最終話 神獣ラルカ?
「神獸さまが地上に降りたらしい」
「奇跡だ」
「ぜひ、あやかりたいものだ」
サントス神殿は、今まで以上に賑わっていた。
「近くを通っただけで、風邪が治ったと効くぞ」
とうとう、子ネコは治療棟まで入ってきたらしい。
本当のことなのか、大袈裟にいっているのか、だんだん話がデカクなっていく。
「子ネコなんだから、治療棟にミルクでもおいてやれば?」
イアンは、言う。
こいつはお気楽なやつだ。
こちらは、イアンに奪われて子ネコにつけらた腕輪の行方を心配して、毎日泣き暮らしてる、妻のイリーナのために神殿中を奔走してるのに~
「神獸ラルカさまが降臨したらしい」
「金の首輪が神々しいらしいぞ」
そいつは、神獸じゃないだろ!!
どんどん神格化されてるぞ~
「神殿の中にいることは、確かだ」
イアンの言葉を信じるしかない。
オレは、神獸ラルカの名を呼んで、神殿の中を探し回った。
「ラルカ~ ラルカ!!」
その時ーー目の前に長毛種の白いネコが現れた。
『ボクの名前を連呼しないで欲しいにゃ』
古代レトア語だ……っていうか、喋ってる……
イアンは、そのネコより後ろに立っていた女のほう目がいってたらしい。全くイアンだ。
「あれ~? この間の銀髪の美少女じゃん」
オレの足だけでは、回りきれないので、イアンを連れてきた。
その美少女の腕には、金の首輪をした子ネコが。
「《《それ》》が、本物のラルカだ」
「そうなのか!? それより早く子ネコを返してくれ。イヤ、正確には、そのネコがしている《《腕輪》》を!!」
オレは叫んでいた。
少女は、子ネコから腕輪を外してオレに返してくれた。
「なんか、レトア語で『祝福』って掘ってあった」
「婚礼の腕輪だ。世界に一つしかないものだ」
オレは、この世でただの一つの婚姻腕輪をやっと取り戻せた。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃだ。
「それにしてもーー」
銀髪の少女は、イアンに向かって言う。
「おばあさまの件といい、今回の件、よっぽど事件を作るのが好きなのか、人を巻き込む体質なのか……?」
銀髪少女は、しばしイアンを見て、ため息をついた。
「両方だな」
「おばあさまが、この幸運を運ぶネコに、『セレシア』って名前をつけて神殿で面倒みろってさ」
セレシアーー古代レトア語で『祝福』の意味。
「あれ~ 君は確かおばあちゃんのお孫さんだよね?」
と、イアン。
「そうだ。アウグステ・エル・ロイルだ」
そ、それじゃあ、ネコの名付け親が聖女さまにってことになる。
「……んで、こっちが本物のラルカ、ラルカの名前を呼んで神殿中を探し回ってたの怒ってるから」
「すいません、名前がまだなくて……」
オレは縮こまる。
ネコ相手に……?
ーーそして神獸のネコは言う。
『天界でお昼寝してたのに、起きちゃったじゃにゃい。罰として、治療棟の長を命じるにゃ』
ええぇーー!!
ネコに人事件ががあるのかーー!?
完




