その4
再会を暢気にほほえましく思っていたロジーナに向かって、石が飛んできた。それはロジーナだけにではなく、残りの三人にも投げつけられている。投げているのは、書く必要もないだろうが、村人たちだった。我先にと、足元の石を拾っては投げつけてくる。
ロジーナは痛くてたまらずしゃがみ込んだ。ビルはシルクハットを深く被って対処している。シュールとイルは、怒りがだだ漏れだ。
「お前たちさえ来なければ」「村がこんな風になることはなかった」「お前たちが来たから」「俺たちの村が、壊れたんだ」
言われもない文句の数々。シュールとの喧嘩以外怒らなかったあのイルが、怒号を上げた。
「ッざけんじゃねぇぞ!てめぇらの町は元から、モグラの巣窟だったんだろうが!」
「イル、止めなさい」
ビルが静かに静止するも、イルは止まらない。殴りかかるマネはしないものの、噛み付く寸前の表情をしていた。吃驚した村人たちは、勢いに負けて後ろにおののく。イルは前に踏み出して興奮し始めた。
「くだらねぇ思想なんざどうでもいいだろ、さっさと助けを呼びゃあよかったんだ!」
「少し静まれ」
暴走し始めたイルを、あわててシュールが羽交い絞めにする。が、力量は互角のため、なかなか抑えられない。イルは拘束を解くように、腕を大きく振って暴れた。
「命より大切なプライドなんざ、始めっから捨てちまえよ!反吐が出らぁ!」
はあはあと荒く呼吸をするイルの目は、目隠し越しでも解るほど敵意がむき出しになっていた。
彼の言うことは、多少極端な面もあるが、大まかにはあっていた。だから、村人は静まるほかなかった。
彼らがそのことを理解しているからだ。
村人の一人が口を開いた。
「でも、あんたらが来なければ暴れなかったかもしれない」
それを口火に、次々と村人が口を開く。
「村はこうならなかったかも」
「モグラが地下に巣食っていようと、共存できたかもしれない」
「それに、モグラだってやっぱり生き物だ」
「そうだ。生き物を殺すなんて、気が狂ってる」
「狂人だ」「狂ってる」「狂人だ」
口々に村人たちは蒼藍たちを非難する言葉を吐く。儲かれらに理論は通じない。それが解ったイルは、ピタリと静まった。シュールの羽交い絞めから開放されると、村人たちを睨んで言う。
「だったら俺たちが来なくて、モグラが暴れだして、殺生はダメだと誰も処置せず、モグラ四尾の命と引き換えに自分たち何十人の命をささげることがハッピーエンドだって言いてぇのか?だったらてめぇら、カミサマにだって拝まれんじゃねぇの?」




