53.浮気
浮気がばれてしまった男は往生際が悪いと相場が決まっている。
俺と倉持が踏み込むと、正に、依頼者の大曲温子の夫と、その相手が『合体』した所だった。
○月〇日。
「ちゃうねん、ちゃうねん。」
浮気がばれてしまった男は往生際が悪いと相場が決まっている。
俺と倉持が踏み込むと、正に、依頼者の大曲温子の夫と、その相手が『合体』した所だった。
倉持が、すかさず写真に撮る。それでも、男は言い訳で取り繕うとした。
温子の顔は『大魔神』のように顔が憤怒モードに変身した。
温子は、部屋の隅にある、鏡台の椅子を足場にして、エアコンのコンセントを抜いた。
継いで、いつの間にか用意していたガムテープをガラス戸の隙間に滑り込ませた上で、錠にロックをかけ、ガムテープを貼り、俺達を引き連れて外に出て、ドアに体を押しつけながら、ドアの下方上方にガムテープを貼った。
仕上げに、ドアノブを壊した。
『地獄絵図』が完成した。
「倉持。裏口や。」
叫んだ俺は倉持と、裏口から、窓の方に回った。
必死でサウナ室の窓ガラスを壊して窓から出た、温子の夫と相手。
もう逃げる力も残っていないようだった。
最寄りの警察から戻った俺と倉町は、澄子の店で、アイス金時を食べた。
話を聞いていた澄子は、メモを始めた。
「俺は、浮気はせえへんで。」「分かるかいな。忘れんようにしよ。」
俺は、浮気している暇はない。知ってるやないか。毎晩、攻めて攻めて攻めまくるくせに。
ひょっとしたら、ワコのこと、浮気相手と疑ってるのかな?院長も辻先輩も盛んに煽るけど、あの男と違って、本能だけで生きてへんねん。理性、ちゅうもんがある、俺には。そもそも、そんなに精力ないがな。
スマホが鳴った。
本庄先生や。
「示談しないそうよ。前科があるしねえ。幸田さん達が踏み込んだ時は?」
「えと・・・熱愛中でした。それで、奥さん、カッとなって。」
「いえ。シミュレーションしていたそうよ。ガムテープ用意いていたのよね。」
「バッグから、ロープ、ナイフ、結束バンドも出てきたわ。」
「成程。それで、住所を教えてくれるだけでいい、って言ってたんですね。不審に思って、送ってあげますって言って、一緒に部屋に入ったんですよ。」
「前の浮気の時、誓約書交わして、私預かっているの。もう決まり。ご苦労様。」
スピーカーから漏れる声を聞いていた澄子は、何故か倉持にメモを渡した。
「何ですか、奥さん。」「保険や。」
報告に事務所に帰る、と言って、俺は倉持と店を出た。
事務所に戻った俺達の話を、所長、花ヤン、横ヤンが爆笑した。
「幸田は、エエ奥さんもろたな。」と南部が言うと、トイレから戻った総子が言った。
「呼んだ?」
―完―
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