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プロローグ

「安心して下さい、かすり傷です。すぐに、私の治癒魔法で……」

 十代半ばに見えるけど、本当の年齢は良く知らない(知りたくも無い)聖女様が、そう言った。

「こ……これ位なら……大丈夫です」

「じゃあ、武器と防御力の強化を……」

「え……えっと……」

 僕が訊きたいのは、「副作用は無いのか?」という事。

 けど、聖女様が呼び出した「それ」が僕を睨んだ。

「お願いします」

 退くも地獄、進むも地獄だ。

「○×△□☆〜っ‼」

 聖女様の背後に立つ「天使」が意味不明な叫びを上げる。

 けど、僕達()()()()()()である「魔法の動画のライブ配信」担当の魔法使いの魔法で、町で僕達の様子を鑑賞している「観客」達の耳には……荘厳な祈りに聞こえているだろう。

 天使の翼から……何とも不気味なオーラが(ほとばし)る。

 ドロドロとした白濁液に見える……臭いさえ「あれ」そのものだ……。

 まぁ、配信されてる動画では、これまた荘厳な光に変換されてる筈だ。

 それが僕の体を包み……。

 うきゃきゃきゃきゃ〜ッ‼

 全身に力が漲る。

 おらぁッ‼ ゴブリンだかオークだかオーガだか知らねえがッ‼ 全部ッ‼ ブッ殺すッ‼

 まず、最初に突撃してきた糞どもにしちゃあ肝が座ってる野郎に蹴りを入れると……吹き飛びやがった。

 そいつが、すげえ勢いで次のに命中。

 2匹がバランスを崩した所でッ‼

 両手剣で、まとめて両断ッ‼

 俺様に向かってきた度胸に免じて一撃で殺してやるッ‼

 死ねッ‼

 死ねッ‼

 死ねッ‼

 死ねッ‼

 死にやがれッ‼

 俺様が大剣を振る度に、最低でも2匹づつヒトモドキどもが死んでいくッ‼

 そして、飛び上がり、最後に残った何かデカいのの脳天に剣を叩き付け……。

 倒れた。

 でも、更に切る斬るKILL‼

 次はどいつだッ‼

 辺りにはもう……。

 あれ?

 目の前が真っ暗だ……。

 何だ、この臭い……このベタベタする赤いモノは……。

 あああ……。

「大丈夫ですか? ちょっと、頑張り過ぎたみたいですね」

「がう……」

 聖女様と……その背後に居る……天使の声。

 天使と言っても、顔の右半分はゾンビ。左半分は……超イケメン美男子にも、もの凄い美女にも見える……ただし、口を開くと、その口は耳まで割けてて、口の中には乱杭歯。

 首から下は鎧みたいなモノを着てるけど……そこに刻まれてる呪紋(ルーン)は……明らかに何か危険(ヤバ)そうな代物。

 背中から白い翼みたいなモノが生えてるけど……良く良く見ると無数の細い触手が翼みたいな形になってるだけ……。

 もっとも、魔法のライブ配信では……もっと普通のいわゆる天使っぽい天使の姿に変えられてるけど……。

 そして、魔法のライブ配信では神秘的な銀髪に変えられてるけど……髪に見えるモノも、無数の白く細い触手。

「あ……あの……治癒魔法……使ったんですか?」

「ちょっと『火事場の馬鹿力』を出し過ぎて……筋肉や靭帯に、かなりのダメージが……あれ? どうしました?」

 ああああ……そんな……そんな……そんな……。

「泣きたい事が有れば……泣いていいんですよ……」

 ロリ顔巨乳の聖女様が……僕に近寄る。

 や……やめろ……く……来るな……。

 冒険者なんてヤクザよりもヤクザな仕事を始める前は……こんな「聖女様」の胸に顔をうずめるなんて……夢だったけど……今は……今は……今は……。

 知りたくなかった……。この世界の「真実」なんて……あの因習村で畑を耕して、領主に年貢をガッポリ取られて、村の他の男どもから小馬鹿にされて、嫁ももらえず、妹は他の男のモノになり……1人寂しく死んでいく……そんな、平穏な一生を終えるべきだった……。

 や……やめて……来ないで……。

 サイコパス@$%魔に@$%されて処女を奪われた後に、更に、その@$%魔に頭をナデナデされる……それ位の、おぞましい事態だ……。

 たすけて……。

 でも……。

 神サマに祈っても、もう遅い……。

 だって、()()()()()()()()()()()()

 良い神様も、悪い神様も、その他の神様も、全部まとめて……どこかへ消えてしまった。僕が生まれる何十年も前に……。

 そして……残ったのは……。

 この「聖女様」みたいな連中だ……。

 ああああ……こ……来ないで……来るな……来るな化物……。

 ぎゅっ♪

 う……うわあああ……。

 もうやだ……このロリ顔巨乳の「聖女」様は……もう人間なのかさえ定かじゃない。

 人間の皮を被った何か良く判んない化物(モノ)の胸で「ぎゅう〜ッ♥」なんて……吐きそうだ……。

 けど……次の瞬間……。

 僕の体は空中に浮き……そして……オーク達が信じている邪教の神だか預言者だかの像みたいに磔状態で身動きが取れなくなり……。

「何をしてるんですか? 流石の私も、ちょっと、ムカっとしましたよ」

 やってしまった……吐いちゃった……聖女サマの胸に……ゲロを……。

「クリーニング代は……貴方の給料から引いときますね」

 次の瞬間……黒い雷に見える何かが僕の体を包み、そして、そして、そしてええええッ‼

 うぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ〜ッ‼

 もう……どっちみち終りだ……。

 僕は……死んだら……いや……なら……何としても……生き延びてやる……少しでも長く……。

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