...。」


「自分の情報を暴露してんじゃねーよミーア。無事だったか?鉢巻もいるのか?」


「シンドウ君!?ええ私達は無事よ。鉢巻もいるわ。そっちも無事なの!どこにいるの!」


「悪いが正確な場所は言えん。あまり動ける状態ではなくてな困ったもんだ。」


「クリスさんが一緒にいたはずなんだけど?いるかな?」


「いないな。正確に言うと俺から姿を暗ませて貰った。マフィアから狙われている状況を把握できたからこそ殆ど動けないことを鑑みてこうした。」


「..!?シンドウ君はクリスさんを巻き込むまいとしてるのは分かるけど危険過ぎるよ!」


「俺はそうは思わない。クリスは1人である方が逃げられる可能性が上がる。俺は仮にクリスが相手に捕まったら居場所がバレて詰みだ。信用できるわけがあるまい。」


「....。じゃあ、じゃあ私が行くから!お願いだから場所を教えてよ!」


「ミーアには悪いが俺は見つからない自信がある。回復次第合流するから心配不要だ。そして俺のことを心配する余裕があるなら自分達の心配をしろ。お互い動けば動くほど危険なのは分かっているだろ。」


「もう!いいから教えなさいよ!絶対見つけ出すんだから!そちらの方が危険でしょ!」


「はぁ〜。横暴すぎるぞ。言わんったら言わん。仲間をみすみす危険な目に遭わさられるか!これでも感謝してるんだぞミーアにはな。」


「感謝してくれるんだったら逆に教えてくれたっていいじょない〜。」


「そういうなら撤回するかな。ミーアには他にやって欲しいことがある。だから連絡したんだよ。現状ミーアしか頼れないだよ。俺は動けんしケンジとは連絡がつかん。信用してるからこそ頼みたい。お願いだ俺に力を貸してくれ。」


「...はぁ〜シンドウ君はずるいよ。その言い方は反則よぉ〜もう!何をしたらいいの?」


「この区画でマフィア共のボスになってくれ。マフィア共を蹴散らし配下に置いといてくれ。」


「...あの~。流石に無理なんじゃないかな?」


「そうかミーアには無理か...やはり俺がやるしかないよな。」


「ちょ!ちょっと待って!私がやるよ。だから無理しないで!」


「んじゃ頼む達成したらご褒美でもやるよ。2週間くらいで回復すんだろ。また連絡するわ。」


「え?...切れちゃった。...。シンドウ君がデレた!鉢巻~シンドウ君がデレたよ!」


 鉢巻は思う。

 俺の平和な日常がこの電話一本で崩れ去ったのだろうことを。俺は千秋から離れられん呪いでも受けているのか?

「はぁ~。」


 おそらくこの呪いはシンドウにもかかったことだろうよ。人生の岐路を間違えないように反逆を続けようじゃないか。必ず押し付けてやるからなシンドウ!


 ◇

 同時刻


「らしくないことを言ったな。他人を信用することは難しいな。だがご褒美はやろうじゃないか。」


 ミーアのことを一番よく見ている鉢巻をなんとしてもくっつけて二人とも幸せを掴ませる。これ以上ないご褒美だろうな。マフィアとの戦いでお互いを意識し合いピンチを救いあう。吊り橋効果ってやつだ。


「必ずくっつけてやるからな鉢巻!」



 二人の反逆者達はお互いの生き様を観る。ミーアの運命は二人の反逆者に委ねられるのであろうか。





二人は錯綜しマフィアは巻き込まれることになるだろう。

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