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俺の物語は、俺が決める。でもそれは一人じゃなかったから……。
――序章――
世の中はただ広くて、そこには俺だけが生きてるわけじゃあない。誰かがこの世界を救ってくれるならそれでいい、そんな風に考えていた。
でも、今俺の前にある現実は……。
燃え盛る炎、力なく抜けた父と母の身体、迫り来るモンスターの大群、そして何より強かったのは――恐怖。
今もこれだけははっきりと覚えている。その恐怖の中で救い出してくれた、光り輝く背中を。
「――大丈夫か」
「あとは私たちに任せて」
「さあ、早く逃げるんだ。生きるんだ……君には君の物語がまだある。命を捨てるな、生きるんだ」
いくぞっ!の声とともに目の前で男の背中が光りだす。
「業炎剣!」
「ヒールブラスト!」
声と同時に光が生まれた。その二つの光は交差するようにモンスターの大群へと走り、そして一瞬の静寂の後、爆発――チリも残らずモンスターは消えていた。
俺の記憶はそこで終わっている。
後で思い返すと光の眩しさにやられたと思われるのだが、村でただ一人生き残った俺に声をかけてくれる人はもういない。
――生きるんだ、君には君の物語がある――
そう、俺の物語は、恐怖と光と希望の中から始まる……これは俺の、道を辿る旅のきっかけにすぎなかった――。




