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「なにやってんだ。追おう!」

 くやしそうに怒鳴るペリジーをクロウが抑える。

「まずい。トリーンは麻痺させられていた。霊光ぶちこむってのもはったりじゃない」

「俺もそう思う。小僧。落ち着け」

「なんだ! 落ち着け落ち着けって、悟ったことばかり言いやがって。目の前でトリーさらわれて言うことかよ」

 ディガンが馬を寄せ、背中をどやしつけた。

「小僧、いや、この糞餓鬼が! 敵のびびり具合の見立てもできねぇ節穴のくせにいっちょまえの口きいてんじゃねぇ」

 ペリジーは驚いている。クロウとマールはそうだと言うふうにうなずいた。むやみに追いつめていたらどうなっていたことか。

「とにかく、特務隊と合流しよう。すべてはそれからだ」

 マールが言い、主街道に向けて道をそれた。クロウは黙りこむペリジーの肩を叩いた。


 特務隊は全隊が集まっていた。鬼との激しい闘いがあったのは明らかだったが、幸い死者はいないようだった。兵士たちは火のまわりで互いに治療など後始末をしていた。

「君らか。またあったな」

 隊長が言うと、ディガンが手を上げた。

「マルゴット・シュトローフェルドとトリーンについてお話があります」

 貴族を呼び捨てにした。隊長と兵たちは、おや、と思った。

「かれらは一時避難した。日が昇れば戻ってくると思う」

「いや、戻ってこないでしょう」

 さっきのことを説明すると、隊長はすぐに動ける兵士で追跡隊を編成した。朝日が昇ってくる。隊を分けると部下に説明する。

「けが人は下山し、ローテンブレード家の本領地にて治療と回復だ。おまえが指揮を取れ。報告も頼む。わたしは追跡隊を率いる。現時刻をもって未帰隊のマルゴット・シュトローフェルドの離隊許可を取り消す。発見次第逮捕せよ。また、特務隊員のトリーンが同行している可能性があるが、こちらは保護せよ。以上だ」

 兵士たちは敬礼し、二隊に分かれた。追跡隊の方は七名で魔法使いは一人しかいない。

「われわれも協力します。戦時の軍には民間人協力者制度がありました。交通安全部にもあるでしょう?」

 ディガンが皆の顔を見てから言った。隊長はうなずく。

「実はそういう制度の法的な面にはくわしくない。しかし協力は大歓迎だ。よろしく頼む」


 クロウたち四人が加わった追跡隊は、まずマルゴットが逃げた脇街道に行った。森の方を向いて魔法使い二人が探ったが、手掛かりになりそうな気は感じられなかった。

「あの、心当たりがあるんですが……」

 マールが隊長のそばに馬を寄せた。

「……オウルーク・イクゥス‐ブレードの庵があります。そこから探ってはいかがでしょうか」

「なんの関係がある? イクゥスが付いてもブレード家だろう。面倒は困る」

 この隊長はオウルークが隠居したいきさつをまったく知らないようだったのでディガンとマールがあらましを説明した。

「なるほど。では行くだけ行ってみようか。ただし話はわたしがする。それでいいな?」


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