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星使い アルタイル  作者: とりうみ しんや
第一章 アルタイルの旅
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第21話 『一緒』


 午後5時前。

 古都アーテナインの北部。

 アルタイルとサダルメリクは魔獣を手のひらから生み出す魔獣と遭遇。

 新たな人型の魔獣が9体、現れた。

「アルタイル!二人に応援を」

 と、サダルメリクは伝える。

 アルタイルはすぐさま弓の聖哲体で、上空に連続で三つの電撃の矢を放つ。

 サダルメリクは光線を出すかめの聖哲体で魔獣への攻撃を開始する。

 

 南部。

 北部の二人同様に、ヌンキとレグルスも街の中の確認に来ていた。

 ヌンキが上空の矢に気が付く。

「救難信号。緊急事態発生の合図だ」

 ヌンキのその言葉に、レグルスが返す。

「ここから中央を突っ切っても、かなりの距離がありますよ」

「そうだな。向こうの状況は分からんが、間に合うかどうか」

「……けどここは」

「ああ。行くしかなねえだろ」



 再び北部。

 9体の人型の魔獣はサダルメリクにより一掃された。

 魔獣を生み出す魔獣はわずかに宙を浮く。

 浮遊する魔獣である。

 サダルメリクは四方八方から光線を繰り出し、浮遊する魔獣を攻撃する。

 魔獣は全方向に結界を張り、それを弾く。

 魔獣を中心に球状に張られた結界は淡く赤紫に光る。

 浮遊する魔獣は再び手のひらを赤く光らせ、赤い小さな物体を地上に散りばめる。

 赤い物体はそれぞれ魔獣となり現れる。

 その数、20体。


 アルタイルとサダルメリクは魔獣から距離をとる。

「あの赤くて小さいのは魔獣の核なのか」

 と、サダルメリクは言う。

 アルタイルは答える。

「おそらくそうです!以前私が拾ったものとは少し色や形は違いますが」

「拾った?」

「あ、ええ。空を飛ぶ魔獣が落としていったものを拾ったんです」

「その核は最後どうなったの?まだ持っているの?」

「いえ、魔獣になりました。鞄の中で」

「鞄の中で!?……なんだか、大変だったんだね」

「はい。なかなか、いろいろと」


 20体の魔獣が二人に襲ってくる。

 アルタイルは杖の聖哲体を出し電撃で応戦する。

 サダルメリクは聖哲体の瓶の数を増やす。

 光線の角度を調整し、一撃で7体の魔獣の急所を貫通させ撃破する。

 浮遊する魔獣は更に魔獣を増やす。

 その数合わせて、40体。

 アルタイルも電撃の球体で魔獣の数を減らす。

 更に魔獣は増える。

 70体。 

 段々と増える数も速さも上がっていく。

 浮遊する魔獣は、攻撃は一切してこない。

 結界の内側から魔獣の核をばら撒くのみ。

 時おり二人は浮遊する魔獣にも攻撃を仕掛けるが、結界を抜くことはできない。

 

 浮遊する魔獣さえ倒せば終わる。

 周りの魔獣は常に二人に襲い掛かる。

 魔獣の数は100を超える。

 いくら倒しても増え続ける。

 戦いながら、アルタイルは言う。

「これではいくら倒しても、きりがない!」

 

 一旦ここは退くべきかと、二人は思う。

 しかし、この場で浮遊する魔獣を倒さなければまた元通り。

 魔獣の数は増え続ける。

 今、ここで決着をつける事こそが最善であると、二人の思いは一致していた。

 

 二人は戦いながらも話す

「アルタイル!大丈夫?」

「平気です!」

「あの二人は必ずこっちに向かってくれている」

「はい。あの二人なら」

「けど数時間はかかる距離だからね」

「師匠と兄者の合流がこの戦いの鍵となりますね」

「……アルタイルは」

「はい?」

「大丈夫?あの二人に弱みを握られているとかじゃないよね?」 

「へっ!?あ、ああ!心配いりませんよ!私が勝手にそう呼び始めただけなので!」

「そう。だったらいいけど」

「……あの、サダルメリク様は、」

「なに?」

「……いえ、今は、なんでもありません」

「うん?まあ、そうだね。今はあいつを倒すことに集中しよう」

「はい!」

 

 どんどん魔獣が増える。

 200体は超える。

 攻撃が止まない。

 浮遊する魔獣は両腕を前に突き出し手のひらを下に向ける姿勢を崩さない。

 サダルメリクが試しに手のひらを狙って光線を撃つが手前で弾かれる。

 聖哲体自体も、魔獣の結界に侵入することができない。

 魔獣の結界は魔獣の核だけが内側から通る仕組みとなっている様子。

 周りの人型の魔獣達ですら、結界の内側には入れない。 

 結界に人型の魔獣を蹴りで押してぶつけてみたり、魔獣の姿を形成する前の赤い核を拾って投げつけてみたりして確認したが、全て弾き返された。

 サダルメリクは瓶の聖哲体の数を増やし、光線を一点に集中させて攻撃。

 しかしそれでも結界は破れない。

  

 絶対防御の結界。


 この結界を突破しない限り、魔獣の撃破は完了しない。

 二人は悪戦苦闘を強いられている。

 とめどなく増える魔獣の相手をしながらの、浮遊する魔獣の攻略。

 魔獣の数は400体以上になる。

 

 アルタイルはこの時点で半ば、あきらめる。

 サダルメリクはあきらめない。

 宙に浮く瓶を自在に操り、同時に何体もの魔獣を倒していく。

 しかし、大元の魔獣は倒せない。

 攻撃が通らない。

 いっその事、封印術を使い空間ごと魔獣を封印する手も思いつくが、できない。

 そもそも二人だけではできない。

 例え4人以上でも、魔獣が無数に襲い掛かってくる状況で成功させるのは難しい。

 失敗すれば大量の魔力を消費するだけに終わる。

 アルタイルはそれがいかに無謀であるかが分かっている。

 サダルメリクも理解している。

 

 どちらにしても、このままでは二人の魔力は底をつく。

 動きもだんだんと鈍る。

 攻撃の制度も下がり、魔獣の攻撃を受ける回数も増える。

 攻撃を受けるたびに、アルタイル達が自身の周りに張っている結界は削られる。

 その結界を維持するのにも余計な魔力を消費していく。

 魔獣の数は500から550体にまで増える。

 数が多すぎる。

 増える速度が速すぎる。

 もう二人には、浮遊する魔獣を目でとらえることもできない。

 遭遇から約20分間、戦い続けていた。

 

 アルタイルが、魔獣の殴打を真正面で受けて吹っ飛ぶ。

「アルタイル!!」

 と、サダルメリクが叫ぶ。

 サダルメリクの周りにも無数の魔獣が群がる。

「邪魔なんだよ!!」

 と、サダルメリクが遠隔操作で、出している瓶を全て上空に上げる。

 その数は98個。

 青い光線の雨が魔獣を襲う。

 一瞬で紫色の霧となって消える60体以上の魔獣。

 その先に、アルタイルが膝をついている。

 駆け寄るサダルメリク。

 サダルメリクはアルタイルの左手を取り起き上がらせる。

 手を繋いだままアルタイルに話しかける。

「大丈夫?結界はまだ張れている?」

「だ、大丈夫です。無傷です!まだ」 

 手を繋いでいるせいか、アルタイルの頬が赤い。

 会話中もサダルメリクの聖哲体が、近くの魔獣達を屠っている。

 サダルメリクは心配する。

「無理をしてはいけない。ここは一度、撤退しよう」

「でも!ここであいつを」

「君をこれ以上危険な目に合わせるわけにはいかない」

「私ならまだ戦えます!」

「無理だ。君は利口だから、もうあきらめているだろ」

「!!」

「行こう」

 

 手を引いて走りだす。

 魔獣のいない南を目指す。

 南に走れば、北を目指しているはずのヌンキ達とも早く合流できる。

 日も、もうじき暮れる。

 いざとなればアーテナインの出入口は他にもある。

 今までの状況からアーテナインの結界から魔獣が外に出る事は考えられない。

 また一から作戦を練り直すしかない。

 と、考えていたその時。

 

 紫色の光弾が二人を襲う。


 先日、砲台の魔獣が放ったものと同じ。

 アルタイルを庇って手を離した。

 サダルメリクに直撃する。

 爆風が二人を離す。

 二人とも地面に倒れる。

 砲台の魔獣が、浮遊する魔獣の近くにいた。

 出現していた。

 

 煙が辺りに立ち込める。

 アルタイルは直感で、次の攻撃が来るのが分かっている。

 すぐに起き上がりサダルメリクがいた方向に走る。

 無数の足音が聞こえる。

 煙の合間から魔獣たちが近づいてくるのが見える。

 数百体。

 まだ距離はある。

 アルタイルはサダルメリクに近づく。

 サダルメリクは既に起き上がり、再び聖哲体の瓶を宙に配置し臨戦態勢を取る。


「あんな遠距離攻撃が可能な敵も出せるなんて驚きだ。不本意だが建物を盾にして逃げるしかないな。君は先に逃げろ」

 と、サダルメリクが静かにアルタイルに言った。

 アルタイルは、また言いそうになるが、黙った。

 黙って右手の杖の聖哲体をしまい、弓の聖哲体に切り替えた。


「飛んでくる光弾は私が撃ち落とします」

「それは、できるの?」

「できるかどうかは分かりません」

「……」

「一緒に戦います」

「……それなら地上は僕が片付ける。けどあくまで逃げる事を優先しよう」

「はい」 

「一緒に逃げよう」

「はい!」 


 光弾がまた飛んでくる。

 アルタイルが光弾に向けて渾身の電撃の矢を放つ。

「私だって射手座の星使いの弟子っ!」

 矢は外れた。

 光弾が勢いよく降ってくる。

 二人は、また吹っ飛ぶ。

 一緒に倒れた。

 そして魔獣に囲まれた。

 

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