73.架空請求詐欺2
辻先輩からスマホに電話があった時、丁度俺は先輩の治療院の前だった。
「幸田。すぐ来い!!」
魔法のように現れた俺に辻先輩は要領よく事態を説明した。
○月〇日。
辻先輩からスマホに電話があった時、丁度俺は先輩の治療院の前だった。
「幸田。すぐ来い!!」
魔法のように現れた俺に辻先輩は要領よく事態を説明した。
俺は、瀬戸内さんのスマホを借りるとショートメールを確認、かかって来た電話の番号と、ショートメール内の電話の番号を確認。着信拒否設定をし、番号を控えた上で電話会社に電話し、スピーカーをオンにした。そして、事情を説明した。
「おっしゃる通りです。こちらから請求金額についてお電話することはありませんし、ショートメールを送ることもありません。着信拒否をされても、生年月日とお名前を伝えてしまっているので、違う電話からかかってくる場合もあります。今後は『登録番号』かどうかをまず確認することをお勧めします。番号をお教えいただき、ありがとうございました。」
俺が迅速に対応出来たのは、同様のケースが以前あったからだ。昔はガラケーに『ワン切り』があったが、本質的に同じだ。
敵は、『ランサムに番号を拵えるソフト』で『手当たり次第に』送って来る。
瀬戸内さん個人宛ではない。『折り返し』があることで、初めて『存在確認』をする。そして、カモ(瀬戸内さん)を追い詰める。
口座に残高があるかどうかは把握しておく癖を付け、登録番号以外は相手にしないことだ。
「まともな会社」は、まず書面を郵便で送ってくる。
座高不足なら、コンビニ振り込み用紙を送って来る。何らかの連絡も郵便が基本だ。
俺は、とうとうと瀬戸内さんに話した。
電話番号を変えるのが早道、という考え方もあるが、敵の術にかかれば同じだ。
俺は、自分の名刺と本庄先生の名刺を渡した。先生も、こういう事例は慣れている。
ふいに、先輩は言った。
「幸田、早かったな。」「先輩、谷口先生の墓参り行くから迎えに来いって言ったやないですかあ。」
谷口先生とは、高校の時の茶道部の顧問の先生だ。次の年忌はいつだったか忘れたが、毎年墓参りに行くことになっている。
「ごめんごめん。」先輩は、瀬戸内さんを帰すと、待っていた患者に言った。
「そういう訳や。大坪さん、7時に来て。それまでに帰るから。」
―完―
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