新婚さんはいつもいらっしゃる
ご覧いただきありがとうございます。
両親は結婚してウン十年と経ちますが、いまだに〝熟年夫婦〟という言葉が当てはまらない人たちです。
夕飯の際、身のふっくらとした鯖がお皿に鎮座していました。
うきうきした母様が訊いて欲しそうだったので、広告の品だったのかと問うと。
母「違うのよ。でも〝お買い得品〟て書いてあったから♪」
私「それでこの大きさですか。すごいですね」
母「うふふ。今日はお買い物の予定はなかったんだけど、なんとなく(スーパーに)行ったほうが良い気がして♪」
私「正解ですね。美味しそうです」
功績を称えると、
母「そうでしょ♪ うふふ。美味しい♪」
満面の笑みで箸を進める母様。言葉が弾みまくっています。
父「良い買い物をしたな」
母「そうなの! もう嬉しくて♪」
父「じゃあ、もう少し食べるか?」
隣に座る母様に、自分のお皿をそっと寄せる父。
母「ありがとう。でもこれはお父さんの分だから」
父「でも、ママは鯖が好きだろう」
母「好きだけど」
食べ過ぎると困っちゃうと苦笑する母様。
父「それでもひと口どうだ?」
母「んー……じゃあ、お言葉に甘えて……」
父「たくさん持っていけばいい」
母「それは悪いもの」
父「遠慮するな」
今日も仲睦まじいようで、何よりです。
ほっこりします。
それから「はい、あーん」を始めたふたり。
そこに水を差す娘。
私「はい、その辺で(止めておきましょう)」
我が家は両親がラブラブだろうと、普通に会話に入ります。
日常茶飯事ですから。
母「なぁに?」
父「どうした?」
仕草もそろいますね。息ぴったりです。
私「母様疲れてると、アレルギーが出るでしょう」
母「……あ……そうね……」
厳しい現実にしょんぼりする母様。
体質なので仕方ないと言えばそれまでですが。
私も見事に受け継ぎましたので、ツラさは解ります。
父「……そうだったな、すまん」
父もしょんぼり。
母「お父さんは悪くないわ」
確かに。
母様があまりに嬉しそうなので、自分のも分けてあげたいという優しさからの行動ですからね。
協議の結果、また今度……という話におちつき、和やかに夕飯を終えました。
お互いを思いやる心があれば、いつまでも仲良く寄り添うことができるんだなぁ……と思った夜でした。