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おばあちゃん(時々、他の家族)と孫の日常の思い出《短編集》)  作者: おうすい


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2/16

ばあちゃんと蚊

子どもの頃、夏になると不思議なことがあった。


ばあちゃんと一緒にいても、蚊に刺されるのはいつも私だった。


「かゆい〜」


そう言って腕を掻き始めると、ばあちゃんは決まって言った。


「ふーちゃん、掻いたらいかんよ。跡が残るけん」


そして水道へ連れて行かれた。


「水で洗い流したら毒がなくなるけん、かゆくなくなる」


本当に毒がなくなったのかはわからない。


毒があったのかもわからない。


でも、冷たい水で洗うと少しだけかゆみが和らいだ気がした。


そんな私を見ながら、ばあちゃんはいつも笑っていた。


「ふーちゃんと一緒におると、蚊は私を刺さんけん助かる」


そして、


「蚊も年寄りより若い血の方が美味しかと知っとるとだろうねぇ」


と続けるのだった。


その頃の私は理解できなかった。


あれから何十年。


今では私もめっきり蚊に刺されなくなった。


代わりに、隣にいる孫が刺されまくっている。


「かゆい〜」


そう言う孫を水道へ連れて行き、


「掻いたらいかんよ。跡が残るけん」


と言いながら、刺されたところを洗い流す。


気づけば、昔ばあちゃんにしてもらったことを、そのまま孫にしていた。


ふと、ばあちゃんの言葉を思い出す。


「蚊も年寄りより若い血の方が美味しかと知っとるとだろうねぇ」


どうやら、あれは本当だったらしい。


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