父の遺産。
公爵だった父が生涯かけて世界中から集めていた珍品の数々。
私は追放準備の段階で、こっそりと偽物とすり替え持ち出した。今頃義母の厚化粧は怒りと共に割れてるはず。
にしても鉛や水銀を肌に塗るなんて信じられない。魔女ね。
あんなところに置いていたら、きっとろくでもないことになるのは分かりきってる。
ある仕掛けを全て解除しないと隠し扉が開かない仕組み。
進行とは一切関係ないイースターエッグ的な物。
場所が分かっていても本当に気付かないぐらいのレベル。
中に保管されていたこれらの物はどれも物語を進める上でバランスを大きく崩すアイテムばかり。
でもストーリーが本来と歪んできている以上、しのごの言ってはいられない。
さて、これは精霊のなんとかっていうパウダー。
味が薄くなって栄養も変わらないんだけど、とにかく既存の食べ物を巨大にできる。
一度料理を作ればほぼクリアってわけ。
でもいまこれはムギ用。
毎回ほんの少し一振りだから、この大きい瓶だとムギの一生分くらいはある。そう言えば梅干しって作った事なかったな。今度良い瓶があれば漬物でも作ってみようかな。やっぱりヘルシーなきゅうりの浅漬け。私の大好きな茄子のしば漬けも。なんか食べたくなってきた。
偶にコンビニが恋しくなる。そういえば食べそびれたあのフルーツフェアの限定デザートどうなったんだろ。く〜、食べたかった。
さてさて馬鹿な考えは停止して、ムギ以外には無駄使いできない絶妙な量の粉瓶を閉める。
こっちも精霊の……なにか。
精霊の体の一部みたいで……アイスエレメンタルみたい……つまり溶けない氷。
本来の使い方とは大きく異なるけど、食材をこれと同じ空間に入れておけば食材が腐らない。
便利、便利〜♪
まあちゃんと腰を下ろせる場所があれば冷蔵庫みたいなのを使えばいいから、そこまで重要ではないけど。
でも追放先に着くまでは絶対に必要。
燃料もバカにならないし。
次にこの剣。
この短剣は軽くて私でも簡単に持てる重さ。
でも本当にそれだけ。
特殊な力も、秘められた力もあるわけでもない。
ただただ軽くて丈夫な短剣。
もしかしたら作った人も料理好きだったのかも。
適当に振り回すことぐらいしかできないけど、持ってるだけで妙な安心感がある。お守りみたいなもの。
多少は威圧にも使えるのかな?
短剣を遠くのムギに向ける。おい、金を出せ。
リーシャ様…。
あ…。んっ! んっ!
さ〜てと。
そ・し・て。
今から必要になるこの四角い物体。
私が両手で持てるくらいの大きさ。
私はムギの斜め掛の小さなカバンから物体を下ろす。
「ムギ、ありがとね」
「ニャオ~ン」
「すぐごはん作ってあげるからね♪」
忘れてはならない、初めてのムギのあの時間。
それは少し恐怖だったのは事実。
なにせ象の飼育なんて……動物園に行った時、大変そう以外の何物でもないと悟った。
でもそんな私の心配は杞憂だった。
ムギから出てきたのは……なんと多きな魔法の結晶石。
ファンタジーっていいね!
ムギは食べた物すべてを魔法の結晶石に変える力があるみたい。なにそれ凄い。
詳しくは分からないけど、この魔法の結晶石は古代のドワーフの調理器具や便利なツールの燃料として使えるみたい。私見
よく王都で出回ってた鉱山から採れる結晶石となんら変わらない見た目。
この結晶石が燃料変わりになって料理で熱を使える。
この四角い物体はオーブンみたいな物。
オーブン自体は結構普及してるみたいだから、これは携帯できるという部分が凄い。
先人のドワーフ達に感謝。
今日はこれを使ってあれを作ることに。
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