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感動の再会は性癖と共に

私はディーに連れられ、謁見室へと向かう

待ちに待った林檎ちゃんとの感動の再会だ

向かう途中には沢山の使用人や騎士、貴族が軽蔑や憐れみ、恐怖の目を隠そうともせずに向けてくる

だからといってどうという訳でもないがこれでは林檎ちゃんの友達を簡単に作りにくいことこの上ないここまで警戒されていてはまとも二人っきりに機会ができない

私は殺人鬼とは言え気に入った人間しか殺さないことを信条にしているのだ、下らない人間のために私の美しい武器を汚してしまうのはあまりにももったいない


「桐、大丈夫か?」


心配そうに顔を覗きこんでくる、どうやらディーは私がこの不躾な目線に気分を害していると思ったらしく瞳が不安げな揺れていた


「大丈夫ですよぉ。ただ、これじゃぁお友達が作りにくいなぁって思ってただけですよぉ」


ニコニコと笑顔をつくり、心の中で林檎ちゃんのと付け加える

しかし、平均的に顔面偏差値が高いとは思っていたがここまで高いとは驚きだった

全員が全員私の好みとはいかないがかなり好みの人間が多かった、特にメイドなんかのあの怯えた表情はゾクゾクするがやはりイリヤちゃんには敵わないなぁとかあの捕食されかけの小動物のような姿を思い出す


「大丈夫だ、桐は確かに殺人鬼かもしれないけどちゃんと桐のことを理解してくれる人はいるに決まってる、俺がそうなんだから」


う~ん、また真面目に返されてしまった

ここもディーのいいところだとは思うのだが基本、冗談半分で返してるこちらからしたらちょっと扱いにくいし少し照れてしまう

取り敢えず話を反らそう


「謁見室はまだですかぁ、早くぅ林檎ちゃんに会いたいですぅ」


それにしてもあぁ、どんだけの人間が林檎ちゃんに敬愛し依存しているのだろうか

そんな人間の前で殺すのもおもしろいかもしれない、それだけではつまらないから私の手で性行為に及んでもいい

妄想が尽きることなく溢れてくる、もし男の方も私好みだったら林檎ちゃんと一緒にエンバーミングしても私は楽しくてコレクションが増えて一石二鳥だ


「もうすぐだよ。先に言っとくけど発言には気お付けた方がいい」


「どうしてですかぁ?…あ、もしかしてぇ林檎ちゃんの逆ハーレムと言う名のイケメンなお偉いさん方がいるんですかぁ。だとしたらぁ好都合ですねぇ、いちいち一人一人に挨拶するのもめんどくさいなぁって思ってたんですよぉ」


ディーの顔から察するに私の言ったことは当たりなのだろう

しかし、林檎ちゃんの逆ハーレムとはまたこれはこれで厄介だ。多分だが就寝時以外は必ず誰かが側にいる確立が高い

さらにあちらは私が殺人鬼だということも分かっているはずだから意地として二人っきりにしようとしないはずだ

仕方がない面倒だが一人一人信用させていくしか方法がないらしい


「眉間にシワが寄ってるぞ。ほら、ここが謁見室の扉だ」


うむ、立派だ

正直こんなところにこれだけお金をかける余裕があれば軍事力に割くことくらいできると思うのだが、やはりお金を持っている人間の感覚は理解できない

ディーは身だしなみを整えると中に声をかける

何時もとは違いディーは身と表情を引き締め、どこか緊張を孕んだ声色だった

つい滅多に見せることこないディーの姿に笑いそうになってしまう

いくら普段は飄々としていてもこうゆうときは緊張するものなんだなぁとボンヤリと考えていると重々しい音をあげ扉が開いた

なんというかここまでくると笑いが込み上げてくる、中央にある立派な台座には初日に会ったことのあるアレン王子が少し困った顔をしていたが、その左右に立っている男たちがなんというかまるで漫画や小説の中でしかお目にかかれないいかにもという顔ぶれと並び方に大爆笑をした


「アハハハハハハハハハ、ちょ、ちょっとぉ私を笑い殺す気ですかぁ。ここまでいかにもとは異世界も知れたものですねぇ。唯一予想外なことといえばぁ王子の困り顔ですかねぇ」


私は他の目を気にすることなく床に崩れ倒れ込む

それを見た騎士団長らしき人物が警戒して大きな剣を腰から抜きこちらに突き付けてくる

あまりの短気さに驚いて騎士を見つめる、下から上に這うように体と顔を観察するとなかなか良い体をしている、ディーよりもガッチリとした筋肉はどんな触感がするだろうかワクワクというかムラムラする


「あぁ、いい筋肉してますねぇ。特に二の腕なんてこのナイフが入った触感を想像しただけでトキメキが止まらないですぅ」


胸のトキメキを押さえれずに私は腰に隠してあったナイフを右手に切りかかる、殺す気はないが片腕を奪う気持ちで

しかし、私ナイフは届くことなく弾かれる

なかなかやるじゃないか、あえて直接私に攻撃することなくナイフを弾いたのはいわゆる威嚇なのだろう、俺はお前より強いと

しかし、私を見くびってくれては困るなにもナイフだけが私の武器ではないのだから

切れ味なんてものは死んですぐなら触感は変わらないし、それにこれといってナイフにこだわりがあるわけでもない

単純に体の至るところに隠してもバレにくいからという理由なだけだ


「ちょっとぉ騎士団長さぁん私のことぉ舐めすぎじゃないですかぁ。そうやって自分の強さに慢心してるとぉこうやってぇ足元からすくわれますよぉ」


どうやら騎士団長は見た目通りのパワータイプらしく動きが私よりも遅い、瞬時に体を低くし弁慶の泣き所に思いっきり回し蹴りを入れる

普通ならやった私自身もある程度のダメージを食らうところだがこちらに来てからというものディーと相手が甲冑に身を包んでいる前提に特訓と毎日の基礎体力作りや体幹を鍛えたことにより安定したフォームと強靭な筋肉を手に入れたのだ、そのため甲冑程度なら反動を受けることなく攻撃が可能になったのだ


「だからぁ言ったじゃないですかぁ。というかぁディーより弱くて思ってたより殺しがいがないですぅ。やっぱり私的にはぁディーが一番ですぅ。あとの人間はぁなんというか魔法やら権力やらでぇジャンル違い過ぎるんでぇ却下ですかねぇ。でもぉ顔的にはぁ魔法使いさんが好みですかねぇ」


私は地面を蹴り魔法使いの後ろに回り込む

後ろから抱き締め優しくアゴを撫でたら、ディーに襟を引っ張られ脳天を殴られた


「痛いじゃないですかぁ。別に今のは挨拶代わりですよぉ。って何ですかぁ皆して変態を見るような顔わぁ、私のガラスのハートが酷く傷付きましたぁ。まぁ、冗談はさておきえっとぉ初めましてぇお久しぶりぃハイパーキュートな殺人鬼の東根桐ちゃんでぇす」


思っていたより人と触れ合えなかったのが堪えていたらしく、自分でもびっくりするほどテンションが高い


「桐、一年もやることがなくて暇だったのは分からなくないけどな初対面の人をからかうのはダメだろ」


「え~あんな真面目そうな人間を私の前に揃えといてそれはないですよぉ。特に魔法使いさんなんてぇあんなに困った顔して可愛いじゃないですかぁ」


ニヤニヤして魔法使いを見ると心底困った顔をしていた、ゾクゾクすることはないがなんというかワクワクするまるでいたずらっ子のような気分だ


「魔法使いさんは林檎ちゃんのこと好きですかぁ?もしそうならぁたくさん協力してあげますねぇ(少しでも自分が楽しめるようにぃ)」


魔法使いは困惑した表情をみせる、というかさっきからその顔しかしない

それに周りにもいた林檎ちゃん逆ハーレムたちもなんとも言えない不思議な表情をしている

よく分からないが何らかの認識の食い違いに困惑してるのだろう

似たような顔を警察たちがしていたのを思い出す


「桐、少し黙ってようか。このように彼女は発言がやや異常ですが見た目は普通の少女なのです」


「褒めたいのか貶したいのかどっちかにしてくださいぃ。それにぃ私が異常なのはぁアイデンティティーなんですよぉ」


と、言ってみたが本当にそう言ったのは私ではなく知り合いのモテ男である

君の見た目は平凡かつどこにでも居そうな顔でつまらないが君の性格は今まで僕が会ってきた人間や人殺しよりも異常で常軌を逸脱しているそこが僕にとって興味深い所であり好ましく思う所だよ、と雄弁していた

正直、あんなクズに好かれても嬉しくないのでスルーしていたが確かに私のアイデンティティーはそこしかないとこちらに来てから気づいたのだ


「さてとぉお久しぶりですねぇ林檎ちゃん。相変わらず虫酸のはしるような清らかさでぇ安心しましたぁ。どうですかぁ誰かに慕われるのはぁかなりのぉ優越感じゃぁないですかぁ?あぁ、別に軟禁生活で気が狂ったわけではないですからぁ気にしないでくださいねぇ」


わざと林檎ちゃんを怯えさせるために殺人鬼らしい笑みを浮かべてみる


「き、桐ちゃん」


想像以上に効果はてきめんのようで林檎ちゃんの可愛い顔が血の気が引き青くなっていく

しかし、これはこれでそそるものがある

林檎ちゃんが青くなっていくのとは反対に自分の体は火照り熱くなり息も荒くなる

舌で上唇をペロリと舐め、一歩一歩林檎ちゃんの側に近寄っていくがたどり着くことは叶わずディーがどこから出したのかと尋ねたくなるような太い縄で私を拘束した


「ディー私は縛る趣味はあっても縛られる趣味はないですよぉ」


ちょっと冗談で言ってみたら全力で頭のてっぺんに拳骨をいれられた

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