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9-3 嘘は反逆者達の生き様を観る③

シンドウは戦うマフィア相手でも

「知と体それぞれ2人が相手するということでいいんだな。」


「私をご指名であれば両方可能だが、女性に体の勝負させるのはいかがなものかと存じますので知だけに限させて貰うよ。」


 クリスさんなら不利な勝負でも知なら勝てる筈だ。


「では体の勝負を先に行うことにする。勝負内容は簡単だ。攻撃をこの場所で防ぎきってみせろ。この路地裏から逃げたらこの話はなしだ。」


「了解だが、防げる物は防ぐが避けられる物は避けるからな。」


 俺はクリスに退避を合図する。全部防ぐのは不可能だからな。


「それで構わん。スタートだ、死なんようにな!」


「...ぐぅ...。」


 突進して来た。まさか何の技もなくただ突っ込んでくるとは思わず軽く吹っ飛ばされる。


「ほう、受け身を取ってダメージは最低限にか。これはどうだ。」


 錬成魔術でドスを投げてくる。俺は一本ずつ自分が錬成した小手で弾き続けて撃って来たピストル魂を躱す。


「ドスとピストルの二段構えか。」

「まだまだこんなのお手のもんさ。」


 このオッさん強いな。年はまだ30代後半か?凄まじく場慣れしてそうだ。


「....!?」


 オッさんは驚いているな。俺はいきなり地中から這い出て来た鎖を手で掴んだ。魔力で動かしていると見える、器用だな。


「手元に集中させてからの足元への攻撃か、いやらしいことするじゃないか。」


「躱されたのは久しぶりだな。三段構えくらいでは無理か。」


 魔の流れも気の流れも観えるため不意打ちはおおよそ予測できるしこの程度であれば問題ない。


「ちなみに隠れている部下が建物に4人銃を構えていて、遠くの建物の屋上に2人配置していることも分かっている。俺には当たらんから早く試してみろ。」


 オッさんの驚きようが増したな。人の気配ってやつだ。いることは分かるが強さは分からん。銃を構えてるっていうのもブラフだ。


「実力は本物らしいな。遠慮なくいかせて貰う!」


 オッさんはガトリング砲を生成した。...おいおいマジかよ。そんな高度な錬成可能なのかよ。そして建物の中にいた4人が電柱サイズの棒を俺の周りに放り投げてくる。逃げ道をなくすつもりか!


「確かにいきなり容赦がねぇーなおい!」


 ガトリング砲をぶっぱなされる。何百発もの銃弾が連続でやってくる。殺す気満々だなこりゃ。


「...ドダダダダダダダダダダダ...。」


 2分程撃たれて続け土煙が舞う。


「バキィィィ!!」


 俺はガトリング砲を空中から落下する勢いで膝蹴りし破壊した。


「これでも死なんか。しかも始めは手応えがあった防ぎつつ、途中から避けたな。」


「流石に全弾防ぐのは無理だからな。最初はできるか試したが諦めたさ。せっかく買った服がボロボロだぞ畜生が!」


 弾のスピードはギリギリ目で追えたが、体が反応しきれなかった。途中からは空中に退避し弾切れと同時に破壊しに行った。


「まだ続けるのかい?次でラストチャンスにさせて貰う。それで納得できないならこちらとしても話はなかったことにする。」


「そうだな。こちらとしてもこれ以上の攻撃手段もあまりないからなラストにしよう。必ず殺してやるよ。」


 おかしいな趣旨が変わってないかな。同盟組む予定のはずなんだが。


「てめぇらやるぞ!!全力で殺せぇぇぇええ!!」

「「「「シャァァァァ」」」」


 目つきが怖いよ全員ドスやピストルを持って襲いかかってくる。最終的に肉弾戦かい!しかも人数増えてるよ8人いや9人か。


 2人のドス攻撃を後ろに飛び避け4人のピストルしゃがんで躱し、地面からの鎖攻撃を転がって躱したところで...


「おいこらグレネードとか投げてきてんじゃねーよ!」


 2人が6個ほど投げてきたのを爆発する前に上に蹴り上げる。汚い花火だ。


 しかしこいつら連携が取れているな。ここのボスは優秀だな。


「なんだこれは?」


 白い靄のようなものを放出してくる。毒かと思ったが違うようだ。そして俺は嫌なものを見た。あれ火炎放射器だな。つまりこれ水素か...頼むからやめて下さい。この狭いところでやったら皆無事では...。


「せこいよ!あんまりだぞ!」


 水素を放出と火炎を放射担当の前で他の組員が盾となって構えている。


「...ド..ドドド..」


 連鎖的に爆発が起きてるよ!俺は冷静に考えに考え…


「あっ。これ詰んだわ。」


 爆発は起こり続けて 俺は死ぬだろう。くっユイを抱きたかったな。人生を走馬灯のように振り返る。ロクでもない人生だったな。幼い時から人を騙し金を手に入れないと生きていけない環境、這い上がったはいいが親の不始末で刑務所送りにされ暴力の毎日。抜け出して身分を偽り日常を送ろうとすれば俺の過去がバレ史上最凶の極道に目を付けられ手を血に染め。今度はアカシに目を付けられ学園に通う嵌めになった。全くよ~地球にいた頃の方が楽しかったかもな...。


「....。」


「....。」


「?」


 あれ?痛くないな。一瞬の出来事すぎてあっという間にあの世行きだったのかな。


「なに勝手に死のうとしてんだよシンドウ。俺は許さんと言ったはずだぞ。」

「...シキなのか。お前も地獄行きだったか。一緒に仲良くやろうぜ。」


「死んでないからなシンドウ。お前なんか老けたか?よく見れば姿が変わってるし人違いか?でもあの動きは間違いなくシンドウのはずだしな...。」

「ふむ俺は助かったのか。そういえばシキは瞬間移動のようなことができたんだったな。移動において最速はマカベだが短距離に限ればシキより早いやつはいないからな。」


 俺は崩れた建物の瓦礫の上に倒れていた。昔から思うがなぜ俺は死なないだろうな。何回死の恐怖を味わったことか。


「でもなんで助けてくれたんだ?いくら許さないって言っても放置する場面だろ。」

「さっきクリスに会ってな。助けて欲しいって頼まれたんだよ。あいつには借りがあるからな感謝しろよ。」


 昔から不幸続きでやることなすこと全て裏目に出て最悪の結果しか生まない。周りを不幸にする才能があるというなら俺のことを指すのだろう。だが死に関してだけは運が強かった。死にそうになれば偶然助かるし、自殺を考える度に生きる目的ができる。ままならんな


「クリスにはでかい借りができちまったな。シキはクリスに惚れてるのか?...痛い。」

「お前はいつからそんな色ボケになったんだ。昔の方が遥かに強かったぞ。」


 頭を蹴られた。そして耳の痛い言葉だな。流石にブランク長いんだ勘弁してくれ。それでも気が緩んでいたかもしれんな。


「監獄にいる最中には感を取り戻すさ。んじゃマフィア共を放置してるから戻るわ。お前はどうする?クリスとこの場所で幸せに暮ら...痛い。冗談だって。」

「お前のせいで働くニート生活が台無しだ。監獄からそろそろ出るかな飽きたし。じゃあな。」


 シキは去って行った。やはり一緒には来てくれんか。でも今回は助かった感謝してるよ。



「おいおいお前ら水素爆発とはエグイ真似してくれるじゃねーかよ。」


 俺は退避していた最初に会ったマフィアがいた付近の場所に瓦礫の上から飛び降りる。都合がいいことに爆発で奴らも散り散りになって1人しかいない。


「まだ生きていたか。お前人間かよ。」

「人間だよ。なんでかなよく本当に人間か?と問われることはある。」


 この問答何回目だろうな。俺だって殺されれば死ぬぞ。


「これでラストだな。どうだ同盟を組む気になったか?」


「実力は分かった。俺も構成員の1人だからなボスにだけには話は通させて貰う。」


 好きにしろよもう。俺はクタクタだ。流石に体が癒えきる前にこんな戦闘になると思わなかったからな。こいつら強いよ。


「ボス、話があります。例のルーキー達の件です。実力は本物でした。彼らと敵対することはデメリットでしかありません。ですから彼らと..ゴホォ。」


 え?何やってんのお前。


「物凄い音立ててる所に来てみればカリノファミリアは私達以外にもこんなことしてるの。信じられないわ!悪即斬よ!」

「千秋まずいだろこれ?確かに大勢で1人を囲うなんて外道は許せんが...。」


「おい何があった!返事をしろ坂本!」


 電話がスピーカーモードになったのかボスの声が聞こえる。あ、これ詰んだわ。


「あなたがボスね!こんな非道をシンドウ君は絶対許さないわ!あなた達は必ず潰す。顔洗って待ってなさい!」


 何言ってんのミーアよ。本当に空気が読めなさすぎてどうなのよこれ!鈍感な上に本当災厄しか呼ばねぇ〜。そして電話切りやがった。


「千秋勝手な判断でいいのか?俺はあまりあの男を知らんがこういう無鉄砲なことはしそうにないんだが。」


 当たり前だ!わざわざマフィアに喧嘩売るような趣味はない。


「分かってないわね鉢巻は。シンドウ君は困ってる人をほっとけない優しい子よ。危なっかしさがあるけどそこがまたキュンと来るんじゃない!」


 分かってないのはミーアだ。俺はそんな善人ではないぞ。例えば飢えて苦しむ人がいても俺は募金すらしないぞ。


「いや俺が見た限りだとボランティアとか慈善活動なんて絶対やらんタイプに見えるぞ。なんていうか助かりたければ自分でなんとかしろ。甘えるな!とか言いそうだが。」


 鉢巻の方が俺のことよく見てんじゃねーかよ!お前への好感度上がりっぱなしなんだけど!


「これだから鉢巻は人を見る目がないわね。だからモテないのよ〜。それじゃ好きな人に一生振り向いて貰えないわよ。」


 そうだな人を見る目はないかもな。まさか本人にこんなこと言われるなんて思っていなかっただろう。


「はぁ〜。そこの人が呆れた顔してるぞ。どうするんだ千秋。」


「これはこれは挨拶が遅れましたね。私はシドウと申します。」


 あまりこの姿を仲間内でバラしたくないからな。潜入する方法としてこれが最適なのでクリスには言ったがこの区画でどうせ別れるからいい。


「シドウさんね。私は春日 千秋と言います。こちらは桂木 鉢巻ね。私のことは千秋でいいわ!」

「俺のことは鉢巻と呼んでくれ。苗字で呼ばれるのは好きではないからな。」


 家族のこと思い出したくないんだなきっと。初めてフルネーム知ったが感慨深い物があるな。


「分かりました千秋さんに鉢巻さん。お助けいただきありがとうございます。恩人に忠告で申し訳ないのですが、この町でカリノファミリアに啖呵を切ることは大変危険です。逃げた方が良いかと思いますよ。」


 マフィアとの抗争なんてしたくないからな、逃げてくれれば折りを見て合流すればいい。


「俺もそう思うぞ。相手の戦力が分からん以上迂闊に手を出せば返り討ちだ。」


「情けないことを言わないの鉢巻。シンドウ君なら壊滅させることくらいできそうだよきっと!あの時のボロボロになりながらも戦う姿勢 を見てこのくらいことで逃げられるもんですか!」


 逃げろよ!俺はどんな敵にも負けない強い意志を持て的な意味で戦ったわけじゃねーよ!


「確かにあの戦いは心を揺さぶられたが、せめてシンドウと合流してからにしよう。」


 千秋に弱いんだよなこいつ。まぁ妥協点としてはありだからグッジョブだぞ。


「シンドウ君は大怪我してるのよ。クリスさんと身動き取れない状態が続いてる筈だわ。目覚める前になんとかマフィアの一つや二つ壊滅させないと合わせる顔がないじゃない!嫁としてね!」


 ツッコミどころしかないわ!俺はどんなやつだと思ってんだよ!相手の首持ってこいとか言うほど極悪に見えんの!後お前は嫁じゃねーよ!


「....うーん。シンドウが動けない間に貸しを作って千秋との仲を発展させる餌とするにはありかもな。釣られるかは分からんが結末としてマフィアとの抗争はある気がするし。」


 なんでそこまで千秋を手放そうとするんだよ本当に!好きなんだろ!あぁ〜もうこの雰囲気じゃ元の姿に戻る空気作れないじゃん!千秋は俺に変な幻想抱いてるし、鉢巻はバレたら脅すネタに使われ兼ねない!


「その話を聞く限りではシンドウという方が強いようですが負傷とのこと。仮にあなた方だけだと数としてあまりに少ないと思います。お仲間は他にはいらっしゃらないんでしょうか?」


 せめてケンジの所在だけでも掴んでくれてないかなという望みをかける。


「強い人がいるにはいるんだけど...シンドウ君の言う事しか聞きそうにないんだよね。」


「情報は掴んではいるが、ここと正反対の場所で大暴れしているという噂があった。俺達の手には余るから無理だし遠すぎるな。」


 ケンジィィィィイ!!肝心な時にいないんだから!何やってんだよあいつは!


「つまり2人でマフィアを潰すと言うんですね。不可能だ!と言いたいところなんですがそれでもやると?」


「私だって死ぬつもりはないわ。本当に無理なら諦める。だけど隠れてコソコソし続けるのは嫌だわ。売られた喧嘩は買う。それだけよ。」


 なんて男らしいやつなんだミーアは!


「覚悟は伝わりました。でも恩人をみすみす死地に赴かせることこのシドウは許しません。3日下さい。私も協力します。狙われているのでしょう?宿と食料を提供しますよ。」


「助かるわ!汗でベトヘドだったのよ。食事もラクなの食べてないし!鉢巻もいいわよね?」

「シドウさんを信用しきるのは怪しいところだが、マフィアに襲われているところを見ると、少なくともこの町では敵ではないか。」


 俺の提案には食いついて来た。金も寝床もなかっただろうからな今後の計画を練らねば。マフィア潰しか....相当恨み買いそうで怖いな〜。



ミーアよお前は余計な真似ばかりするな...。

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