雅人 〜歴史の中で生き続ける者〜
僕はずっと青波台にあるN市立の博物館の館長として、歴史を追う仕事をしている。僕がずっと育ってきた志手山町は、幼い頃から様々な人が亡くなっていった。同級生である桜田君が死んだ時は余りものショックで、しばらく立ち直れなかった。
その時から茂と志保を別の視点から見守るようになった。狂気に陥った茂を僕はどうする事も出来なかったが、それは志保も同様だったそうだ。
茂が狂気から覚めた後は、時々志手山についての話をするようになった。僕と茂はその痛ましい記憶を、過ちがあった過去を永遠のものにする為に活躍している。僕は館長をやる一方で、考古学者として、志手山に訪れたり、古文書を研究したりしている。茂は、事件や事故などを小説にしている。
今は一人娘の萌も自立して、広美と二人で暮らす日々が続いている。ある時、萌が結婚の報告をしにやって来た。
其の相手がまさか、茂の息子の優太だとは思わなかった。
私はずっと歴史を追っている。これは、私だけの為ではない、後の世代に、この『死出山』の記憶を伝える為に、頑張っているのだ。もちろん、私一人の身だけで成し遂げられるものではない。最近は考古学部のみんなと協力して、頑張っている。






