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無限大図書の底  作者: うにくらげ
私とゲームでも
5/18

ゲームとは何を表す言葉なのだろうか。私は単語の後ろにゲームという名前を付けて、成り立てばそれはゲームなのだと考える。ボードゲーム、人生ゲーム、テレビゲーム、カードゲーム、コンピュータゲーム。人は暇な生き物だから、何でもゲームにしたがる。もしかしたら、この世界は全てゲームなのではないか?





「ここは、何処だ?」


オセロに11連敗した俺は地獄に落ちたはずだ。あの管理人にゲームで勝てるはずがない。何せ半端じゃないほど頭がいい。チェスを50時間20試合やって1回も勝てなかったのだ。あの看板の内容通りならここが地獄のはずだか、、、。


「空気がおいしい」


青い空と白い雲。そして一面の花畑に俺は横たわる。本当に地獄がこんなに素晴らしいところなら早く来れば良かった。


【敗者の世界へようこそ】


そう書かれた垂れ幕を垂らしながら、俺の真上を飛行船が通過する。そう歓迎されても、全く嬉しくないぞ。負けて喜ぶ馬鹿はほとんどいないだろう。


しばらく、花畑をゴロゴロしていると車輪の音が聞こえた。立ち上がってみると、遠くに小さな馬車が1台見えた。飛行船はあるのに車は無いのだろうか?馬車はそのまま通る過ぎるのかと思ったら意外にも俺の目の前でピタリと止まった。そして、中には、、


「え?誰もいない?」


馬車に乗り込んでびっくりする。馬が無人で目的地まで来て停まったということだ。さらに今まさに俺乗ったら引き返し始めたのだ。


「相当訓練された馬なんだな。」


そう思わず口に出すと、馬がそれに反応する。


「おい、ニーチャン。馬とは失礼だぞ!」

「!?馬が喋った!?」

「馬じゃないって!俺様は高貴なる茶色のユニコーンだ!」

「Unicode?」

「違うわい!ってなんだそれは?まぁいい、お前さん敗者だろ?このまま塔まで向かうからな?」

「塔?ってなんですか?」

「あれを見な。」


馬が、いやユニコーンが首で前方を指す。そこには虹色に輝く塔が見えた。下の方からだんだんと上を見上げていくと、その高さは雲を越えている。雲に隠れて上が見えないのだから、宇宙にさえ届いているのではないかとさえ思ってしまう。


「驚いたか?あれはバベル塔っていうのさ。」

「バベルの塔?あの、神様が人間の言語を分けたと言う伝説の搭?」

「なんだ、知ってるのか?そうさ、馬鹿なことをした人間が地獄に落ちる代わりにここに連れてこられるのさ。出来もしない勝負をした罰だよ。」


バベルの塔とは、人類がバビロンに天に達するほどの高塔を建てようとした。しかし、神が怒り、それまで一つであった人間の言葉を混乱させて互いに通じないようにした。そのため人々は工事を中止し、各地に散ったという言葉の違いに関す伝説である。何故そんな塔に運ばれているのか俺は全く理解できなかった。






ゴトゴトという音とたまにガタガタという音がする。車のように快適な旅を考えていたが、ついにお尻が悲鳴をあげる。まだ着かないのかと、外を見てみるとすでに塔が目も前まで迫っていた。塔の下は町や都市があるようには見えない。そもそも、建物や人の姿さえ見えない。

(なんだここは、、)

馬車が塔の目の前で止まる。でっかい塔入り口が目の前に迫っていた。


「ニーチャン着いたぞ。ささっと降りて塔の中に入んな。俺は次の客を取れてこないといけないからな。」

「この中には何が?」

「その説明は中に入ったら教えてくれるぜ。元いた所に帰りたいなら迷わず入るべきだな。」

「分かった、馬!ありがとう。」

「ユニコーンだ!覚えとけよ!?」


ゴトゴトと動き出したユニコーンに手を振ると、

「ウォオオーン」

と一声鳴いてくれた。風のような速さで馬車は走り、丘の向こうに消えていった。乗っていると気が付かなかったが、かなりの速度で走っていたらしい。風や加速を感じなかったのは魔法か何かなのかと適当に納得をすることにした。

振り返ると、自分の背丈の3倍はある大きな扉。


「さて、、悪魔が出るか天使が出るか、、。」


俺は、扉を思いっきり押した。

ギィィイと錆びついた音がしながら、ゆっくりと扉が開く。







塔の中に入ると、予想外にもかなり多くの人がいてザワザワと賑やかな空間になっていた。と、驚くことにその中に何処かで見たような服を着た人がいるわけだ。かなり遠くではっきりとは読めないが前には案内人?と書かれ、背中には敗者?と書かれた服、、ほぼ間違いなくアルだ。助かったとばかりに俺が声をかけるために近付こうとした時、後ろから肩がっしりと掴まれた。


「お客様、まずは登録をお願いします。」


振り返ると黒いスーツにサングラスをしたお兄さんが立っていた。ここで、ノーと首をふったら本当の地獄に落とされそうだ。


「え、えーと。登録とは、、?」


スーツのお兄さんは、ニコリと笑顔になりフロントらしき場所を手で指した。


「あちらへどうぞ。」


アルに話しかけるのを諦めて、言われるがままにフロントに向かった。




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