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蒼藍~反魔道士思想の村~  作者: 環田 諷
蒼藍の仕事
65/70

その6

 帰り道。ビルの提案で、このまま蒼春院そうしゅんいんまで奎婁けいるで帰る事になった。原因は契約主であるロジーナにあった。

 初任務に意気込んできた彼女だったが、成功後の仕打ちがこれで、青い両目に大量の涙を抱えていた。声には出していないものの、馬車の座席で器用に体育座りをしていた。彼女の隣にいるイルも、苛立ちを隠していなかった。変装していた三人は変装道具を取り、素顔をさらしている。変装を解いたといっても、ビルの奇抜な衣装はそのままだが。

 ショックを隠せないロジーナに、優しくビルが話しかける。


「これが、蒼藍そうらんの仕事なんですよ」


 自分に話しかけているのが解った彼女は、小さく首を動かして、彼を視界にいれた。


「望まれないところへ行って、望まれない仕事をする。こんな仕打ちもしょっちゅうです」

「・・・つらく、ないんですか?」

「つらいですよ。あなたの隣の人を見ても解ったでしょう」


 ちらり。ロジーナはイルを視界に入れる。話を聞いているのかいないのか、彼はサンダルをパタパタと上下に動かしながら、一定してイライラし続けている。これをつらいというのかは、人の判断によって変わってしまうが、平気ではないことは誰でもわかる。


「私たちはもう『蒼藍』なんです。この仕事からは逃げられません」


 ビルは少し寂しそうに言う。四院しいん専属魔道士は、例外として移院ができなかった。まあ、相当問題を起こしていれば降格もあるが、めったなことでは七重宝樹しちじゅうほうじゅへの出世しか道は無い。ロジーナはこの言葉を、「蒼藍なら、このくらい普通だ」と念を押されているのだと思った。が、次の言葉でそれが違うと知る。


「でも、あなたはまだ『蒼藍』ではありません」

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