その11
二人がその翼を羽ばたかせると、ふわりと体が宙に浮いた。さっさと飛んでいったイルに対し、シュールはビルに上空から一言告げる。
「いいか、新人に手を出すなよ」
「調和は大事ですからねぇ」
解ってないような、あいまいなビルの返事だ。シュールはイラッとしてから乱暴に向きを変えて、イルのあとを追っていく。
そんな二人を青い目を輝かせながら、ロジーナは見送っていた。バタバタと飛んでいく二人に、聞こえるのではないかという大きさで彼女はこぼす。
「ゆ、有翼人種だったんだ・・・!」
初めて見る少数人種に、ロジーナは興奮を覚える。イルがスメル族だという推測が外れていたなんてことは、もう彼女の頭から消えていた。奥からの悲鳴にはっと我に返り、彼女はビルのほうへ向きを直す。
ロジーナは追いついてからビルに確認した。
「あの二人、有翼人種だったんですね!」
解りやすく感動する彼女につい笑みがこぼれる。
「ロジーナさんは初めてですか?」
「はい!あたし、ずっと一族の村に住んでたんで」
それどころか、彼女は自分と異人種に当たる存在に、数えるほどしか会ったことがなかった。そのためもともと少数人種である有翼人種は、彼女にとって非現実的な憧れの存在なのだ。簡単に言えば、彼女は神様にあったかのような興奮状態にあったわけである。
予想通りの彼女の反応を面白がるビルに案内されながら、ロジーナは村の奥へと進んでいった。




