学習能力の高さ
ソルベの花探しに付き合い始めて少し経ったいつもの日々。
当然そんな花は情報すらないわけだが。
それでもマイペースに花を探す事に変わりはない。
そんな中ソルベの思わぬ才能を目撃する。
「ねえ、ここ最近ソルベが頻繁にキッチンに立ってない?」
「そういえばそうだな、この前の炭素を見せられたら不安ではあるが」
「あれは流石に食べたら体に悪そうでしたよね」
「お前達、うるさいぞ、それよりオムレツを焼いたから味見をしてくれ」
ソルベがここ最近頻繁にキッチンに立っていたのも料理を勉強するためらしい。
アルに言えた事ではないが、あの炭素を見ているだけに不安がよぎる。
「ほら、オムレツだ、遠慮なく食べろ」
「…普通に綺麗なオムレツね」
「中身は生とかじゃないですよね?」
「ソルベさんはとても学習能力が高いので安心ですよ」
「木花、つまり確実に上達していると解釈していいのか?それは」
恐る恐るアルがそのオムレツを口に運ぶ。
ベリンダもそれを不安そうに見ている。
ソルベは自信満々な顔をしている。
肝心のその味はと言うと…。
「…美味しいわね、というか凄く美味しいんだけど」
「本当ですか?なら私も…」
「ふふ、ソルベさんは教えれば出来る人みたいですよ」
「僕は元々勉強が好きだからな、どんな事でも勉強は得意だぞ」
「要するに学習能力が高いという事か、この前の炭素からこの短期間でこれか」
アルが素直に認めてしまったようだ。
ベリンダもその味の成長ぶりに驚きを隠せなかった。
木花の言うようにソルベは学習能力がとても高いという事らしい。
そのとても綺麗なオムレツはプロのそれであった。
「むぅ、あんたこの短期間でこんな上達するとかどんな学習法使ったのよ」
「ついでにだし巻き卵というのも作ったんだ、食べてみろ」
「ほう、ならいただくとするか」
「だし巻き卵って何気にシンプルで難易度高いんじゃ…」
「そこはソルベさんの素質ですよ」
ソルベの作っただし巻き卵を食べてみる。
その味は当然のように絶品で、成長の速さを感じ取ってしまう。
「おいおい、だし巻き卵をこんな美味しく作れるのは簡単な話ではないぞ」
「料理はきちんと教わって全部覚えた、あと独自の配分も作ったぞ」
「凄い学習能力の高さですね…あの炭素ってついこの前の話ですよ?」
「ソルベさんは熱意はありますし、負けず嫌いかつ努力家ですからね」
「その性格が学習能力の高さを見事に引き立ててるのね、恐るべし」
ヘルムートすら驚くその成長。
ついこの前までポンコツ同然だったとは思えないその腕前。
負けず嫌いで努力家、そこに学習能力の高さが見事にマッチングしているようだ。
つまり向上心の塊のような性格なのだろう。
単にやった事がないだけだったのかもしれない。
そうとしか思えないぐらいには上達が早すぎるので、脱帽するしかなかった。
「それと木花、頼まれた洗濯もしっかり終えてるからな」
「それは感謝します、助かりますよ」
「洗濯まで覚えたのね、もう家事担当として戦力に換算したら?」
「全くだ、この前までのポンコツっぷりが嘘のように思える」
「なんか覚えるのも才能っていう感じすらしますね、これは」
ソルベの上達っぷりには全員が驚いていたのは言うまでもない。
要するに教えれば一気に吸収した上にそれを昇華させていくのだろう。
才能なのか努力が上手いのか、ソルベの性格は上達に必要なものが詰まっていた。