第24話 『闇』
アーテナインでの戦いは終わった。
翌日。
星使いの5人は改めて街を探索。
魔獣を探して回ったが、一体も残ってはいなかった。
結局、予備に残していた魔獣を破壊する爆弾も使うことはなかった。
その日の夜。
ヌンキの別荘、リビングにて。
ベガは皆に次なる指令を伝えた。
アルタイルとベガはこのまま南の大陸へ移動。
魔獣の被害の多い地域へそれぞれ別行動で向かう。
ヌンキ、レグルス、サダルメリクの三名は一度宇宙へ帰還。
別命あるまで待機。
「またここでお別れなんだね」
「うん。仕方ないよ。でも途中までは道、一緒だから」
「あ、そっか」
「そうそう」
アルタイルとベガは笑顔のまま、話した。
ヌンキがベガに聞く。
「また別の十二星座が二人に合流するんだろ?」
「はい。そのはずです。だれが来るかは定かではないですが」
「また俺達だったりしてな」
「その時はよろしくお願いします」
「おう。任せときな……こいつにな」
「いや、俺かよ」
と、レグルスが真顔で答える。
アルタイルとベガは声を出して笑う。
サダルメリクが話す。
「アルタイル。君はどこか危なっかしいところがあるから、この先も気をつけるんだよ」
アルタイルは照れる。
「おーい。心配されてるぞ。大丈夫かー?」
と、ヌンキが茶化す。
「大丈夫です!大丈夫!!」
アルタイルが声を張って言う。
ベガがレグルスに向かって喋る。
「ところで、話が変わるんですが」
「いいよ。なに?」
「デネボラ様はお元気ですか?」
「姉貴?ああ、元気にしているよ」
「引退されてからも、たしかお名前はそのままでしたよね」
「特別にな。普通は引退後、星使いの名前は返還するのが義務だけど。姉貴の場合、最強の星使いとかいう称号ももらっているから」
アルタイルが割って入る。
「デネボラ様!懐かしいなー!とっても強かったですよ!訓練試合なんかもうミザール様とも激戦を繰り広げて!!」
サダルメリクとベガが、うんうんと頷く。
「三人は俺やヌンキの旦那よりもずっと先輩だったからな。俺は姉貴の強さとか間近で見たことがあまりないから実感がないけど」
ヌンキがレグルスに聞く。
「先代と比べられたりした?」
「そりゃありますよ。めちゃくちゃされましたよ」
「最強の星使いだもんな。それはされるよな」
「まあ慣れましたけどね。最初はむかつきましたけど」
「でも好きなんだろ。お姉ちゃんのこと」
「はい?」
「こいつはな。姉にしか興味が沸かない男なんだよ」
「なに言ってんだこの人!」
「ああ、やっぱり」
と、アルタイル。
レグルスが返す。
「やっぱりってなんだよ!?」
「そんな感じがしたんです。話し方で」
「話し方?俺そんな誤解をされたの生まれて初めてだよ」
「デネボラ様によろしくお伝えください。アルタイルもベガも地上で元気にやっていますって」
「それは、伝えておくけど。あのな」
「大好きなんですよね?」
「違う!」
普段出さない声量で話すレグルスに、ヌンキ達は笑った。
雑談は夜更けまで続いた。
次の日。
朝食後。
アルタイルとベガは十二星座の三人に別れを告げ、別荘を出発する。
二人は途中まで一緒の道を進む。
新しい旅路が二人を待っている。
天気は快晴。
気温はやや高かった。
場所は変わる。
どこかの海域。
ここは、とある孤島。
岩場だらけの無人島。
その島の洞窟。
そこを根城にしている者がいる。
地底の魔女。その者である。
地底の魔女はアリオン町にて目撃されたのち、消息を完全に絶っていた。
魔女は、言う。
三人の男の前で。
「お前達、闇の星使いこそ私の目的を果たす鍵だ」
闇の星使い。
三人の男達の事である。
ヘラクレス座のコルネフォロス。
長身。鎧と兜を身に纏う。
全体的に黒と群青色。
年齢は32歳。
へびつかい座のラス・アルハゲ。
髪の色は薄い紫色で腰の上ぐらいまでの長髪。
服の色は紫と白。
年齢は27歳。
オリオン座のリゲル。
髪の色は明るい黄緑色。
服は白と緑。
年齢は18歳。
魔女が再び、一方的に話し続ける。
「お前達は禁断とされている闇の術で継承石に眠る記録と記憶を吸い出し再現した言わば模造品。術者である私の意思一つでどうとでもなる事を忘れるな」
「全員、年齢はそれぞれ全盛期の状態で再現している。継承石自体、何百年と眠っていた物なので、だいぶ昔の人間になるがな」
「闇の術は生涯にそう何度も使えるものではない。私自身の命を削って行っている。お前達がやられても同じ術で復活させる事はできない」
「今回でお前達を含めた5人の闇の星使いが揃った。二人は別の場所で待機させているが、貴様達にはこれからすぐにでも働いてもらうぞ」
「お前達には主に十二星座の連中と戦ってもらう事になる。三賢者や六官なども地上にはいるが、最も厄介なのが十二星座だ」
「奴らは基本、宇宙にいて、12人全員が地上で揃う事は先ず無い。しかしいずれこの地上に全員、同じ場所に引きずり下ろす」
「それまでに私は、奴らを一網打尽にする準備を整える」
「何か聞きたいことはあるか?」
オリオン座のリゲルが魔女に聞く。
「じゃあ、聞いてもいいか?」
「……なんだ」
「どうして戦うんだ。そいつらと」
「貴様が知る必要はない」
「じゃあそもそも、星使いって、なんだ?」
「なに?」
「なんとなく、よくわからねえんだが、俺も星使いなんだよな。その、継承石?だっけ?その中に住んでたのか俺達?」
「……貴様。記憶が」
「ん??なんだよ」
「記憶障害か……。術が不完全だったか。よりにもよって貴様が」
「???」
魔女が他の二人に聞く。
「お前達は?ちゃんと記憶が残った状態なんだろうな」
へびつかい座のラス・アルハゲは小さく頷く。
「無論だ。俺が何をすべきかもはっきりと憶えているぞ」
と、ヘラクレス座のコルネフォロスは言う。
「何をすべきかは私が決める。私の指示に従ってもらう」
「……ふん」
魔女の言葉に、少し不服そうな態度を取るコルネフォロス。
魔女が話す。
「今まで私は、魔獣を使って奴らの力を試してきた。だがそれもここまでだ」
ラス・アルハゲが目を閉じ、微笑む。
コルネフォロスは遠くを見つめ、睨む。
リゲルは、状況が飲み込めていないが、真剣な表情を作る。
魔女が改めて言う。
「我々の手で星使い連合体を、叩き潰す」
第一章 アルタイルの旅 完




