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星使い アルタイル  作者: とりうみ しんや
第一章 アルタイルの旅
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第18話 『どうでもいい話』


 古都においての魔獣掃討作戦。

 魔獣を殲滅し、結界を張る。

 結界を張り、魔獣の領域を徐々に狭めていく。

 南東より攻撃を仕掛けた射手座のヌンキ、獅子座のレグルス、鷲座のアルタイルの三名は、作戦の初日を終えた。

 魔獣を撃破した数、およそ700体。

 結界を押し進めた距離、約1.5キロメートル。

 作戦終了は夕刻。

 日暮れ前に門を出る。

 三名は別荘を目指し歩く。


「期待通りの働きだな。明日も頼むぞ」

 と、ヌンキがレグルスに言う。

 アルタイルは目を輝かせ、喋る。レグルスと話す。

「レグルスの兄者がいればこの作戦も容易いですね」

「容易くは無い。数が多すぎる」

「結界を張るために余力を残すってのも重要ですよね」

「ああ。アルタイルとヌンキの旦那がやってくれるから助かるよ。おかげで俺は倒すのに集中できる」

「まかせてください!兄者が頼りです」

「増援も一人来るって言うが、だれが来るんだろうな」


 ヌンキが入る。

「水瓶座のサダルメリクだってよ。さっき警備隊員に聞いた」

「え!サダルメリク様……ですか?」

 と、アルタイルは驚く。

 ヌンキが続けて聞く。

「ん?なんだ、会ったことあるのか?」

「……はい。二回だけお会いしたことが」

 

 レグルスが入る。

「へえ、あいつが来るのか。だったら少しは俺も楽できそうですね」

「え?させねえよ」

「させてよ」

「兄者は強いから」

「なにそれ意味わかんない」

「サダルメリク様か……久しぶりだなあ」

「聞いてないし」


 三人はヌンキの別荘に帰還する。

 それぞれ入浴を済ませ、夕食。

 談笑しながら食べた。

 アルタイルは基本、二人の会話を聞いた。

「魔獣について話しておくか」

 と、ヌンキが言う。

 レグルスが答える。

「俺は今日初めてあいつらと戦ってみたけど、意外と弱いですよね」

「そうだな。けど油断はできない。遠距離から攻撃してくる変わり種の魔獣も出てきたし、これからああいう敵も増えるかもしれない」

「そもそも魔獣ってなんなんですかね?」

「それを今から話そうと思う」


 ヌンキは酒を一口飲み、続ける。

「そもそも俺達が言う魔獣とは二種類。一つは自然に発生したもの。もう一つは人間の手によって創り出されたものがある」

「あいつらはおそらく創り出されたもの、ですよね」

「死骸が残らないからな。あれは自然な死に方とは言えない」

「それに俺達に反応して向かってくるのもなんだか不自然というか」

「それなんだが、アルタイルに聞きたい」


 アルタイルは食事の手を止める。

「はい。なんでしょうか?」

「君はギボス村で初めて魔獣を見たと、この前言っていたな」

「はい。そうです」

「魔獣が村を襲っていたと」

「そうですね。私が村に到着した頃にはすでに」

「襲われていたのは人か?それとも建物か?」

「えっ!?えーっと建物は破壊されていましたけど」

「村人を直接襲ったりは?」

「……あまり深く考えなかったですが。おそらく無かったかもしれません」

「タイタ村でも魔獣に遭遇したそうだな」

「はい。その時も襲われたのは私とベガの二人だけでした。私は思いっきりやられてましたけど」

「やはり、俺が地上に降りる前に聞いたのと同じか」

「……と、言うと?」


「魔獣は星使いの魔力に反応して攻撃を仕掛けている」


 レグルスが聞く。

「でも建物は?星使いだけに反応するなら、その考えはおかしいっすよ」

 ヌンキは立ち上がり、リビングにある棚に向かう。

 棚の引き出しから紙のようなものを取り出し食卓に戻る。

「魔獣が反応したのはこれだ」

 ヌンキはその長方形の紙を二人に見せる。

 紙には呪文のような文字が書かれている。

 アルタイルが言う。

「それは、魔畜札まちくふだ!魔畜装置の一種ですね」

「その通り。これは建物の壁面などに貼っておく簡易的な結界だ」

「火災や水害から守るもの。動物避けなんかにも使われるものですね」

「そうだ。魔獣はこの魔畜札に反応し、建物を破壊したと思われる」

「結界といっても魔畜札だけでは強い衝撃に耐えられる訳ではないですからね」

  

 アルタイルは納得する。

 レグルスはもう一度聞く。

「それは分かりました。けどアーテナインにいた奴らはどうなんですか?」

「ああ、それは俺も気になった」

「星使いの魔力に反応するってだけなら大規模な封印術を施した街全体で、もっと大暴れしていてもいいはず。建物が破壊されたような跡は見当たりませんでしたよ」

「そうなんだよ。俺も街の様子を見ていたが、最近壊されたような場所は見つからなかった」


「……魔獣が進化しているとか?」

 と、アルタイルがつぶやく。

 ヌンキとレグルスがアルタイルを見る。

 アルタイルが続ける。

「今までの地底の魔女の書状からすると、魔女の目的って星使いだけを狙っているように思えるんですよね。そう考えると魔女は、より星使いだけを狙うように魔獣を進化させているとか」

 

 ヌンキが言う。

「なるほど。すると魔女はアーテナインを使って実験しているとも考えられるな」

「アーテナインには基本、私達だけが出入りできるし」

「星使い以外の人間に危害を加える事は無い、か。」

「そうする狙いは分かりませんが」

「いや、民衆の支持を集めて、反星使いの活動を拡げる。そうすることで少しでも連合体を牽制するつもりかもしれない」

「果ては民衆を巻き込んで星使い連合体への革命を引き起こすつもりなのでしょうか」

「今のところそこまでは分からない。魔獣の進化についても単純に、確実に俺達を倒す為の強化に過ぎないのかもしれないし。いずれにせよ魔女を捕えるしかないだろうな」


「話、変わるけど。サダルメリクは来週ぐらいに来るから」

「また急に変わりましたね」

 ヌンキとの会話にアルタイルは笑う。レグルスは聞く。

「魔畜札、見せてもらってもいいっすか?」

「おう、見るの初めてか?ほれ」

「はい。あんまり地上には降りないんで」

「これ作っているのって天秤座のカマリだろ?見せてもらったりしないの?」

「ああ。俺、あの人苦手なんですよね」

「変なもんばっかり作っているし?」

「そうそう。このあいだも、新しい聖哲体の実験とかにつき合わされて大変だったんですよ」

「ほう?どんなの?」

「なんか過去の出来事を見る装置とかで頭に被らされたり。魔獣だけを破壊する爆弾の被爆実験につき合わされたり」

「へえ。大変なんだな。どうでもいいけど」

「どうでもよくないっすよ。まだあるけど聞きます?」

「どうでもいい」

 

 三人は夜更けまで食事を続けた。

 その後どうでもいい話で終始盛り上がった。


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