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68.禁断の関係

 ○月〇日。

「近〇相〇?」澄子は、改めて、声を潜めて言った。「近〇相〇?」

「大きな声出しても、ひそひそ話でも一緒や。」

 幸い、店の2階でも、ここ自宅でも、隣家と壁の近い家ではない。

「横ヤンも倉持も、びっくりしてたわ。まさか旦那が出戻りの娘と浮気してたなんて。まるでAVの世界や。いやまあ、表だってないだけで世間ではざらにあるケースかも知れんが。3人がかりで3人を引き剥がした。」

「修羅場?」「修羅場に決まってるやん。」

「本庄先生、どう言うてるの?」「まあ、裁判にはならんやろうが、娘次第やろうなあ、って。まあ、実家には帰れる訳もないよな。所長も同じこと言うてた。隣の家の人が、強盗かと思って110番したから、一旦、警察行って、俺と横ヤンで説明したんや。」

「出戻りして、淋しかったんか?娘は。」

「いや、結婚前からオヤジと出来てたらしい。で、婿にばれて、離婚したんや。離婚の調停に立ち会ったのが、本庄先生や。頭痛いって言うてたわ。想定外やったって。」

「まあ、殺人未遂にならへんかったら、不幸中の幸いやわなあ。」

 澄子は余計なことを言った。

 スマホが鳴ったから出ると、所長だった。

 俺は、スピーカーをオンにした。

「幸田。室町さんとこな。親子心中図ったらしい。家に火を点けて。家は半焼やが、全員重傷や。警察が事情を聞きたいって言ってる。室町さん、奥さんの書いた遺書にウチの興信所のことが書いてあって、すぐに連絡くれたんや。今、倉持のクルマ廻したサカイ、至急行ってくれ。病院は、ふじ病院や。」

 澄子は、すぐに着替えの服を出した。

 厄介やナア。アメリカの探偵は、こんなケースないやろうなあ。

 着替えて出ると、もう倉持が待機していた。

「ほな、行ってくるわ。」「気イつけて。」

 澄子の、送り言葉が「火イつけて」に聞こえた。

 俺も「ヤキ」が回ったかな?

 ―完―




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