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13CASE1

 俺は子分を友達を引き連れてカラオケに行っていた。家は大金持ちで超有名大企業の息子だ。勉強も超一流塾講師の教育でかなり進んでいる。高校一年生で高校三年生の内容はほぼ完璧に網羅している。そんな、将来が明るいことは決まっている俺には自然と人が集まっていた。今日も、歌わして、盛り上げさせて、そして、自然と女は寄って来ていた。


 なのに!


 どこかの神様のせいで俺の将来が閉ざされてしまった。

「おい、どうするんだよ」

「お前、何か知らないのか?」

「助けてよ、コウ君」

「怖いよ」

 両手に華の状態で子分から助けを求められる。これも、俺の宿命さ。だが、


 知らねえよ!


 俺だってこんなこと知るかよ。お前らで考えろよ。クソッたれ。

「とりあえず、さっき、空に浮遊していた時に頭に流れて来た知識を活用するっきゃねえだろ」

 頭の中にオーラという超常現象や身体能力をパワーアップさせる機能を全生物に与えたと聞こえた。どうやら、それで、シックスセンスという特殊能力を各々勝手に決めて使用できるらしい。


 いらねえよ!


 マジでいらない。俺は生まれた時から勝ち組でそれなりに努力もして来たのに、クソッたれ。

「だよな。でも、俺たちはどんな力を持てば・・・」

 ここにいるのは俺を含めて五人だった。辺りは木で囲まれていて俺たちみたいにパニックになっている人たちがたくさんいた。それと、


 ガァァァァァァァァ!


 猛々しい獣の声だ。タイムリミットは刻一刻と来ている。最善な方法を考えなければならない。これから、生き抜くために。はあ。・・・・・・。


 邪魔だなあ。


「ここは、俺たちで連携しよう。太一。お前は武器創造だ。英二。お前は防壁だ。美香。お前は治癒だ。四葉、お前は毒だ」

「待ってくれ。俺たちのことは分かるが、どうして、四葉は毒なんだ?」

「太一。そんなことも、分からないのか。毒とは薬だ。つまり、毒に着いて詳しい奴が一人でもいると、俺たちの食料の問題は解決できるだろう」

「なるほど。確かに。さすがはコウだ。コウは何をするんだ?」

「今、考えてる。と言うよりは暫くは要らないとも思っている」

「どういうことだ?」

「この新しい環境に馴れた時、これがあったら、って思うことがあったら困るだろう?」

「「「「ウォーー!?」」」」

「すげえよ、コウ」

「「コウ君凄い」」

「なんで、そこまで冷静でいられるんだよ」

「忘れたのか。俺は生まれながらの勝ち組なんだぜ。ちょっと、周りの連中にも話し掛けて行く。分業すれば、何とかなるだろう」

 俺は周りの混乱している連中に次々と声を掛けた。皆、俺の肩書きを聞いて、俺の行動力を見て、次々と信頼してくれた。


 ああ、無能な雑魚が。


「皆。一回試してみようぜ」

 俺は百人ぐらいのリーダーとなった。纏め上げるのは簡単だった。皆、不安でいっぱいだったため、団結して生きて行こうと考えているようだった。自分のことでいっぱいいっぱいの状況から救いの手を差し伸べる俺という存在が大いに救いになったのだろう。

「よし、問題なく使えるな。皆、疲れを感じるか!」

 なるほど。ちょっとやそっとでは疲れないのか。


 ニヒッ。


「よし。どんどん仲間を増やして行こうぜ!」

「「「ウォーーーーーーー!!」」」

 俺たちは簡易的な集落をすぐに作れた。シックスセンスのもそうだが、オーラによる肉体強化がとても便利だった。すぐに個々人の家を建てることができた。安全に生活できるためのマーケットも充実させた。オーラを纏った動物も狩ることができて家畜を作ることを可能にするのも時間の問題だ。そして、安全な地区を作るために結界を敷いた。この短期間でここまでの成果を上げたのは上出来と言えるほど上出来だった。


 ニヒッ。


 ここまで、充実していたら、何の問題もないだろう。ある程度の生活の確保もできる。一時の安全も確保できる。外部からの強い破壊がなければ。どうやら、個々人でシックスセンスを使うためのオーラ量というものには差があるみたいだった。それは、体格さによって生まれるものではなかった。俺は平均ぐらいだった。


 俺は勝ち組だ。


 潜在能力が普通でも、今までに一流のものから一流の教育を受けた俺は一流になった。だから、例え、世界が変わっても俺が一流であることには変わらず、そして、勝ち組であることも揺るがない。


 だが、俺の潜在能力は普通だ。


 だから、知恵を働かさなければならない。世界の理とは知恵のないものを搾取するようにできている。であれば、俺は当然、搾取する側だ。生まれながらに決定している。


 俺は勝ち組だから。


 百三人。そろそろ、潮時だ。世界を見なければならない。だから、俺は留学費用を貰わなければならない。俺の労働への対価としては全然足りないが仕方がないことだ。


 ニヒッ。


 俺は皆と一人一人会話をしに行った。オーラというもので体に異常はないかを確認するために。一人一人と握手して心の距離を縮めて俺は俺が作った簡易的な集落を抜け出した。


 ニヒッ。




 俺はその後も何度も何度も簡易的な集落を作っては去ることを繰り返した。

「ニヒッ。くははははははははははは」

 嘲笑が止まらない。込み上げて来る侮蔑の思いが溢れそうだ。

「馬鹿どもが」

 俺は千人近くの人を一度救った。だが、俺はそろそろ潮時だと考えた。この新世界に入ってから一週間近く、俺はそれなりに上手いことやれている。だが、王になれてない。この未開拓の地の王に。だから、

「大きな野望を叶えるためには当然虐げられる者は存在する」


 ニヒッ。


「悔しかったら俺みたいに勝ち組に上がって来れば良い。・・・。まあ、金のないものにはそんなことはできないが」

「せいぜい頑張れ」

 俺は手を叩いた。そして、今まで触れた生物のオーラの供給源たるものを奪った。シックスセンスも所詮はオーラを燃料としている。ならば、その供給源がなくなれば、旧世界の人間に、生物に戻るだけだ。

「俺が、俺だけが、このフロンティアの王になる」

 俺が手に入れていたシックスセンスは略奪だった。


「まあ、ここまで、心が腐っているのはレアケースだろうけど、さすがにクズ過ぎるな」

「だね。私もビックリしたよ」


 俺は後ろから声を掛けられた。俺は背中を触られて後ろに振り向けないようになっていた。ついでに言うとオーラも纏えなくなっていた。

「は?」

「搾取する側ねえ。こんな世界になっても一番になりたいんだな。ナンバーワンに」

「当たり前だ。俺は人を見下すために生まれて生きているんだ。俺は常に上に立つように育てられて生きて来たんだ。俺の自由を奪うな」

「自由か。まあ、お前にとっては人を見下すことは当たり前なんだろうなあ。実際、金のない者は家畜でどんなに頑張っても経営者にはなれないもんな」

「そうだ。お前たち家畜をA5ランクに立派に育て上げて出荷することが俺の生まれながらの役割だ。同じ人間ではないんだ。だから、俺の自由を奪うな」

「はあ。俺は、俺たちはお前を殺さない。だが、奪ったものは持ち主に返させる。そんでもって、お前にはシックスセンスを持たさない」

「は?・・・ふざけるな、ふざけるな!」

「悪いが、お前は間違ったんだよ」

「このクズ!」

 俺は突如現れた男女にシックスセンスを奪われた。俺は、仕方なく一番最初に作った集落に戻った。




「出て行け!」「このクズ」「二度と顔を見せるな」「俺たちを利用しようとしてたんだろう!」「近づくな」「最低」「どっか行け」「お前を信じたのに」「私たちを裏切ったの?」「結局、金持ちはそういう考え方しかできないんあろう!」「コウ。見損なったぞ」「俺は信じてたのに」「コウ君。酷いよ」「もう、コウ君の顔なんか見たくないよ」

 俺を責める声は止まなかった。俺は舌打ちだけして背中を向けてゆっくりと歩いて集落から出て行った。

 クソクソクソクソクソクソクソクソクソ。弱者が調子に乗りやがって。俺が舵を取って纏めた恩を忘れるか!?まあいい。次だ。次だ。




 俺は新しい集落を作ろうと新たな団体に取り入ろうとした。だが、一週間も経てば、混乱と言うものは収まり新たな環境に適応する。だから、俺が何のシックスセンスも持っていないと言うことは俺の信用を急激に落とすこととなった。また、俺の悪行が知れ渡っていて相手にされなかったのもある。


 クソッたれ。


「おい、坊主。一人か。ついて来い」

 ジジイが話し掛けて来た。俺は喉が渇いていた。何も食べていなかった。だから、ジジイの跡を追った。ジジイあ連れて来たのはたくさんのジジイとババアがいる場所だった。もしかしたら、老人ホームの集まりだったのかもしれない。

「坊主。お前さん、悪行を働いたみたいだな。反省をしているのか?」

 チッ。説教か。俺よりも学の無い奴の言葉をどうして聞かなければならない。

「反省をしていないみたいだな。あまり、人間を舐めるなよ。坊主。お前さん、儂たちと一緒に暮らす意思はあるか?」

「チッ」

「坊主。儂たちは先が短い人生だ。その分、たくさんの経験を積んできた。少しは儂たちの話を聞いて見ようと思っても良いんじゃないか?」

「チッ」

「ハッ。梃子でも感情が動かないか。仕方ない。儂が坊主に斧を与えてやろう。火を纏う斧だ。これで、独りで生きると良い。それと、食料だ。この種はどこでも使える。もう、迷惑を掛けるなよ」




 クソクソクソクソクソクソクソクソクソ。屈辱だ。俺よりも下の奴から施しを受けるなんて。クソが。ストレスだ。




 夜。数人が見張りをしている集落を息を潜めて俺は見ていた。

 こいつらが俺のことを拡散しなければ、俺は、俺は!結局、俺のシックスセンスを失くしたカップルはどこにいるのか、未だに分からんし。クソッたれ。

「とうとう、そこまで、落ちたか」

 俺は再び背中を触られていた。

「早く、俺に力を返せ!」

「お前はつくづく救いようのない奴だな。知恵はあるのに、人間としての性格が終わってるな。気に入らないものはすぐに捨てるのか。自分さえ良ければ他人を傷付けても平気なのか?」

「あいつらはそういう運命だろう!」

「あなたは、凄く悲しい人ね。旧世界でトップになるために作られたロボットみたい。凄ーく悲しい人」

「ふざけるな。俺は悲しい奴じゃない。感情を知ている」

「お前は変わるチャンスはたくさんあったんだ。それなのに、変われなかった」

「他人に優しく接したことがなかったのね。常に優しく接せられて」

「ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな!俺を見下すんじゃない。俺は旧世界で社会に適応した天才だ。俺を馬鹿にするな。俺は崇められて当然の存在になる男だ」

「「はあ。もういい」」

「は?」

「次は命だ。お前はオーラを纏えなくなる。他人の助けがないと生きていけない。今までこき使っていた側から使われる側になる」

「は?」

「ふざけるなよ、神様ぶりやがって、クズどもが!」

「行こっか」

「うん」

 俺はとうとうオーラを纏えなくなった。俺はもう、何も考えられなかった。




 俺は集落に斧を持って近づいた。オーラを纏えなくて、火を纏ってくれなくても、斧は斧だ。殺傷力はある。防人をしている男二人に正面から斧を振り被って近づいた。太一と英二だった。俺はそんなことはどうでも良かった。

「「俺たちはお前を、コウを友達だって思ってたんだぜ」」

 二人は泣いていた。英二の防壁で俺は動けなくなった。

「もう、俺たちの前に姿を見せないでくれ」

「俺はもう、お前を信用できない」

「チッ」

 クソが。俺が作ったシステムで俺を阻みやがって。クソがクソがクソが。俺は背を向けて走った。そして、横から猛スピードで走る猪の突進に巻き込まれて吹き飛ばされた。


 クソが。クソが。クソが!


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