ベローン
ご覧いただきありがとうございます。
紅葉の時季となりました。紅葉狩りを楽しみにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
4Kで撮影したものを2Kに変換して放送しているという映像を見ていた時のことです。
父「技術の進歩は大したもんだ。ベローンも発達したな」
私「ブレもないし、綺麗ですよね。……ん?」
今、聞き逃してはいけない単語があったような……
父「何か違うな」
自分でも気がついたようです。
父「なあ、まる」
私「はい」
父「こういうの、何て言ったか」
テレビ画面を指す父。
私「ああ、はい」
訊きたいことも、答えもわかってるんです。ただ、脳が〝ベローン〟に支配されて、解答が霞がかっています。
私「えぇと」
父「ほら、こういうやつだ」
困惑する私に気づいた父が、ヒントを増やしてくれました。腕を曲げて、顔の高さで手首を左右に……柳○慎吾さん?
ああ、どうしましょう。
完全に〝ベローン〟と柳○さんで頭がいっぱいになりました。
父「こういう、こういうやつだぞ」
私「ああ、ああ、はい」
わかってるんです。
わかってるんですよ。
あまり手をフルフルしないでください。
ああ、ほら。サイレンの音まで浮かんできました。一瞬〝ベローン〟が旅に出ましたよ。
あ~、あ~、え~……と意味をなさない言葉を呟きながら、必死に思い出そうとしていると。
父「4つのプロペラがついてるやつだ」
父よ……!
私「──〝ドローン〟です!」
出た!
ついに出ましたよ!
スッキリしました。あ~、長かった。
父「そうか、ドローンか」
答えがわかって父もホッとしたようです。
私たちのやりとりを見守っていた母様は、
母「すぐには出てこないわよね。ママも〝ベローン〟でわからなくなっちゃった」
うふ。と可愛らしく笑い、ソファーに座りました。
父「ここまでは出てたんだ」
顎の辺りで手を水平にしてアピールをする父。
私も似たようなものなので、わかります、と頷き返しました。
黙っていると強面な父は、母様とカテゴリーが同じだったようです。
似たもの夫婦だな……と思い、つい入れてしまったエピソードです。




