月の夜
ハチは月がとてもキレイだと思う。
高尾も月を見るのは好きみたいだ。
ナナはよく分からないけど、きっと好きだと思う。
今日はとても月がキレイな夜だ。
だからお気に入りの場所から高尾の家へ帰る時、ハチもナナも高尾もずっと空を見上げて月を見ていた。
昔の建物がある場所は石ころがいっぱい落ちてて明かりがないと足元が危ないけれども、けれども明かりをつけると月がキレイに見えないから、だからハチもナナも高尾も明かりもつけないで月明かりに照らされた道をずっと月を見て歩いていた。
月を見ていたら、昔の背の高い建物の上にクリスが見えた。
クリスの名前はクリスティーナ・リンドール・ラッセン。
製造番号はNH‐53879。
成人した年は十二才。
もっとも遅く成人した高尾の友達。
クリスは昔の背の高い建物の上で月を見ていた。
高いところに行けば月はもっときれいに見えると思う。
だからハチもナナも高尾も、なにも言わずに昔の背の高い建物を登る事にした。
クリスの場所につくと、クリスはこっちを少しだけ見たけれども、すぐに月を見はじめた。
高尾もクリスの隣に立って月を見はじめた。
ナナはずっと月を見ている。
だからハチもなにも言わずに月を見ることにした。
今日は月がキレイな夜だ。
だからハチもナナも高尾もクリスもずっと月を見ていてその事に気がつかなかった。
月を見ていたら、なにかが割れるような大きな音がして地面がななめになった。
そうしたら地面が割れはじめて、昔の背の高い建物から投げ出されそうになった。
ハチもナナも帰還者だからこのまま地面に落ちても大丈夫だと思う。
けど、高尾もクリスも帰還者じゃないから、このまま地面に落ちたら駄目だと思う。
ハチは高尾もクリスもいなくなってしまうのは嫌だと思う。
だから、ハチは高尾を背負って地面から飛び降りた。
ナナもクリスを背負って地面から飛び降りる。
空を飛ぶのは気持ちがよかった。
高尾もクリスも怖がって大きな声を出しているけれども、昔の背の高い建物の破片が周りに止まって見えて、なんだか空に浮いているように思えて気持ちがよかった。
けど、下の地面はすぐに近づいてきて、すぐに地面に落ちてしまった。
地面に落ちたら、足が地面にめり込んでしまった。
足が地面にめり込んで、足が壊れないように硬くなってしまった。
空から、大きな昔の背の高い建物の破片が落ちてくるのが見えた。
ハチもナナも帰還者だから昔の背の高い建物の破片に当たっても平気だけれども、高尾もクリスも帰還者じゃないから昔の背の高い建物破片に当たったら駄目だと思う。
だから足が硬くて動きにくかったけど、ハチは頑張って走る事にした。
ナナも後ろからついてくる。
走っていると、後ろで昔の背の高い建物の破片がとなりの昔の背の高い建物に当たって崩れていた。
昔の背の高い建物の場所から出て後ろを見ると、昔の背の高い建物の破片が別の背昔の背の高い建物に当たって、その破片がほかの昔の背の高い建物に当たって、昔の背の高い建物は全部崩れてしまった。
昔の背の高い建物の破片は機械の人間が片付けてくれるからお気に入りの場所にはまたいけるけど、もう昔の背の高い建物は湖の底にしかないから、昔の背の高い建物の上から空の月の近い位置から月を見ることはできないと思う。
あの月が見れないと思うとハチはちょっとだけ寂しかった。