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蒼藍~反魔道士思想の村~  作者: 環田 諷
蒼藍の仕事
60/70

その1

 苟芒こうぼうが帰ったあと、町の入り口に待機させたままのアルバートを呼ぶことにした。

 遅ればせながら、天霊てんれいが滞在することに魔力の消費はない。天霊に魔力を使うのは、「召喚するとき」、「返還するとき」、「天霊の能力使用時」の三点のみだ。今回のように天霊を待機させておくだけのときは、魔力消費は微塵もない。

 しかしいまさらになって気付く。


「・・・どうやって呼ぶ?」


 ロジーナの質問に、イルがあんぐりと口を開ける。待機させた時点で、その後のことを考えていると思い込んでいたのだ。


「え、合言葉とかないのかよ?」

「あったとしても聞こえるわけがなかろう」

「そうですね。イル、マイナス一点です」


 二人からの否定の言葉を受け、イルはむっとする。彼の考えも解らなくもないのだが、村一つはさんだ向こう側に、確かに声は届かないだろう。危険な村の中を戻るか、視覚的な合図を送るほかない。ビルはイルとシュールを見た。


「有翼二人で呼びに行きますか?」


 村は危険といえど、上空を飛べば村人も手出しはできまい。そう、村にある危険とは、村人のことだ。反魔道士思想(フォディズム)の彼らは、村が壊れるという事態が起こった以上、なにをされるかわかったものではない。そう思ったビルの提案はなかなかの名案だった。しかし。


「いやだ」

「愚問だな」


 ビルの提案は、二人の感情によって一蹴される。二人で仕事に行くことはまったくないのだろうかと、ロジーナは疑問に思った。そこで彼女は思い出す。


「ちょっと待ってて」

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